2011年07月11日

新しく発表する耐震補強工法とは、「既存RC造そで壁付柱」に組立鉄筋を特殊ポリマーセメントモルタルにより塗り付けて、せん断補強する工法です。作業は左官工による鏝(こて)塗りです。この補強技術の実用化を目指して、平成22年12月に「PMG-SWR工法研究会」を発足し準備を進めてきましたが、本工法の技術評価取得を区切りに、実用的な耐震改修工法として利用していただけることを期待し、活動を開始することとしました。キャッチフレーズは“塗って耐震”です。

この技術開発は、「ポリマーセメントモルタルによる耐震補強工法の技術開発」(開発および基礎実験の主担当者:東京理科大学名誉教授 松崎育弘)としたテーマで、平成17年~19年度の3年間、国土交通省の「住宅・建築関連先導技術開発助成事業」に採択されて実施した一連の研究成果を基に実用化への目途を立てたものです。
新しい耐震補強工法は、集合住宅等のそで壁付柱に組立鉄筋(Aタイプ)を特殊ポリマーセメントモルタルを用いて、左官工により鏝(こて)塗り付けするもので、平成22年11月29日、財団法人日本建築防災協会より技術評価を取得しています。(建防災発第2669号)

本工法の略称を「サイド・ポ・スト工法」としました。「サイド」は{そで壁}を、「ポ」は{ポリマーセメントモルタル}を、「スト」は{強くする(strengthen)}を、そして「ポ・スト」で、ポスト、すなわち、{後から補強する}、という意味を込めてあります。

左官作業で仕事を進めることができるようにしていますので、“塗って耐震”をキャッチフレーズに、「住まいながらの耐震改修」、「外壁等の改修工事におけるサブシステム役」といった動き方も可能であろうかと思っています。

[特殊ポリマーセメントモルタルをこて塗りする様子]

[サイド・ポ・スト工法]

補足説明

「サイド・ポ・スト工法」は、住宅基礎用鉄筋として既に開発・実用化されている「組立鉄筋Aタイプ」(せん断補強筋と主筋とをスポット溶接により接合し、その溶接接合点のせん断補強筋のせん断強度は規格降伏点強度以上であること、せん断実験後に主筋の引張試験を行い、規格降伏点強度および規格伸びを確保することができるように研究開発されている)と特殊ポリマーセメンモルタルによって、既存RC造躯体と一体化させるものです。特殊ポリマーセメンモルタルの接着力により組立鉄筋と既存RC造躯体とは一体化が図れています。
施工は、左官工による特殊ポリマーセメンモルタルの塗り込み作業によっています。このため、騒音・振動・粉塵が非常に少ない利点があり、片側(外側)のみ補強する場合でも補強効果があることを確認していることより、「居住者が住まいながら」の改修工事を可能としています。
集合住宅を用途とする建築物では、「居住者が住まいながら」改修可能とされる工法が望まれています。本工法は、主として、「そで壁付柱」を対象として取り上げ、組立鉄筋と特殊ポリマーセメンモルタルによる施工によって、せん断力耐力を増強させて耐震改修を進めようとするものです。
なお、本研究会は、「サイド・ポ・スト工法」の適正な普及を図るために、設計に関しては堀江建築工学研究所が、施工に関しては三和テクノスが指導・教育を担当していくこととしています。

本研究会正会員

株式会社堀江建築工学研究所 三和テクノス株式会社
株式会社熊谷組 大成建設株式会社
株式会社鴻池組 株式会社長谷工コーポレーション
前田建設工業株式会社 前田工繊株式会社
ケーアンドイー株式会社 鴻池ビルテクノ株式会社
株式会社長谷工リフォーム 三和アルミ工業株式会社

(主な技術開発委員)
東京理科大学名誉教授 松崎育弘
千葉工業大学教授 中野克彦
株式会社堀江建築工学研究所所長 太田勤

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