2010年06月16日

  RCSハイブリッド構法研究会(代表会社・淺沼組、他8社による共同研究*)は、柱を鉄筋コンクリート(RC)造、梁を鉄骨(S)造とした梁貫通型の「柱RC梁Sハイブリッド構法」を開発し、財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得しました。本構法は、RC造とS造の特長を生かした合理的な混合構造構法です。
*青木あすなろ建設、淺沼組(代表会社)、奥村組、西武建設、大末建設、東亜建設工業、西松建設、ハザマ、長谷工コーポレーション
【背景】
  階高が高く大スパン架構の商業施設や物流施設などには、S造の採用が多く見受けられます。しかし、S造においては、溶接施工、耐火被覆、柱脚処理などの作業がコストアップの要因となるため、近年、施工性・経済性に優れた混合構造構法が開発されています。そこで、本研究会でも、剛性が高いRC造の柱と、大スパン架構に対応できるS造の梁を組合せた合理的な混合構造構法「柱RC梁Sハイブリッド構法」を開発しました。
【概要】
  本構法は、梁貫通型の柱RC梁S接合部構法であり、柱梁接合部の補強形式としては、S梁と柱梁接合部の境界に支圧板を配置して柱梁接合部内にせん断補強筋を配筋する「せん断補強筋形式」、柱梁接合部の周囲をふさぎ板と称する鋼板で覆う「ふさぎ板形式」の2種類があります。
【特徴】
  本構法は、鉄骨の価格変動にもよりますが、S造と比較して躯体で5~10%程度のコストダウンが見込むことができ、梁はS造の特性を生かすことによって軽量で大スパンの大空間を可能とします。また、架構が容易なことから工期の短縮にもつながります。
  なお、施工上の特長は次のとおりです。
① 建物の外周部には意匠性を考慮して鋼板が露出しないせん断補強筋形式を採用し、内部にはふさぎ板形式を採用するなど、2種類の補強形式を使い分けることにより自由度の高い計画が可能となります。
② 柱のコンクリートにはFc=21~60N/mm2、柱主筋にはSD295A~SD490を使用できます。
③ ふさぎ板は、施工時の型枠としての機能も併せ持ちますので施工性にも優れています。
④ 最上階の柱主筋定着には技術認証を取得した各種機械式定着工法を用いますので施工が容易です。
【今後の展開】
  本構法は、商業施設や物流施設ばかりではなく、事務所ビルや複数階の工場等にも適用可能であり、様々な用途に対応できます。この性能証明の取得を機に、研究会参加会社内において水平展開を行うとともに、各社の設計施工物件以外についても積極的に提案し普及展開を図っていきます。
【概要図】

[図-1 柱梁接合部のディテール]
[図-2 架構イメージ]
【施工手順】
[図-3 ふさぎ板形式の施工手順例(VH分離打設)]
Get ADOBE® READER®
PDFファイルをご覧いただくためには、
Adobe Readerが必要です。