新耐震設計法によって地震に強くなったマンションには、どんな工夫がなされているのでしょう。
まず、設計を行う前に地盤を調査し、その結果によって基礎の工法を決めます。もしそこが固い地盤ならば、建物を直接地盤で支える工法をとり、軟弱地盤であれば、地中の固い地盤まで深く杭を打ち込む工法などがとられます。さらに液状化現象が起こる恐れのある地盤の場合、地盤改良をすることもあります。このように、それぞれの地盤にもっとも適した工法が採用されています。
■軟弱な地盤に建てるときには、杭を深く打ち込んだり、地盤を改良したりする |
マンションの柱は、鉄筋コンクリート(RC)造と、RC造の柱や梁の中に鉄骨の入った鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造が一般的です。
これらの柱では、鉄筋を囲むように巻き付ける帯筋を密にすること(10cm以下が原則)によって、柱の耐震性を高めています。さらに、溶接閉鎖型筋という、1本ずつ溶接した帯筋を使えば、柱自体のねばり強さが向上して、一層耐震性を高めることができます。また同様の効果がらせん状に巻いたスパイラル筋にもあります。
■帯筋は、1本ずつ溶接して閉鎖型にしたり、らせん状に巻く事ことによって、より強化される |
壁には、建物を支える耐力壁とそれ以外の非耐力壁とがあります。
耐力壁は、柱や梁とともに、建物をしっかり支える役目を果たします。建物の耐震性の確保は、この耐力壁と柱、壁に依存しています。一方、玄関脇廊下側にある非耐力壁は、耐震性には寄与せず、建物自体の強度には影響ありません。
■耐力壁には鉄筋がたくさん入っている |
次に建物の型についてみてみましょう。建物を上からみた場合、コの字型やL字型のような形をしているよりも、なるべく整形(長方形や正方形など)に近い方が、構造的にはしっかりしています。しかし、コの字型やL字型のような建物でも、つなぎ目にエキスパンション・ジョイントを採用していれば、構造的に分けて考えることができます。こうすれば、一見複雑な形状も、各々の建物が整形となり、建物の耐震性は高くなります。
■エキスパンション・ジョイント |