マンションの劣化状態を知る

中性化

コンクリートはセメントの水和反応によって作られたアルカリ性物質が多く含まれています。年月の経過により空気中の二酸化炭素等の影響を受けて、コンクリート表面より内部に向かって徐々にアルカリ性を失い、中性化していきます。中性化が進むと中にある鉄筋周辺のコンクリートが強アルカリ性を失い、鉄筋が錆びやすくなり、コンクリート構造物の劣化の原因となります。

ひび割れ

コンクリートのひび割れは、材料、施工、構造、環境の要因が単独あるいは複合的に作用することにより、表面または内部に発生します。美観、耐久性、水密性・機密性を低下させ構造性の低下も招いてしまいます。大半のひび割れはコンクリートの乾燥収縮が原因であると考えられ、ひび割れ幅が0.3mm以上になると確実に補修する必要があります。

エフロレッセンス

コンクリート躯体内の水酸化カルシウムが侵入した雨水等に溶け出し、空気中の炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムとなり表面に析出したもの。コンクリートの中性化や鉄筋露出の原因となる上、美観の低下にもつながります。

浮き・剥離

仕上げ材と躯体の間の接着力が不足して、仕上げ材と躯体が分離、一体化の状態にならない状態を浮きといいます。外壁のタイル張りやモルタル塗り、床材の下地からの分離、塗膜の分離なども含まれます。浮きの発生により、外部から雨水が浸入し、さらに浮きが拡大。最終的に剥落してしまう場合もあります。

雨水や日光に直接さらされる金属部は、錆が進行しやすい状況にあります。金属部の腐食は美観を損ねるだけでなく、機能低下にもつながります。

給水管・排水管の劣化

一般に使われている給水管は2種あり、いずれも年数を経ると配管用炭素鋼鋼管は水道水の残留塩素により全面的に腐食し、硬質塩ビラインイニング鋼管は、バルブ類との異種金属接触により管端部に腐食が集中します。一方排水管は亜鉛メッキ鋼管、排水用硬質塩ビライニング鋼管、鋳鉄管、銅管ほかさまざまな種類の管が使われています。使用状態や管材により差異はあるが 30年程度で耐用年数に達し、実際に漏水などのトラブル発生も多くなります。

その他、風化、下地からの押し出し、剥離、はがれ・はらみなどの症状があります。