泣き声に、微笑む

開け放った私たちの部屋の窓から、赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。「何だか懐かしい声だね」と夫は言い、まるで音楽を楽しむかのようにその声に耳を傾けている。私たちの住む団地が建て替えになり、昨年すべてが完成した。戸数がふえ、たくさんの新しい住人が入って来た。目立つのは若い家族だ。ランドセルを背負う子どもがいる。ベビーカーを押す母親がいて、制服姿の中高生がいる。地域の小学校が活気を取り戻したという報告もある。その何もかもが、むかし私たちがここに入居した頃の、あの輝きに満ちた時代を思い出させてくれるのだ。人間が住んでいるって感じがするね。泣き声に耳を澄ませていた夫が、私を見てニッコリと微笑んだ。

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