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長期修繕計画
修繕プランと積立金がマンションの資産価値を左右する  
     
建物を長持ちさせるポイント  
     
修繕部位と周期  

免震マンションQ&A
長期修繕計画 建物を長持ちさせるポイント

 


 建築物のコストを考えるとき、その建築費のみを対象として評価しがちですが、建築費は建築物のライフサイクルコスト(生涯費用)から考えれば氷山の一角に当たるもので水面下に隠れている保全費・修繕費・改善費・運用費(光熱水道費等)、そして一般管理費等のコストを同時に含めて考えなければ本当の建築物のコストを検討したことにはなりません。上記の運用管理は一般に考えている以上にコストが大きく、建設費の4〜5倍に達する例もあります。


 鉄筋コンクリートでつくられ、堅牢に見えるマンションでも年数を経過するにつれて建物の各部(屋上防水・外壁塗装・鉄部塗装)及び付帯設備(受水槽・ポンプ・EV等)の劣化が顕在化してきます。鉄筋コンクリート造の耐用年数は諸説ありますが、法人税法・所得税法に基づく「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の規定によると47年と言われています。一説ではコンクリートの中性化がコンクリート内部の主要鉄筋に達する年限とも言われますが、必ずしも一様ではありません。過信することなく十分な保全処置が必要です。


 建物は経年と共に自然環境や人為的な環境の影響をうけ、徐々に現状性能の低下を起こしていきます。その性能を実用上支障の無い水準まで戻す行為を「補修」、初期のものに回復させることを「修繕」と言います。また、この他に初期の水準以上のものに仕上げ、快適性や利便性の向上を図る「改良」があり、「修繕」と「改良」を同時に行う場合には「改修」と言います。事前に長期的な改修計画を立て、時代のニーズや環境に適した「改修」を推進することは、資産価値の向上につながります。


 外部塗装の劣化をそのままにすると美観を損なうだけでなく、コンクリートの乾燥収縮によって生じる亀裂から雨水侵入や、空気中の炭酸ガスによるコンクリートの中性化により構造躯体そのものの耐用年数を減少させる結果となります。また、付帯設備の劣化はマンション生活に直結しているだけに、一度事故が発生すると断水、停電等の生活基本機能に障害が起こり緊急な対応が必要となり、余分な費用負担の増加と、一時的な生活行為の停止を余儀なくされます。これらの事態を事前に予防し未然に防ぐには、取りも直さずマンションの資産価値を保全し、快適なマンションライフを継続させることです。逆に適切な修繕工事を行なわず放置すれば、数年後に数倍の費用負担を強いられるか、またはスラム化への道を歩まなければなりません。


 健全なマンションを維持していくには、長期的な展望にたって修繕の時期や工事の内容・費用等を検討し前もって修繕計画を立案し、必要な修繕費用を毎月着実に積み立てておくことが肝要です。このような準備を怠ると修繕時期に居住者への一時負担金が発生し、工事の内容や自己都合による優先順位の説得、長期不在者・貸主への連絡、年金生活者・子供の進学・事業不振の経営者等の経済的事情への対処等、居住者の合意や協力に多大な労力と時間が必要となり全員の協力も得にくくなります。このような事態に陥らないために早い時期から管理組合の中に専門委員会を発足させ、事前に十分な内容の検討を行い長期の修繕計画をたてて無理なく全員の合意を得ることが必要です。


 長期修繕計画は過去の統計に基づき修繕周期、改修方法及びその費用を算定しています。しかし建物は立地条件・周辺環境及び個々の建物の持つ特性により劣化状況に違いが発生します。新しい材料や工法の開発による耐久性の増加やコストダウン、物価変動や消費税率の変化等の多岐に渡る原因が存在するため、定期的な建物の点検・診断により適切な修繕計画の修正とそれに伴う修繕維持積立金の変更を実施して確実な修繕計画の遂行が望まれます。


 中古マンションの転売時には購入者が不利益にならないように宅地建物取引業法により重要事項説明書のなかに修繕積立金額残高を記載するように義務付けられています。適正な積立金残高があれば有利な転売条件となります。