※【重要なご注意】このページは、1990年代以降に、長谷工コーポレーションの設計施工により建てられたマンションを前提に説明されています。建設時期や施工業者の違いなど、お住まいのマンションによってはあてはまらない説明もありますので、あらかじめご理解をお願いいたします。
床材を替えたり新しくするとお部屋の雰囲気が大きく変わります。しかし、床のもう一つの大事な機能は、音をさえぎること。下の階にご迷惑にならないリフォームを考えましょう。
マンションによって、コンクリートの上に直接床材を貼った『直床貼り』と、支持脚(支持ボルト)の上に合板などで床をつくってから床材を貼った『二重床』があります。どちらの方式でも、最初はその方式に合った床材が使われていますが、カーペットをフローリング(木材)にする場合や、フローリングを取り替える場合には、方式によって床材の選び方が変わってきます。床暖房を備えている場合は、「設備機器についてのご注意」もご参照ください。
(1) 直床貼りの場合は、軽量床衝撃音(コツンという音)が伝わりやすいので、「直貼り遮音フローリング」が使われています。これは、軽量床衝撃音の遮音等級(LL)の推定値が、45または40という材料です※。軽量床衝撃音の遮音等級(LL)は、数字が小さいほど、コツンという音が伝わりにくい材料です。どの等級で設計されているかはパンフレットなどで確認できますから、これを確かめて同じ性能以上のものを選んでください。
(2) 二重床の場合は、支持脚の上につくった床で衝撃音をやわらげていますので、フローリングは二重床にあった住宅用というものを選べばよいことになります。
※床仕上げの遮音等級は、一部で新たな表示(△LL等級)が開始されています。従来の遮音等級(LL)との対応についてはメーカー等にお問合せください。
最近のマンションでは、『薄畳(うすたたみ)』という、厚さ15〜35mmほどの畳を使っている場合があります。また畳表は、畳の厚さによって、天然のい草が使われたり、樹脂などの複合材料による人工い草が使われたりします。畳を取り替えたり表替えをするときには、畳表もできるだけ同じ種類を選びます。管理会社などに相談するなど、『薄畳』を取り扱える専門の業者に依頼してください。
※その他の床材に変更するときには
床材をカーペットや石、タイルなどに代えたいときは、軽量床衝撃音のほか、重量床衝撃音(ドスンという音)にも気をつける必要があります。床暖房設備がある場合には、床暖房に対応できるかや、床の高さが変わって段差が生じたり、ドアが開け閉めしにくくならないか、などの注意が必要となります。疵のつきやすさなど、床材としての向き不向きもありますので、マンションのリフォームに実績のある専門の業者に相談してからにしましょう。
天井に近い隅などの壁紙に、小さなシールが貼ってあるのをご覧になったことがありますか。このシールは貼ってある壁紙の性能を示したものです。
建築基準法には、階数や部屋の用途によって使用できる壁紙等が決められています。このシールを見れば正しい材料が使われていることが確認できるのです。不燃材料、準不燃材料、難燃材料の順に、燃えにくい壁紙になります。不燃材料が燃えにくさでは一番ですが、雰囲気や肌合いのため、法令の範囲内で難燃材料も使われます。
壁紙を貼り替えるときは、シール表示と同じ性能以上の壁紙を使ってください。
※例えばこんなところには:
- 熱源器廻り壁
キッチンのコンロなどから15cm以内の壁は、消防法の定めにあう壁の下地になっていて、仕上げもタイルなどの不燃材を使っています
- 特定範囲の壁紙
各戸のキッチンと11階以上の住戸の壁及び天井仕上げは、建築基準法の規定により準不燃材以上の仕上げ材を使っています。
壁紙の下地のつくりには様々な種類があり、場所により、またマンションにより使い分けられています。
マンションには、住戸の仕切りとなる戸境壁や外壁などコンクリート製の壁があります。この壁には、壁紙を直接貼る「直貼り」仕上げと、表面を整える石膏ボードの上に貼ってある「二重壁」があります。軽く叩いてみれば区別がつきますね。
最近の超高層マンションなどでは、戸境壁でもコンクリートの代わりに鋼製の下地やパネルを組み合わせた「乾式壁」も使われるようになっています。
戸境壁には、遮音や防火といった大事な役割があります。これは表面仕上げも含めて適切な性能を発揮するよう作られていますので、修理したり材質を変更したりする際は、予め管理組合などに確認するのがよいでしょう。
これに対して、住戸の中の間仕切り壁は、比較的に自由に変更していただけます。ただし、水や電気など大事な住宅設備を収めてある場合がありますのでご注意下さい。
時計や額など、壁にものを掛けたいことがあります。「直貼り」では、中のコンクリートは共用部分ですから、ビスや釘を打ったり穴を空けることはできません。掛けるものの重さに気をつけて接着系のフックを使います。また「二重壁」の石膏ボードには釘が効きません。接着系のフックや石膏ボード専用の取り付け金具のほか、木製や鋼製の下地がある場合には、これを探ってビスや釘を打ち込みます。
マンションによっては、ビスや釘を受けられる木桟をあらかじめ壁面に用意してある場合があります。
住戸の窓やガラス戸は、マンションの壁や柱と同じ共用部分です。ただし、日常の管理はそれぞれのお宅に預かっていただきますので、破損などの際には、個別にご負担をお願いしますが、保険がきく場合がありますので、管理組合にご確認ください。
ガラスは、建物の高さや形状により受ける風の大きさが違い、また延焼防止の役割もあるため、設置場所ごとに建築基準法の規定に適合した厚さと種類が選ばれています。破損などにより交換される際には、厚さやガラス種類を確認して、同じものに交換して下さい。変更を希望される場合には、マンションの共用部分であることを思いだして、可能かどうかを管理組合などに確認して下さい。
ガラスには様々な種類がありますが、マンションでは、1枚だけでできた「単板ガラス」を主に使用しています。最近は、ほかの種類も特性にあわせて使われるようになっています。
- 単板ガラスの種類
(1) 「透明フロート板ガラス」:
一般的に使われている透明な板ガラスです。
(2) 「型板ガラス」:
表面に模様が入ったガラスです。明るさは通しますが、内外の見通しはできませんので、視線をさえぎる場合に用います。
(3) 「網入り透明ガラス」:
建築基準法で定められた建物の延焼を防ぐところに使う金属線入りの透明で見通せるガラスです。よく誤解されますが、防犯的には意味がありません。
(4) 「網入り型板ガラス」:
「網入り透明ガラス」と同じように延焼を防ぐところで、廊下に面した窓など視線をふせぎたい場合に使われる金属線入りのガラスです。
- 複層(ペア)ガラス
2枚のガラスをわずかに離して周囲を密閉したガラスです。内部に封じ込めた気体のために優れた断熱性能を発揮しますので、省エネや結露防止に有効です。
- 合わせガラス
2枚のガラスの間にビニール系合成樹脂などを挟み併せて1枚としたガラスです。割れたときの飛散を防ぎ、耐貫通性能に優れていますので、安全対策や防犯に有効です。
窓の内側に取り付けられた障子は、室外からの視線をさえぎり断熱性を高めるといった直接の効果のほか、落ち着いた和室の雰囲気づくりに役立ちます。通常の障子は燃えやすいので、窓の位置によっては、建築基準法の定めにより、建具(サッシ)は木材ではなく、アルミなど金属製のものが使われています。紙の張り付けも普通の糊では付きにくくなっています。このような障子では障子紙は防炎製品を、枠は同等の品を使ってください。
防炎製品って何?:
消防庁の指導により、炎に接しても燃えにくい一定の性能を持つ繊維・紙・プラスチック等の製品を財団法人日本防炎協会が防炎製品として認定しています。
最近のマンションでは、省資源・環境保護のために、襖の芯をダンボール材としています。表には、鳥の子紙・新鳥の子紙といった和紙が使用されていますが、これをビニールコート紙や壁紙などに張替えると、張力の違いにより襖が反ることがあります。古紙リサイクルを促進するためにも専門の業者に依頼してください。
シックハウス症候群(化学物質による室内空気の汚染がひきおこす健康障害)を防止するため、2003年7月以降に建設されたマンションでは、原則として機械換気が義務付けられました。機械換気設備は24時間運転が原則ですから電源を切らないようにします。
またマンションは気密性が高いので、扉の開け閉めが重くなったりしないよう、住戸内のドアの下にアンダーカットという隙間やガラリなどの開口部分を設けてあります。機械換気設備が有効に働き、新鮮な空気が全ての部屋に行き渡るよう、アンダーカットや外壁の換気口をふさがないようにしましょう。
換気口にフィルターを備えたマンションでは、定期的なメンテナンスが必要です。取扱説明書に従って清掃・交換等をおこなってください。
機械換気の機器については、「設備機器についてのご注意」もご参照下さい。
なぜ襖や引戸等にはアンダーカットがないの?:
襖や引戸、折れ戸、障子は、四周等に十分な隙間があるので、特殊なものを除き、開口部分を設ける必要はないとされています。
火災など非常時に、安全なところに避難する経路は、建築基準法により2ルート以上確保することとされています。マンションでは、玄関から共用廊下・階段という日頃利用する歩行経路のほか、バルコニー側から隣戸を通って避難する歩行経路か、下階に脱出する避難器具を用意しています。どちらも一般的に『避難経路』といわれます。バルコニー側に避難する場合、避難先の階段又は器具までの間には、住戸間の簡易な仕切り(パーティション)があり、これを破って避難します。安全のため、この仕切り板の近くには、植木鉢や物入れなどを置かないようにしましょう。
お年寄りなど手摺りが必要な方のために、玄関からリビング扉に至る廊下や、便所内の壁には、手摺をしっかり取り付けられる下地材が石膏ボードの奥に用意されている場合があります。
また、このような用意がない場合でも、専門の業者などに壁の柱材の位置を確認してもらえば、しっかりとした手摺を取り付けられます。体重をかけるものですから、取り付け強度の不足した手摺はかえって危険だということを覚えておいてください。