さらに詳しくSECOND STEP
開発ストーリー
長谷工がこれから取り組んでいく木造建築や非住宅物件。特徴的な3つの物件に関わった主要メンバーのこだわりや成長した点についてご紹介します。
PROJECT
03
ブランシエスタ目黒中央町
outline
木造とRC造を組み合わせて設計・施工するという新たな挑戦に踏み出したブランシエスタ目黒中央町。性能や安全性を確保しながら、環境配慮や居住快適性も追求した日本初となる木造・RCハイブリッド構造を実現した物件です。

01
企画
PLAN
経済学部経済学科卒
2011年入社
不動産営業
不動産営業は、事業に最適な土地を選定し、地権者との交渉や契約を行う役割。事業のスタートを担う、企画の起点となる重要なポジションです。
真摯な対応が実を結んだ交渉の舞台裏
本件は地主様が過去のM&Aの中で取得された物件で、事業所集約により将来不要になることから当社へ購入検討の依頼を頂きました。本件の仲介会社様は当社と複数の成約実績があり、既に「長谷工ファン」となって頂いていた為、地主様からも当初から当社をご信頼頂くことができました。途中、ご提案頂いた取引条件を大きく変更せざるを得ないという事態になり、地主様からすると受け入れにくいご提案をさせて頂いた際にも、「長谷工が言うなら」と真摯にご検討頂き、最終的に受け入れて頂けたことが本件を取得できたポイントであったと考えております。
前例なきスキームで乗り越えた難局
取引条件として当社の土地建物取得後も地主様がしばらく建物を使用する条件でしたが、建物の安全性担保がとれていないことから当社として建物は保有できないという判断になる中、社内の関連部署に相談、知恵をふりしぼり当社は土地のみを取得しながらも将来確実に建物を明渡し頂くスキームを考え事業提案しました。当時社内上あまり事例のないスキームの中、大切なお客様の信頼を裏切れないプレッシャーと戦いながらも無事成約できた時の喜びはひとしおでした。
経営学部卒
2017年入社
受注営業
受注営業は、市場や顧客ニーズを踏まえ、デベロッパーと連携しながら建物の仕様や商品性を検討。プロジェクトの価値を最大化する提案を行うポジションです。
手探りから始まった工事費算出と日程構築
本物件で何よりも苦労した点としては、各部門初めての挑戦をしている点でした。営業担当として、プロジェクトを推進するにあたり、『工事費の算出』、『日程の構築』の大きく2つの業務がありました。初めての挑戦の為、工事費がいくらになるか、その算出にどれぐらいの時間を要するものなのかもわからず、全員が手探りな状態でした。そういった中、関連各部と何度も会議を重ね、プロジェクトが行き詰らないようコミュニケーションを取りながら、全員の協力を得ることで2つの業務を完遂できました。
経験こそが未来を創る力になる
今回私自身が学んだことは『経験』だと感じています。何をするにしても『やったことがある』というのは強みになります。今後、世の中はさらに環境配慮型の木造マンションの注目度が上がってくるかと思います。長谷工も環境への配慮や、カーボンニュートラルにどれだけ寄与できているかなど、社会的にもより強く求められてきます。そういった世の中の流れの中で、本物件に携われたからこそ、さらに次の物件へと利用することのできる『経験』は今回の一番の学びとなりました。長谷工の建築の進化につなげていきたいと考えています。
商学部経営学科卒
2006年入社
事業主
事業主は、建物の完成後の活用方法や収益性を見据えた全体計画を立て、企画を主導。設計・施工とも連携しながら、事業全体の方針を定める役割を担っています。
初挑戦の4層木造、安心感と魅力の伝え方に苦心
立地特性やマーケットからターゲット選定やそれに見合う商品企画は毎回悩むのですが、今回は一部木造という事でより一層苦労しました。また、4層積層木造が長谷工として初の取組みで前例がない中、顧客に構造上の安心感や木造のメリットの訴求方法にはとても気を使いました。商品的には構造の木部が被覆されて表に出てこないのですが、少しでも木質化することによって木の良さを表現したり、広々としたメゾネットタイプの住戸は、戸建て感覚が味わえるように普段マンションでは実装しないガス式の乾燥機を実装したりと新たなチャレンジも試みています。
長谷工のグループ力を再認識
新商品の導入物件を担当するといつも長谷工のグループ力の高さに驚かされるのですが、本件の技術陣~サービス関連の部隊まで一丸となって様々な事象を検討し解決していく様子は、今まで以上に学びになるとともにその一員で居れたことに感謝しました。一方で、マンションなのに木造という商品が市場で受け入れられるのか正直疑心暗鬼な部分も正直ありました。しかしながら、徐々に空室が埋まっていく状況や他デベロッパーの見学の多さをみると、一般のお客様の環境配慮への意識や世の中の意識の高まりを改めて感じることができました。

02
設計
DESIGN
理工学部建築学科修士課程卒
2001年入社
意匠設計
意匠設計は、建物の外観や内装・空間構成など、見た目や使いやすさを設計。デベロッパーや各部門と連携しながら、理想の住まいを形にしていく役割を担っています。
脱炭素時代の先駆け、複合構造で魅せる住まい
本件は地元の人々にも馴染みの深いデザイナーズホテルがあった場所に計画されています。そして目黒通り沿いという好立地、グループ事業としての新たな挑戦に相応しい環境条件でもありました。脱炭素が謳われる昨今の社会的背景から本計画では7階建てのうち上層4層を鉄筋コンクリート造(RC造)と木造のハイブリット構造とする初の試みに挑戦。木造部分では軸組工法、RC造では厚肉床壁工法を採用するという複雑な条件下、住戸内においては複数のメゾネット住戸を計画し魅力的な住空間を多様な形で実現、特徴的な外観や2層吹抜の重厚感のあるエントランスと木質感漂う上質なラウンジも魅力的な空間の一つです。
困難を乗り越え、街に息吹を与えた建築の挑戦
本格的な積層木造での計画は設計・施工どちらの分野でも初の試みであり、全てが新たな学びであった事は関係者皆の共通認識であったと思います。住空間を最大限広く正形に構成したRC造、床・壁・天井を木造で形成した納まり、新部材によるファサード構成、区画貫通規制を解決しつつ適正な納まりを実現した電気・設備計画、どれもが初めての課題ばかりでしたがそれを着実に乗り越え、街に新たな息吹きを与える建物を誕生させることが出来ました。課題への挑戦では苦労を重ねた事全てが結果に結びつくとは限りません。ただその道程で試行錯誤しやり直し、結果に到達する事で課題以上の成果を手にする事ができるのだと思える経験でした。
創造理工学部建築学科卒
2015年入社
構造設計
構造設計は、建物の安全性を担保する柱や梁などの骨組みを設計。耐震性や施工性にも配慮し、安心して暮らせる住まいを支える役割を担っています。
大学と連携し築いた独自の構造計画
4層の積層ハイブリッド木造は世の中でもほとんど例がなく、構造計画を一から作り上げる必要があったのですが、大学の先生の知恵も借りながら確認審査機関と繰り返し折衝を行い、本物件の基本計画を作り上げたのは、他の案件にはない動き方でした。苦労した点としては、特に一般的な戸建て住宅に比べて今回は負担する地震力も大きいので、RC部分と木の梁とをつなぐ接合部の設計です。負担する力が大きいことで、接合する金物はかなり大きいものになりますが、施工面では大きくなることで精度の確保に影響することがあり、施工部門と調整に調整を重ね現在の接合部の形を作り上げました。
各設計担当が織りなす調整の重要性
長谷工初の住戸での積層木造でしたが、配管やダウンライトを設置する位置に合わせて木梁の位置を調整したり、仕上げ材の納まりに合わせて接合金物のサイズを調整したりと、RC造の設計では配慮しなくていい部分まで配慮が必要で、構造設計者が意匠・設備・電気の詳細納まりを意識しながら設計する必要がありました。そのため、構造関連だけではなく他の分野の知識に関して大きな学びがありました。また、今回は木の柱・はりも一般の流通材では対応できないサイズが必要だったので、木の材料の作り方に関しても新しい学びがありました。


03
施工
CONSTRUCTION
建築経済学部卒
2008年入社
施工管理
施工管理は、現場の進捗や品質・安全を管理し、設計図上の建物を形にします。職人や協力会社と連携し、工事全体をまとめる存在です。
通用しないセオリーと向き合う現場の知恵
入社以来15年間、RC造のマンション物件のみを担当してきました。長谷工のRC造マンション物件の施工には安全を確保する為の作業手順、品質を確保する為の施工要領にセオリーがあります。これを落とさずに組み合わせ、工期内に納めるのが工程管理ですが、本物件はこのセオリーが通用しないので苦労しました。求められる要求品質は何か、それはどのように作業すれば確保出来るか、どのような手順なら安全か、どこかに短縮できる無駄はないか…等々、毎日四六時中現場のことを考える、技術者としてのやりがいに満ち満ちた物件でした。
愚直な努力が導いた木造ハイブリッドの成功
「一生懸命頑張ります」と言う新入社員時の言葉。この愚直に一生懸命取り組むことが大事なのだという原点回帰が新しい学びでした。右も左もわからなかった木造ハイブリッド案件、不安は尽きませんでしたが、それでも無事に終わり、それはそれは素晴らしい建物が完成していました。わからないことを理解するには、理解する努力をするしかありません。設計図書を読み込み、関連部署と打ち合わせを繰り返し、一つ一つ理解を重ねて施工計画を立て管理する。関係者全員の日々の努力の積み重ねの結果が建物竣工です。施工管理職の魅力を再認識した物件でした。


