「つぎのつなぐをどうつくる?」を合言葉に、長谷工グループと建築家が共創して生まれた未来のルームツアー。この動画が生まれるまでの軌跡をご紹介します。
部署の枠をこえた
共創ワークショップ
2050年の暮らしはどうなっているだろう?そのとき長谷工にできることはなんだろう?ワークショップに参加したのは、部署も年次もバラバラな 40人の社員たち。社内アンケートで集まった 4,000件以上の回答を参考に、さまざまな視点で議論をしていきました。
社員から生まれた
23のアイデア
ワークショップを経て、未来の人と人とのつながり方や、これからの自然との共生の仕方など、23個のアイデアが生まれました。長谷工の技術やリソースを活かしつつも、マンションや住まいに留まらない自由な発想が飛び交いました。
1
旅する家
Anywhere house
2
ホログラムスペース
Hologram space
3
AIお気づきマンション
AI smart condo
4
積層都市
Layered city
5
プロフィット・
マンションFor-profit shared condo
6
パーソナルチューター
Personal tutor
7
究極のDIYルーム
Ultimate DIY room
8
ひとちかキューブ
ハウスCube house
9
夢見トレーナー
Dream trainer
10
家族街 仲間街
Family community
Friendly community11
なんでもシェア
Share it all
12
リモート建設
Teleconstruction
13
気分アジャストルーム
Mood-aligning room
14
テーマ型モジュール
マンションThemed modular condo
15
特産品マンション
Regional products condo
16
わたしのAITSU
My AITSU
17
住所:地球日
Address : Earth
18
日めくりわたし
Day-by-day me
19
NEOウゴクロ
Neo UGOCLO
20
自然共創型マンション
Nature-integrated condo
21
月面宇宙林業
マンションLunar forest condo
22
アップサイクル
マンションUpcycling condo
23
エイジングマンション
Aging condo
キーワードから
見えてきたもの
ワークショップで生まれた 23個のアイデアから、核となる 12個のキーワードを抽出。その中で見えてきた、長谷工社員がこれまで大事にしてきて、今後も提供し続けたい価値は、あらゆるものを「つなぐ」ということでした。
- 旅する家
- 積層
- プロフィット
- ひとちか
- 家族街 仲間街
- リアルとバーチャルの融和
- 特産品
- シェアの概念の拡張
- 住居:地球
- アップサイクルマンション
- エイジングマンション
- 自然共創型
2つの大きな問い
前述の12個のキーワードを組み合わせ、2つの大きな問いを立てました。さあ、「つぎの つなぐをどうつくる?」
-
- Question #1
- 自然とつながれる、
自給自足な
マンションとは?
-
- Question #2
- 古い建物を
活かしながら、
世界とつながる
マンションとは?
2組の建築家ユニット
との共創
それぞれの問いへの答えを、気鋭の若手建築家ユニット 2組と共に考えました。コンセプト設計から間取り、細部に至るまで濃密に意見を交換し、未来のくらしを想像。
長谷工のエンジニアリング事業部も交え、ワークショップで出たアイディアの融合とブラッシュアップをしていきました。そして、自然とつながる「棚田テラス」、世界とつながる「LINK ROOM」、2つの住まいが生まれました。
-
o+h棚田テラス
-
-
KUMA&ELSALINK ROOM
-
棚田テラスは、棚田のような多層的な階段構造を持ち、自然との共生を実現する集合住宅です。従来のマンションの枠を超え、植物や動物との調和、豊かなコミュニティ形成を目指す暮らしのあり方を追求しています。光、風、雨などの自然を受け止めながら、住民と共に育っていきます。
共用部
「棚田テラス」は、住居の他に、共同菜園、池、森といった多様な自然環境を内包しています。ニワトリやヤギ、池の魚など多種多様な動物も暮らす、自然あふれる環境です。また住居で出たごみを肥料にするコンポストを設置したり、漁業と農業を組み合わせるアクアポニックス技術を取り入れるなど、循環型の暮らしを実現しています。
共同菜園・
共同窯
住人が自由に野菜や作物を育てることができ、ドローンを用いて収穫も可能です。収穫した食材は、共同窯で調理することができ、住民同士でバーベキューをするなど、親睦を深める機会にもつながります。
池
屋根から集めた雨水を貯める池は、菜園への利用や防災用水としても活用されます。
森
動物たちが暮らすだけでなく、収穫された農作物などの配送を担う「ふくろう型ドローンの待機場所」としても機能します。
専有部
「棚田テラス」の住居内部は、部屋同士を区切る壁を用いていません。段差により空間をゆるやかに分けることで、動物も上がれる層や靴を脱いでリラックスできる層など、各層でさまざまな過ごし方を楽しむことができます。
バスリビング
玄関付近に配置されており、屋外とシームレスにつながっています。菜園で採れた野菜をそのまま洗える水場も用意されています。
メイン
スペース
住居の中心となる土間は、ライブラリーやクローゼットも完備。大きな窓越しに棚田テラス全体の景色を望むことができ、家族が自然と集まりたくなる空間に なっています。
屋根
屋根外部には、色合いや質感に変化があり、太陽光発電ができるテキスタイルを使用。住居全体の電力をまかないます。屋根内部には膜材を使用し、やわらかく明るい光 を通します。
可動式
キッチン
コンロ、シンク、テーブルのすべてが可動式になっており、メインスペース、屋外テラスどちらでも使用できます。ご近所さんと一緒に料理・食事を楽しむことができます。
とまり木
屋外テラスには、ふくろう型ドローン用のとまり木を設置。収穫された農作物などを各住戸に届けてくれます。
離れ
メインの住戸と別に、SOHOも設置。小上がりスペースやハンモックがあり、リラックスできる空間。寝室としても、ご近所同士でシェアできるリビングルームとしても活用できます。SOHO前に敷かれた石畳の小道は、ヤギなどの動物たちも行き来します。
建築家
o+h
大西麻貴(写真左)と百田有希(写真右)による建築設計事務所。おもな作品に「シェルターインクルーシブプレイス コパル」(2022年)、「熊本地震震災ミュージアムKIOKU」(2023年)、「Good Job! Center KASHIBA」(2016 年)、「二重螺旋の家」(2011年)ほか。おもな受賞に、2024 年度JIA ⽇本建築⼤賞、2023年日本建築学会賞作品賞、第 34 回村野藤吾賞 (2025 年)、第 64 回 BCS 賞(2023 年)、2024年度JIA日本建築大賞ほか。第18回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本観展示のキュレーター(大西)、副キュレーター(百田)を務める。
スケッチ | 模型
古い建物から始まる、
外の世界とつながる住まい
築年数を重ね、建て替えのできないマンションが増える2050年。築80年のマンションを「つながり」をテーマにリノベーションしたのが「LINK ROOM」です。 私とあなた、リアルとデジタル、生き続ける建物と消えていく建物。外にある様々なものとの関係を、日常の中で感じられる、住まいの未来の形です。
外観
耐震補強
人の手では困難な作業をデジタルが担うことで、本来廃棄される素材に新たな役目を与えたいと考えました。解体された別の建物の構造部材にセカンドライフを与え、このマンションの耐震補強材としてリユースします。もともと廃材だった構造体の破片ひとつひとつをAIがスキャンし、マンション各部の構造的特性に応じて補強材を軽快なリズムで配置します。部材ごとに異なる形をしたユニークな補強材が各住戸に個性を与え、その集合体としてファサードを形づくります。
内観
屋外(共用廊下、ベランダ)から、半屋外(土間、縁側)を経て、断熱改修された中心部の居室へ。開放性と室温の変化を、段階的に肌で感じられる平面計画です。
ウール仕上げ
主に食用として羊が飼育される日本では、多くのウールが廃棄されている現状があります。この住戸では、本来捨てられるウールを、断熱材を兼ねた仕上げとして利用しました。ウール本来の撥水性・調湿性・吸音性を活かすために、ワンルーム内の場所ごとの特性や機能的な要求を細かく読み取り、それぞれに適切なウールの厚みをAIが算出しています。
三日月型の
自然光
居室には、太陽光を反射して室内に取り込むソーラーチューブを設置。天井の円盤内の三日月形から、自然光が降り注ぎます。できるだけ人工照明に頼らず、部屋のどこにいても太陽光の中で心地よく過ごすことができます。チューブ内にダンパーを設け、生活シーンに合わせた光量の調整も可能にしています。また、光だけでなく、キッチンと浴室から排気される空気の熱を利用して、屋上の熱交換で温められた外気をソーラーチューブを通じて室内へ供給する、給気ダクトの役割も担っています。
円盤の余白
天井の円盤内にある三日月形。その残りの余白は、世界のどこかに広がる空を映し出すデジタルモニターであり、キッチンと浴室用の換気設備としても機能します。室内にいながら、国内外で離れて暮らす家族や恋人など、大切な人の頭上に浮かぶ空を共有することができます。「太陽光の三日月」と「夜空の余白」のような、リアルとデジタルが室内に同時に存在しています。
ヒート
ボックス
シャワールーム、トイレ、洗面所といった水回りをまとめたレンガタイルのボックス。壁内の配管から伝わる熱によって、ボックス自体が放熱するシステムです。
引戸型
モニター
土間・縁側の間仕切りとして、解体された古い家屋で使われていた建具のフレームを再利用し、片面に自己発光ガラスを張った引戸型モニターを設けています。窓側にはリアルな風景が広がる一方で、室内側には別の場所の景色が映し出され、二つの景色と二つの時間が同居します。たとえば、「夕焼けに染まる東京」を眺めながら、留学中の娘が暮らす「スペインの早朝」を感じるような、遠くにいる家族に思いを馳せる居場所です。
開戸型
モニター
戸堺壁にはリユースした窓枠によるオンラインコミュニケーション・モニターを設置。リアルとデジタル、その二つの景色のあいだで、遠くの相手とつながります。モニターを開くと現れる開口部を通してお隣と直接コミュニケーションができ、やりとりはデジタルからリアルへと切り替わります。
ヒートチェア
オンラインコミュニケーション・モニターの発熱を利用し、放熱する銅管でつくられた椅子。モニターに映る人や動物などの体温情報を読み取り、その温度が椅子に再現されます。視覚や聴覚だけでなく、相手のぬくもりまで感じ取る、未来のコミュニケーションのかたちです。
建築家
KUMA&ELSA
隈翔平(左、1983年福岡県生まれ)と、エルサ・エスコベド(右、1990年スペイン・ビルバオ生まれ)による建築設計事務所。それぞれミラノ工科大学大学院、スイス連邦工科大学ローザンヌ校修士課程を修了後、2018年に日本とフランスを拠点にKUMA&ELSAを設立。IED Kunsthal(スペイン)および九州大学で非常勤講師を務める。近作に「One Water (大阪・関西万博パビリオン)」(2025年)、「House by the temple」(2024年)など。AR Emerging awards 2025 finalist(イギリス)に選出。
スケッチ | 模型
設備・構造設計検証 :
Stan Pratviel, Julien Pathé (Société Coopérative 2401)
2050年の住まいと暮らしを描く――。HASEKO 2050 Room Tour Projectではグループ全社員約9000人に問いを投げかけ、その声をもとに中堅・若手40名がワークショップで議論を重ねました。その先に見えてきた未来とは?プロジェクトメンバーの6名に話を聞きました。
参加メンバー(写真左から):
本庄|㈱長谷工アネシス 価値創生部門FIT開発部
福島|㈱長谷工アーベスト 営業企画部
桃原|㈱長谷工アネシス 価値創生部門FIT開発部
多田野|㈱長谷工コーポレーション エンジニアリング事業部
第5設計室
長谷川|㈱長谷工コーポレーション エンジニアリング事業部
デザイン室
村尾|㈱長谷工コーポレーション エンジニアリング事業部
第3設計室
※所属先・肩書は2026年3月時点のもの
01
社員の思いから生まれた
未来への挑戦
― そもそもHASEKO 2050 Room Tour
Projectはどういう経緯で始まったのですか?
このプロジェクトの前身には、「長期ビジョンワーキング」という取り組みがありました。中堅・若手社員10人が集まり、「20年後、30年後の長谷工グループはどうありたいのか」を考え、今から何をすべきかを経営に提言する。そんな、かなり大きなテーマに、約10カ月かけて向き合ったプロジェクトです。
このミッションの座長を務めたのが、現在の社長である熊野聡です。社員と同じ目線で議論に加わり、2050年の住まいと暮らしについて、立場を越えて自由に話し合いました。
議論を重ねるなかで、「2050年の住まいと暮らし」のイメージは少しずつ形になっていきました。ただ、文章やイラストといった静的な表現だけでは、思いのすべてを伝えきれない。しかも、それでは多くの人に届かない。そんな課題も見えてきました。
そこで、「2050年の住まいと暮らし」を動画として描き、世の中に発信する。共感を広げていくことこそがゴールなのではないか――。そう考えて、2025年1月にスタートしたのが、HASEKO 2050 Room Tour Projectです。
― HASEKO 2050 Room Tour Projectはどんなメンバーで、どんな風に進めていったのでしょうか?
まず、グループ約9000人の社員を対象に「未来洞察アンケート」を実施しました。すると、4665件もの回答が集まりました。その声を土台にして、長谷工グループ全体から中堅・若手を中心とした約40名を選抜し、2日間のワークショップを行いました。
会社や年齢、職種の垣根を越えて7つのグループに分かれ、「2050年に、どんな住まいと暮らしを実現したいか」をテーマにじっくり議論しました。普段の仕事ではなかなかできない話ができて、とても濃い時間だったと思います。
― 9000人の中から選ばれた40名によるワークショップ、雰囲気はどうでしたか?
参加メンバーは、入社2年目の若手から、40代後半の管理職クラスまで本当に幅広かったですね。営業、企画、設計、施工、サービスなど、職種もばらばらでした。
より自由に発想するために、最初に決めたルールは「アイデアを否定しないこと」。普段の業務とはまったく違って、とにかく誰かの意見に乗っかって広げていく。そんな空気が自然に生まれて、気づけば時間が足りなくなるほど盛り上がっていました。
02
「マンションが動く」
―型破りなアイデアの数々
― ワークショップではどんなアイデアが出てきました?
印象に残っているのは「旅する家」ですね。今のマンションは地面に固定されて動きませんが、2050年には住戸やユニット自体が移動し、自分の好きな場所で、気の合う人たちとつながって新しい集合住宅をつくれるのではないか、という発想です。実現可能かどうかは別として、「不動産」という概念そのものが変わる、面白い議論でした。
ただ住むだけではなく、暮らしにプラスアルファの価値を感じられるアイデアが多かったですね。「特産品マンション」という案では、お米や野菜などの農作物を育てながら暮らし、離れた場所にある住まい同士で、それぞれの特産品を交換し合う。スケールを広げた自給自足のような発想で、とてもユニークだと感じました。
「家族」のあり方が変わっていく中で、血縁に限らず、趣味や好きなものを起点に人が集まって暮らす、というイメージも共有されました。たとえば「サッカー好きが集まる街」など、街そのものがはっきりとした個性を持ち、人はそうした街を行き来しながら暮らしていく。そうしたアイデアには、とくに共感が集まっていました。私だったら「ペットフレンドリーな街」がいいですね。
― 長谷工はゼネコンなので、建築技術を中心にアイデアが出てきたのかと思いましたが、ソフト面の議論も多かったようですね。
そうですね。決して「建物ありき」ではありませんでした。私は普段、設計の仕事をしているので、どうしても「それぞれの設備をどう配置するか」といった、ハードの話に目が行きがちなんです。
でも今回は、さまざまな職種のメンバーが集まりましたので、技術的な制約をいったん横に置いて「住む人にとって心地いいかどうか」という生活者目線で、かなり踏み込んだ議論ができたと思います。
最終的にまとまったアウトプットは、ちゃんと「住まい」が共通テーマになっていたので、その点は少し安心しましたね。
たしかに「もうマンションは要りません!」とか言う人はいなかったですね(笑)。
03
つながりを象徴する
「棚田テラス」と
「LINK ROOM(リンクルーム)」
― 最終的に2050年の暮らしはどう見えてきましたか?
メンバー全員に共通していたのは、「集まって暮らす豊かさ」や、「誰かと共に暮らすことの価値」を、もう一度丁寧に考えたいという思いでした。2050年には、単身世帯が今以上に増え、「一人で暮らす」という選択が、より当たり前になっていくと考えられます。
その一方で、長谷工はこれまでマンションをつくり続けてきた会社です。だからこそ、一人で暮らすことが当たり前になる時代にあっても、人と人がつながることの意味や価値を、住まいを通じて提供し続けたい。そうした意識が、今回の議論の随所に強く表れていたと思います。
― 議論を通じて、参加したみなさんの気持ちも変わっていったのかもしれません。
そうですね。この「人と人とがつながる」というキーワードから、長谷工は建物というハードやそこでの暮らしというソフトに加えて、「つながり」もつくる企業になりたいんだと発展しました。
住む人同士のつながり、家族とのつながり、趣味を通してのつながり、自然とのつながり、さらに世界とのつながりや過去とのつながり……といったあらゆる「つながり」をつくっていきたいという気持ちが出てきたように思います。
そして最終的に、つながりを象徴する2つのシーンに行き着きました。それが「棚田テラス」と「LINK ROOM」です。
― 「棚田テラス」と「LINK ROOM」とは、具体的にはどのようなものですか?
「LINK ROOM」は、ワークショップで出てきた複数のアイデアを、組み合わせてブラッシュアップしたものです。2050年には築80年を超えるような古いマンションストックが大量にあります。それを単に建て替えるのではなく、リノベーションしつつ、新しい価値を吹き込みたいと考えました。限られた室内空間で世界や過去・未来、あらゆるものとつながれる体験を演出したいと考えました。
「棚田テラス」に関しては、「長期ビジョンワーキング」の頃からの議論がベースです。未来技術が進むと、自動車は街中の駐車場から自動運転で呼び出せ、ごみ収集ロボットにより、街の集積場に自動でゴミを運んでくれる。これによって、マンション内の駐車場やゴミ置き場、駐輪場などはなくなり、敷地の土地が広くとれる。
そうなると、今まで街中の小さな敷地内に、すこし窮屈に押し込んでいた住棟を、もっと横に広げて、低い建物でも作れるかもしれない。そこから日本の自然の地形に沿った「棚田」のような形状にし、セキュリティのフェンスもなくして街とシームレスにつながる。建築技術や生活は進歩していくからこそ、逆に温かみのある、原点回帰した空間を作りたいという思いが込められています。
04
建築家との協働で広がった発想
― 今回、「棚田テラス」では建築家ユニット「o+h(大西麻貴+百田有希)」さんともコラボされたそうですね。
建築家のお二人には、私たちのアイデアを一緒に磨き上げてもらいました。
自分たちだけで考えていると、どうしてもコストや合理性といった「効率」の発想に引っ張られてしまい、形も四角い箱に収れんしがちです。そこに対して、「その前提、本当に必要ですか?」と問いを投げかけてもらったような感覚でした。
私が最初に思い描いていた「棚田テラス」は、バルコニーが段々に連なる、立体的な集合住宅のイメージでした。ところがo+hさんとの対話の中で、「棚田とは、形そのものではなく、土地と人の営みが連続している状態なのではないか」という視点が示されたんです。
その言葉をきっかけに、発想が大きく変わりました。建物を棚田の上に載せるのではなく、建物そのものが大地の延長として立ち上がっていく。そんなイメージへと転換していきました。
結果として、従来のマンションという枠では捉えきれない、風景の一部のような建築へと発展できたと思います。自分たちだけでは辿り着けなかった地点であり、外部の建築家と協働したからこそ生まれた発想だったと、強く感じています。
― 「LINK ROOM」では、建築家ユニットのKUMA&ELSAさんとコラボレーションしましたね。
「LINK ROOM」の出発点にあったのは、ホログラムなどの先端的なデジタル技術を使って、離れて暮らす人同士がつながれる空間をつくる、という発想でした。
KUMA&ELSAさんとの対話を通じて、その「つながり」の意味が大きく広がっていきました。人と人だけでなく、素材や時間も含めてつなげていく。たとえば、廃材となったコンクリートを再利用したり、捨てられてしまう羊毛を断熱材や壁材として活用したりと、建物そのものをアップサイクルする視点が加わりました。
過去に役目を終えた素材が、未来の暮らしを支える存在としてよみがえる。そこには、時間が断ち切られずに連続している感覚があります。その連なりも「LINK」という言葉に表現されています。
当初は、四角い部屋に映像を投影し、外部とつながる空間を想定していましたが、古いコンクリート片を照明の一部として組み込むなど、デジタルとアナログ、過去と未来を重ね合わせる発想が生まれてきました。結果として「LINK ROOM」は、単に人がつながる部屋ではなく、人・素材・時間が重なり合う空間へと進化していったと思います。
05
縦型ショート動画で
若年層に届ける未来のワクワク
― 発信方法としてTikTokなどの縦型ショート動画を選んだのも新しいですね。
未来の担い手である20代くらいの若年層に響かせたいと考えたとき、縦型ショート動画というメディアに行き着きました。
「ルームツアー」を採用したのは、企業が一方的に技術やアイデアを説明する動画はなかなか見てもらえないと思ったからです。インフルエンサーが「部屋を紹介する」という形式で、生活者の視点から自然に技術や暮らしを説明することで、観た人が「自分ごと」として感じワクワクしてもらえるものを目指しました。
動画を観て、まずは「なんか長谷工って面白いな」くらいの感想でもいいと思います。そこから「長谷工をもっと知りたい」になったら嬉しいですね。
06
「長谷工でよかった」
― プロジェクトがもたらした
変化
― 最後に、このプロジェクトを通じて会社や未来に対する見方は変わりましたか?
正直に言うと、入社したときは、こんな取り組みをする会社だとは思っていませんでした。もっと体育会系というか、ガツガツした会社のイメージがあったので(笑)。
でも、こうしたユニークな企画や、未来について本気で考える場があったことで、モチベーションはかなり上がりました。「長谷工でよかったな」と、素直に思えましたね。
いいこと言いますね(笑)かっこいいスローガンを掲げるよりも、最終的にステークホルダーや社員一人ひとりに「長谷工でよかった」と感じてもらえるかどうかが大事だと思っています。HASEKO 2050 Room Tour Projectは、そのためのプロジェクトだったんだと、あらためて実感しました。
今回のプロジェクトを通じて、長谷工は「建物をつくる会社」であると同時に、「未来を考え続ける会社」でありたいと、強く感じました。正解を最初から決めるのではなく、社員一人ひとりの問いやアイデアから、これからの住まいや暮らしを描いていく。そのプロセスそのものに、価値があるのだと思います。
だからこそ、HASEKO 2050 Room Tour Projectは完成形ではなく、あくまで出発点です。社内に向けては、「未来を自由に描いていい」というメッセージになりましたし、社外に向けても、長谷工がこれからどんな姿勢で社会と向き合っていくのかを示す、その一歩目になれば嬉しいですね。


















