「古いアパート」は相続の負担?それとも節税の味方?修繕と売却の判断基準

親から古いアパートを相続したとき、「このまま持ち続けていいのか」「売ってしまった方がいいのか」と悩む方は少なくありません。古いアパートは一見すると負担に見えますが、使い方次第では大きな節税効果をもたらす資産にもなります。今回は修繕・維持か売却かを判断するための基準を整理します。
古いアパートが「節税の味方」になる理由
アパートなどの賃貸不動産は、相続税評価額が現金や更地と比べて大幅に低くなる特徴があります。土地は「貸家建付地」として評価減、建物は「貸家」として評価減が適用されるため、同じ価値の資産でも現金で持つより相続税が低くなるのです。
さらに築年数が古い建物は固定資産税評価額が下がっているため、相続税評価額も低くなる傾向があります。古さが、逆に節税面ではプラスに働くことになります。
持ち続けるべきケース
以下のような状況であれば、修繕しながら維持する選択肢が有力です。
- 入居率が安定している
空室が少なく、家賃収入が安定して入っている場合は、収益資産として機能しています。修繕費をかけてでも維持する価値があります。 - 立地が良い
駅近・人口が増えているエリアなど、将来的な需要が見込める立地であれば、長期保有で売却時の値上がり益も期待できます。
売却を検討すべきケース
一方、次のような状況では売却も真剣に検討すべきです。
- 空室が多く赤字になっている
修繕費・固定資産税・管理費がかさみ、家賃収入を上回る支出が続いている場合は、持ち続けるほど損失が拡大します。 - 大規模修繕が必要な時期に差し掛かっている
築30〜40年のアパートは、外壁・屋根・設備の大規模修繕が必要になる時期です。修繕費が数百万〜数千万円になるケースもあり、投資回収が見込めなければ売却した方が合理的です。 - 相続税の納税資金が必要
もし相続税を支払うための手元資金が少ない場合、納税資金確保のためにアパートを売却しての納付の検討が必要です。ただし、申告期限まで亡くなってから10ヶ月しかないことや不動産の売却に別途所得税がかかることを含めて複合的に検討をする必要があります。
「取り壊して更地に」は要注意
古いアパートを取り壊して更地にすると、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。また、更地は相続税評価額も高くなるため、節税効果が失われます。安易に取り壊す前に、税務上の影響をしっかり確認することが重要です。
判断に迷ったら「収支シミュレーション」を
修繕か売却かを判断するには、今後10年間の収支をシミュレーションするのが有効です。修繕費・管理費・税金などのコストと、見込まれる家賃収入を比較して、どちらが有利かを数字で確認しましょう。感覚ではなく、数字をもとに判断することが大切です。相続後は早めに専門家へ相談し、最適な方針を決めることをおすすめします。
執筆:伊藤会計事務所 税理士 伊藤 桜子
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