マンションの壁の素材や中身|棚の取り付けや壁紙の張り替え方法を紹介 

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どこの家にも必ず壁はありますが、ご自身が住んでいる家の壁の構造や素材についてよく知らない方も多いのではないでしょうか。壁についての知識があれば、内壁の素材を変えたり家具を取り付けたりして、自分らしい部屋作りが楽しめるようになります。 本記事では、マンションの壁の種類や構造、内壁の素材などを解説します。さらに、マンションの壁に家具などを取り付ける方法や、壁紙を張り替える際の注意点なども紹介。好みの部屋を作る際の参考にしてみてください。

 

マンションの壁は、何を区切っているかによって下記の3種類にわけることができます。

 

・外壁
・戸境壁
・間仕切り壁

 

外壁は、家の中と外を区切っている壁で、外周壁とも呼ばれています。戸境壁は、マンション内の自分の住戸と隣の住戸を区切る壁です。そして、間仕切り壁は、住戸内の空間を区切るために設置される壁を指します。

 

外壁や戸境壁は一度設置してしまうと動かせませんが、間仕切り壁はライフスタイルの変化に合わせて自由に移動や追加、撤去することが可能です。

 

 

部屋の中から見る内壁はどれも同じに見えますが、壁の中の構造はそれぞれ異なるものです。ここからは外壁、戸境壁、間仕切り壁の中身がそれぞれどのようになっているかを紹介します。

 

 

 

マンションの内壁はビニールクロス(壁紙)などで覆われていますが、そのクロスは石膏ボードという下地に張り付けられています。石膏ボードは、石膏と石膏ボード原紙でできており、防火性・耐火性に加えて、遮音性にも優れています。石膏ボードの厚みは12.5mm以上が一般的です。

 

石膏ボードの奥には、150mm以上の厚みがあるコンクリート壁があります。さらに、石膏ボードとコンクリート壁は接着剤(GLボンド)で接着しており、コンクリート壁の内側には断熱材が吹き付けられているのです。

 

まとめると、外壁の中身は、内側から以下のような構造になっています。

 

① ビニールクロス(壁紙)
② 石膏ボード
③ 接着剤(GLボンド)
④ 断熱材
⑤ コンクリート壁

 

 

 

 

戸境壁も、部屋から見える内壁はビニールクロスなどで覆われています。上記で説明した外壁の場合はその奥に石膏ボードがありましたが、戸境壁の場合は石膏ボードを使わず、コンクリート壁に直接ビニールクロスを張っていることが多い傾向です。

 

つまり、戸境壁は下記のようにシンプルな構造になっているということです。

 

① ビニールクロス(壁紙)
② コンクリート壁
③ ビニールクロス(壁紙)

 

戸境壁では、石膏ボードの使用によって空洞ができてしまうため、石膏ボードは使用しないことが多いです。この空洞があると、音が響きやすくなり、隣の住戸に音が伝わりやすくなってしまうのです。

 

石膏ボードを使っている壁を軽くたたいてみると「コンコン」と響いて聞こえるのに対し、直接クロスをコンクリートに張り付けている壁は「ゴツゴツ」とあまり響きません。

 

なお、戸境壁のコンクリートの厚みは180mm~200mm程度が一般的です。厚ければ厚いほど音が伝わりにくくなります。

 

 

 

間仕切り壁には、間柱として細い木材を使用することもありますが、現在はLGSという強くて軽い鉄骨を用いるのが主流です。LGSまたは木材を等間隔で並べ、石膏ボードを取り付けて壁を作ります。

 

よって、間仕切り壁の構造は以下のようになります。

 

① ビニールクロス(壁紙)
② 石膏ボード
③ LGSまたは木材
④ 石膏ボード
⑤ ビニールクロス(壁紙)

 

間仕切り壁は戸境壁と比べて遮音性が低いので、家族一人ひとりのプライベートを守るため、遮音シートやグラスウールなどを挟むこともあります。

 

 

 

先ほど「マンションの内壁はビニールクロス(壁紙)などで覆われている」とお伝えしました。しかし、正確にはクロスだけではなく、ほかの素材を使うこともあります。ここからは、マンションの内壁によく使われる素材を4つ紹介します。

 

 

 

マンションの内壁を覆う素材で最もポピュラーなのがビニールクロスです。そのまま張り付けるだけですから施工が簡単で、値段も比較的リーズナブルなものが多い傾向です。色やデザインが豊富で、作りたい部屋のイメージに合わせて好きなものを選ぶことができます。

 

ただし、ほかの素材と比べて耐久性に劣る点がデメリットといえるでしょう。定期的に張り替えるなどの手間がかかります。

 

 

 

塗り壁は、自然素材を下地に塗り付けて仕上げるタイプの壁材です。おもに珪藻土や漆喰などが使用されます。ビニールクロスと比べて厚みがあるため、防音効果に優れているのがメリットです。また、珪藻土の塗り壁には消臭効果や湿度を調整する効果も期待できます

 

デメリットは、交換の際に全面的な塗り直しをしなければならない点、多少の衝撃でもひびが入りやすいなど傷付きやすい点、汚れやすい点などでしょう。

 

 

 

キッチンやトイレなどの壁によく使われるのがタイルです。タイルは高温で石や粘土を焼いて作られます。

 

水や汚れに強く、汚れても簡単にお手入れができる点がメリットです。さまざまな色や柄があり、選び方によっておしゃれで上質な空間を作ることもできるでしょう。

 

ほかの素材と比べると劣化しにくく長持ちしますが、その分値段は高めです。

 

 

 

羽目板の壁は、木の板を張り合わせて作ります。天然素材の木を使用した際には、木の優しいぬくもりを感じながら生活できるでしょう。素材の特性から湿度を調整してくれるものもあり、快適に過ごすことができます。

 

ただし、天然素材は日焼けによって劣化しやすい素材でもあります。さらに、湿気によって変形もしやすいため、取り扱いには注意が必要です。

 

 

「マンションの壁に棚やテレビを取り付けて、好みの部屋を作りたい」と思う方も多いのではないでしょうか。先ほど説明したとおり、間仕切り壁と外壁や戸境壁では内部の構造が異なるため、棚やテレビの取り付け方も変わってきます。

 

 

 

間仕切り壁は、等間隔で並んだLGSや木材を石膏ボードで挟んだものです。つまり、石膏ボードの向こうにLGSや木材がある箇所と、石膏ボードの向こうが空洞になっている箇所があるのです。

 

石膏ボードの奥が空洞になっている箇所にビスなどを打っても、打ち込んだビスを支えることができません。そのため、棚やテレビなどの固定には不向きです。ボードの向こうにLGSや木材がある箇所を狙ってビスを打つ必要があるでしょう。

 

「間柱センサー(下地センサー)」を使うと、LGSや木材の箇所を簡単に特定できます。数千円程度で購入できるため、ぜひ利用することをおすすめします。

 

 

 

マンションの外壁や戸境壁には、コンクリートが使われています。ここに棚やテレビを取り付ける場合、コンクリートに穴を開けてコンクリート用アンカーという部品を取り付ける必要があります。

 

ただし、マンションによっては、規約でコンクリートに穴を開けることが許可されていないこともあるため、作業前に管理規約をしっかり確認するようにしましょう。

 

 

部屋のクロス(壁紙)を張り替えることで、自分らしいオリジナルの空間を作ることができます。

 

マンションの壁紙を張り替える際には、燃えにくいものを選びましょう。建築基準法では、火災時に燃焼しない、有害物質を発生させないといった性能を持つ「防火材料」が定められています。それらは燃えにくい順に「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」の3グレードに分類されています。

 

これらの材料は、自宅のある階数や用途によって使えるものが建築基準法で定められています。例えば11階以上の壁や天井、加えて階数に限らず各戸のキッチンでは、準不燃材料以上の材料の使用が必須です。

 

そのため、壁紙を自分で変える場合、もともと張られていた壁紙と同じグレードか、さらに燃えにくいグレードのものを選ぶようにしましょう。グレードは、壁紙の天井付近の端などに貼ってある上記のシールで確認できます。

 

 

 

好みの壁を手に入れたら、こまめにお手入れしてきれいに保ちたいものです。ここからは、マンションの壁のお手入れ方法を紹介します。

 

 

 

内壁の素材が水に強いかどうかでお手入れ方法は異なります。クロスの中でも紙でできたものや、漆喰、珪藻土でできた塗り壁などは、比較的水に弱い傾向にあります。水への耐性が分からない場合、目立たないところに水を付けて吸い込まないか確認してみてください。

 

水に弱い素材の場合、日常的にお手入れをして汚れを付けないようにすることがおすすめです。はたきをかけたり、掃除機でほこりを吸い取ったりするなどしてお手入れしましょう。掃除機を使う際は、壁専用のノズルを使うようにしてください。

 

ビニールクロスなどの水に強い素材であれば、部分汚れを水拭きしても構いません。ただし、クロスの内側に水分が入らないよう、かたく絞った雑巾で拭くようにしてください。

 

 

 

カビなどの汚れは、住居用洗剤を薄めて拭き取ってみてください。洗剤で汚れが取れない場合、塩素系の漂白剤やカビ取り剤を利用しましょう。

 

カビが落とせたら、その部分は乾拭きしておいてください。

 

 

 

ビニールクロスがはがれてしまったら、下地の汚れを取ってきれいにしましょう。そのうえで接着剤を塗って直すと、きれいに仕上がります。はがれた部分が大きければ、補修用の壁紙を張り付けて直したほうが見栄えが良くなります。

 

布クロスの継ぎ目がほつれてきたら、下地にのりを少しずつ付けて固定してください。

 

 

マンションの壁には外壁、戸境壁、間仕切り壁の3種類があり、それぞれ構造が異なります。また、マンションの内壁に使われる素材も、クロス、塗り壁、タイルなどさまざまです。

 

マンションを選ぶ際やリフォーム・DIYをする際には、ぜひ壁にも注目してみてください。特に、内壁は素材によって部屋の雰囲気を大きく左右することがあります。加えて、素材別にお手入れの仕方も変わってくるため、きれいな状態を長く維持するためにも、しっかり知識を得ておくことが大切です。

 

見た目や機能を考えながら壁を選ぶことで、より自分らしい部屋を作ることができるでしょう。

 

 

▶関連リンク:マンションの「壁」の種類は1つではない!

監修者

高槻 翔太

<保有資格>

  • 宅地建物取引士
  • FP技能士2級
  • 日商簿記2級

<プロフィール>

不動産・建設会社で土地有効活用のコンサルティング営業経験(6年)。売買や駐車場の活用、リフォームの提案などに従事。不動産・金融特化のライターとして不動産系メディアでの執筆実績多数。