団塊ジュニア世代と人生100年時代のライフデザイン

「暮らしをデザインする」18 (Sep. 2026)

2026年09月01日 / 『CRI』2026年9月号掲載

エッセイ

目次

「団塊ジュニア世代」が2025年、ついに50代となった。1971~1974生まれだ。広義には1971~1982年生まれで、現在43~55歳。団塊世代の子供であり人口ボリュームゾーンで社会的影響力も大きい。就職氷河期を経験し「格差」が始まった。非正規社員・フリーター・ニートが急増し、片方では、ホリエモンやサッカーの中田英寿などのネット長者やスーパースターも生まれた。また、この世代はそのボリュームから「若者文化の最後の華」を生んだ。ラジカセを愛用し、その後CDにシフトするとカラオケ文化と相まってミリオンセラーを連発、センター街から109と渋谷を若者のメッカにした。 

しかしながら、現在50代になって「年金不安」が彼らを襲っている。非正規社員・フリーター・ニートはどうしたら良いのか。 

端的にいえば、早急に社会的なセーフティネット整備の必要がある。今までの老健施設/デイサービス/介護付き有料老人ホームなどが彼らを安心させるのか。介護付き有料老人ホームは入居金だけで高額だ。 

では何がセーフティネットになり得るのか。要件は二つ。一つは「低家賃」、二つめは「コミュニケーション」で、とりわけ後者は重要といえる。リタイア後の二大資本は「健康」と「経済」だが、三つ目が「コミュニケーション」だ。これから独居高齢者が急増し孤独死も増大すると懸念されるが、「コミュニケーション」はこれを緩和する。「コミュニケーションを持つ人は人生の最後までハツラツとしている」とされる。そもそも豪華なヨットや邸宅があれば幸せかといえば、遺産相続争いで最後まで悩まされかねない。では何が幸せかといえば「平日の昼間から気のおけない仲間とビールで乾杯」、健康をケアすればノンアルコールビールで乾杯だ。これができる暮らしがそのセーフティネットになる。 

これを実現するのが、多世代/同性・同世代/同好シェアハウスであり、ソーシャルアパートメントだ。多世代シェアハウスはすでに多くあり、若者やヤングファミリーと暮らすことで、気持ちが若くなり、彼らを助けて感謝されると生きがいにもなる。また、同性・同世代シェアハウスは遠慮なくおしゃべりができ、同性であれば気兼ねもいらない。さらに同好シェアハウスはバイク・鉄道・ダンス・映画・麻雀など好き者同士で楽しい。さらには、湯治を兼ねた「温泉シェアハウス」も考えられる。そして、ソーシャルアパートメントは各々が個室で守られる。いずれも「空き家」活用で空き家問題解決も兼ねたいし、それも含めて「低家賃」が望ましい。また「お試し入居」で「気の合う仲間」探しができると自分に合ったところが見つかる。さらに、介護は「サービス付き高齢者向け住宅」との組み合わせもあるだろう。 

すでに親の団塊世代は75歳を超えている。まずは親世代の彼らがこれらを開拓して行くことが望ましい。こうした施設の存在が全国的に見えるようになると、団塊ジュニア世代の不安も緩和され、人生100年時代、それなりに面白い、と多くの人が思えるようになるのではないだろうか。

阪本 節郎さかもと せつお

人生100年時代 未来ビジョン研究所 所長
1975年早稲田大学商学部卒。(株)博報堂入社。プロモーション企画実務、研究開発に従事の後、企業のソーシャルマーケティング開発を推進。2000年エルダービジネス推進室、2011年新しい大人文化研究所を設立。さらに、2019年独立し当研究所を創設、現在、所長。
著書:『50歳を超えたらもう年をとらない46の法則』(講談社+α新書)『シニアマーケティングはなぜうまくいかないのか~新しい大人消費が日本を動かす』(日本経済新聞出版社、韓国版・台湾版発刊)他。