「50年住宅ローン」を扱う住信SBIネット銀行に聞く、後悔しない住宅ローン選び

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2023年8月にネット銀行として初めて、返済期間最長50年の住宅ローンの取り扱いを開始した住信SBIネット銀行に、“超長期”の住宅ローンの概要や一般的な住宅ローンとの返済額の違いについて聞きました。

――なぜ他のネット銀行に先駆けて50年住宅ローンの開発・提供を開始したのでしょうか?

 

中村朋子さん(以下、中村):首都圏在住の方にとっては耳慣れないかもしれない超長期の住宅ローンですが、じつはこれまでも、北海道や九州、沖縄など地方の銀行は、50年など長期の住宅ローンを作っていて、これを利用する方は一定数いらっしゃいました。首都圏で多く耳にするようになったのは、不動産価格の高騰によるものだと思います。直近の5年間だけでも、都内のマンションの高騰率は3割を超えるとも言われています。それに対し、賃金の上昇は限定的で、住居費の負担は増す一方です。

 

「住宅ローンを35年間で返済してください」というのは、金融機関が定めたルールでしかありません。私どものほうが選択肢を広げることができれば、利用者様のニーズに合わせて月々の家計負担を抑え、早い段階で住宅の購入を選択していただくことも可能ではないかと考え、商品を開発した次第です。

住信SBIネット銀行に話を聞いた。(右から)モーゲージプラットフォーム事業部 事業企画グループ 主任 中村朋子さん。住宅ローン営業部 副部長 兼 都市営業グループマネージャー 足立 翔さん。※共に所属先・肩書きは取材当時のもの。

――反響はいかがですか?

 

 足立さん(以下、足立):取扱いを開始させていただいて半年ほどが経過しましたが、想定以上のお申し込みをいただいているところです。「50年住宅ローン」というと、ご利用されるすべての方が50年のローンを組まれると考える方も多いのですが、実態としては半数程度の方に40年前後の返済期間で借り入れていただいています。返済期間を50年とされる方は、現在、2割程度です。

 

――申し込まれる方の年齢層はいかがですか?

 

中村:申し込まれている方の7割以上が、26歳から35歳というご年齢です。私どもの商品は、完済時の年齢を満80歳未満とさせていただいていますので、返済期間が40年、50年となると商品特性上、利用されるのは若年層の方々が中心になります。

 

――50年住宅ローンの金利はどれくらいなのでしょうか?

 

中村:変動金利は、通常の金利に0.15%を上乗せさせていただいています。融資額が物件価格の100%の場合、変動金利は0.32%ですので、50年住宅ローンをご利用いただく場合はプラス0.15%の0.47%となります。

 

固定期間は、2年から35年となります。基本的に固定期間が長ければ長いほど金利は高くなりますが、弊社ではこの1月から「10年固定」の金利を引き下げました。融資額が物件価格の80%以下という条件がつきますが、金利0.918%で10年固定を選択していただけるようになっています。

※金利はいずれも2024年1月時点

 

――債務者の万一のときのことを保証してくれる団体信用生命保険も50年間入れるということなのでしょうか?

 

中村:おっしゃる通りです。「若いうちから住宅ローンを組むのが怖い」「長く借入するのが不安」という考え方もあるかと思いますが、住宅ローンには、基本的に団体信用生命保険が付帯されていますので、早い段階で住宅ローンを組むことでリスクヘッジになるという見方もあります。

 

――50年住宅ローンのデメリットはどんなところにありますか?

 

足立:返済期間が長くなることで月々の返済負担が下がり、不動産が高騰する中でも若い方が住まいを取得できるといったメリットがある半面、返済期間が伸びる分、利息が増えてしまうことはデメリットになります。

 

シミュレーション条件

・世帯主(29歳):年収700万円・配偶者(29歳):年収300万円・子どもなし
・購入物件:6,000万円の新築マンション
・要望:世帯主の単独名義で借り入れたい

――上記条件を想定した場合、35年ローンを組んで購入することは難しいでしょうか?

 

中村:金融機関では、年収に占める年間の返済額を示す「返済比率」など、借り入れ可能額の基準を設けています。今回の条件で私どものほうでシミュレーションさせていただくと、世帯主単独でのお借り入れとなると約5,100万円程度が限度額となります。

 

足立:世帯主単独名義でお借り入れされたいということですが、配偶者と収入合算をしていただけるということであれば、借入可能額は約7,000万円程度まで増額します。配偶者が連帯保証人となる形で収入合算していただくと、世帯主単独名義で借入可能額を増やすことができます。

 

※お申し込みに際しては当行所定の審査がございます。審査結果によってはご希望に添いかねる場合があります。また、本シミュレーションは参考金利でのシミュレーションとなり、実際のお借り入れに適用できることをお約束するものではありません。住宅ローンの適用金利は実際にご融資時点での金利となります。

 

――35年と50年の住宅ローンとでは、月々の返済額にどれほどの違いがでるのでしょうか?

 

中村:配偶者が連帯保証人となり、収入合算し世帯主の名義で返済期間35年のお借り入れの場合の月々の返済額は「15万1,025円」です。こちらは、2024年1月時点の当社住宅ローン変動金利で、融資額が物件価格の100%の場合に適用される金利である0.32%で計算させていただきました。

 

一方、返済期間50年の住宅ローンをお借り入れの場合の月々の返済額は「11万2,229円」です。金利は0.47%で計算しています。返済期間が35年と50年とでは、月々3万8,796円の差額が生じることになります。

 

――総返済額の違いはどの程度でしょうか?

 

中村:35年のお借り入れの場合が「約6,343万円」。50年のお借り入れの場合が「約6,733万円」となります。差額は約390万円です。

 

▶︎6,000万円を借り入れた場合の返済期間による違い

  35年返済
(金利0.32%)
50年返済
(金利0.47%)
差額
(35年返済−50年返済)
月々の返済額 151,025円 112,229円 ▲38,796円
年間返済額 1,812,300円 1,346,748円 ▲465,552円
総返済額 63,430,500円 67,337,400円 3,906,900円

 

――返済期間を延ばしたり、収入合算したりすることで返済額や借り入れの可否が変わってくることが分かりましたが、自分に合った住宅ローンはどのように見極めれば良いのでしょうか?

 

中村:マイホームを購入されるときに最も大事なのは、「無理なく返せる」額をしっかりと把握することです。最適な価格というのは、お一人おひとり異なります。「無理なく返せる」返済計画のもと、住宅を購入することが大切です。

 

とはいえ、住宅ローンの返済は長期にわたりますので、どの程度の返済額が適切か判断することは容易ではありません。私どもは、返済期間中のライフプランに応じて、しっかりシミュレーションしたうえで住宅を購入されることが望ましいと考えています。物価の上昇や教育費の負担、老後資金の確保などさまざまなことを想定し、支出が増えていった場合に持ちこたえられるだけの経済状況にあるかというところを見込んだうえで住宅費を試算されると良いのではないでしょうか。

 

――50年など超長期のローンを組むとなると、積極的に繰り上げ返済をしていったほうが良いのでしょうか?

 

足立:一概にはいえませんが、考え方のひとつとしてお伝えさせていただくと、住宅ローンは他の借入れと比較した場合、非常に金利が低い商品です。返済期間を長くして月々の返済負担が抑えられた分、積極的に繰上げ返済をするというのももちろんひとつの選択肢となりますが、余剰資金を資産運用に回すといった選択もできます。ライフプランに合わせ、さまざまな選択肢の名から無理のない返済計画を立てていただければと思います。

 

――借り入れ時、あるいは返済している中で借り入れ方法や返済方法に迷ったら、銀行に相談できるものなのでしょうか?

 

中村:もちろんです。当行には必ずファイナンシャルプランナー(FP)が常駐していますので、住宅ローンに関するご相談や、ライフプランを想定したうえで資金計画し、借入額や返済期間、金利タイプなどを決めていっていただけます。お客様が安心して住宅ローンを選んでいただきたいですね。

 

――「ネット銀行」というと対面で相談できないイメージがあるのですが、そのようなことはないのでしょうか?

 

中村:当社には、全国に提携先店舗が約150店舗ございます。その内、60以上の店舗には直接ご相談いただける窓口もご用意しております。当社の住宅ローンには、WEB申込に加えて、対面相談コースがあり、対面相談コースが最も多くご利用されています。

 

足立:私どもは、単に融資する機関というだけでなく、利用者さまのよきアドバイザーでありたいと考えています。今後は全国に、加速度的に実店舗を増やし、「ネット銀行は相談できない」、「住宅ローンを組むのが怖い」といったイメージやご不安を払拭していくことを目指しています。

 

取材・文:亀梨奈美 撮影:ホリバトシタカ

 

WRITER

亀梨 奈美
不動産ジャーナリスト。住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

X:@namikamenashi

おまけのQ&A

Q.住信SBIネット銀行の住宅ローンについて、今後の展望をお聞かせください。
A.これだけさまざまなことが多様化している時代ですから、住宅ローンも幅広い選択肢をご用意し、お一人おひとりに合った商品や借り方、返済期間などのご提案をしていきたいと考えています。また「住宅を購入する」という一点だけではなく、不動産と融資を取り巻くニーズやお悩み、ご不安などに対し、トータルでサポートさせていただける存在になっていきたいですね。また、私どもの提携店舗にて直接ご相談いただけますのでご活用いただけたらと思います。