マンションの窓ガラスは交換できる?リフォーム可能な範囲や注意点

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「部屋の断熱性を上げたい」「防音性を高めたい」などの理由から、自宅の窓ガラスの交換を検討している方もいるでしょう。マンションの場合、そもそも区分所有者による交換はできるのでしょうか。また、ガラスが割れてしまったときはどう対応したらよいか、気になる方もいるでしょう。 今回は、マンションにおける窓ガラス交換などの窓リフォームがどこまで認められるのか、リフォーム可能な範囲や、交換時の注意点などを解説します。

マンションの窓ガラスを交換する際に問題となるのが、窓ガラスが共用部分であるか、専有部分であるかという点です。

 

マンションの窓やドアなどの開口部は、マンションの外観や構造を統一するものであるため、通常は共用部分とされます。

 

国土交通省が区分マンションにおける管理規約のガイドラインとして作成している「マンション標準管理規約」においても、窓枠および窓ガラスは共用部分とされています。

 

そのため、区分所有者による自由なリフォームは認められていません。

 

管理規約の細かな内容は個々のマンションによって異なるため確認が必要ですが、窓ガラスを交換する場合、以下の条件を満たさなければなりません。

 

・マンションの意匠(見た目)を変えないこと
・強度や防火性の基準を満たすこと

 

また、交換の際には、管理組合規定への手続きが求められるのが一般的です。許可なく共用部分のリフォームを行なった場合、原状回復費用を請求される可能性があります。

 

 

 

窓や窓ガラスが管理規約で専有部分とされる場合には、所有者の判断でリフォームが可能ですが、多くのマンションでは共用部分とされているでしょう。

 

窓や窓ガラスが共用部分の場合、区分所有者はどの程度の範囲であればリフォームが可能なのでしょうか。マンション標準管理規約を参考に、一般的な考え方を紹介します。

 

 

 

窓ガラスが共用部分であっても、通常の使用における破損や不調の場合は、専用使用権を持つ区分所有者が交換やメンテナンスを行なわなければなりません。

 

現在使用しているガラスと同等のガラスへの交換や、サッシの部品調整などを行なうことになるでしょう。

 

 

 

マンション標準管理規則の改正により、性能向上のための窓のリフォームも自己負担での実施が認められるようになりました。

 

具体的には、防音性や断熱性などを向上させる目的でのガラス交換であれば、区分所有者の負担で行なえます。

ただし、区分所有者が自由に交換できるわけではなく、管理組合から許可を得なければなりません。

 

 

 

窓ガラスの交換にあたり、サッシからリフォームしたいとお考えの方もいるでしょう。

 

しかし、サッシは共用部分であり建物の意匠にも大きく関わるため、管理規約次第ではありますが、認められないことが多い傾向です。

 

マンションの場合、外壁とサッシが溶接されているため、取り外しは簡単ではないことも影響しています。

 

例外として、築年数が大きく経過しているマンションの場合には、指定の工法での実施など条件付きで許可していることもあるでしょう。

 

サッシの交換が認められない場合には、内窓の設置を検討してみてはいかがでしょうか。内窓は専有部分に設置するため、基本的に所有者によるリフォームができます。

 

許可の要・不要はマンションによって異なるため、管理規約を確認して承認を受けておくと安心です。

 

なお、マンションによっては長期修繕計画に窓のリフォームが含まれている可能性もあるため確認しておきましょう。近い時期に計画があれば、それまで待つのも一つの選択肢です。

 

 

 

マンションの窓ガラスを交換する際の、管理組合への許可取りから工事手配、工事完了までの流れを紹介します。

 

 

 

まず、窓ガラスが共用部分になるのか、専有部分になるのかを管理規約で確認します。そのうえで、管理組合に必要な申請や手続方法について相談します。扱いが専有部分であっても、リフォームに関する規定が設けられているのが一般的なため、管理組合への確認が必要です。

 

 

 

マンションの窓ガラスを交換する場合、強度や防火基準を満たした窓ガラスを選ぶ必要があります。希望する窓ガラスのサンプルや仕様を入手し、基準に合致するか確認しましょう。

 

管理組合によっては、許可申請時にサンプルなどの提出を求められることもあるため、前もって準備しておいてください。

 

 

 

管理組合への申請に向け、希望商品の施工が可能であるか、施工会社に見積りを取ります。このとき、搬入経路やエレベーターに入るかどうかも確認しましょう。

 

 

 

工事内容や日程が決まったら、管理組合に申請して正式に許可を受けます。申請時に必要な書類の例は、以下のとおりです。

 

・工事申請書
・作業工程表
・仕様書
・技術資料

 

施工会社によっては、申請書類作成などもサポートしているため、相談しておくとよいでしょう。

 

窓ガラスは、建物の意匠や強度や防火性などの建築基準に関わります。マンションによっては、専門家による工事中の立会いや工事後の確認を実施するケースもあるため、詳細を確認しておきましょう。

 

 

 

管理組合から許可が出れば、予定日に工事となります。
窓ガラスの交換の場合、枚数にもよりますが1時間半程度から可能で、当日内に工事が終わるのが一般的です。

 

 

 

マンションの窓ガラスの交換・リフォームにあたり、覚えておきたいことや注意点を紹介します。

 

 

 

室内の断熱性を向上させるため、単板ガラスから複層ガラス(ペアガラス)への交換を検討している方もいるでしょう。

 

複層ガラスのなかにはアタッチメントと呼ばれる外枠が付いたものがありますが、アタッチメント付きガラスへの交換は、管理組会から認められない可能性が高いでしょう。アタッチメント付きガラスでは枠の部分に面積があり、マンションの意匠に変化をきたすことになります。

 

複層ガラスを希望する場合には、アタッチメントが不要なものを検討しましょう。

 

 

 

マンションで窓ガラスを交換する際には、搬入の際に通行の障害になるなど、近隣に迷惑をかける可能性があります。工事1週間前までを目安に、近隣の方へ挨拶を済ませておきましょう。

 

また、工事はできるだけ通行に支障が出る通勤・通学の時間帯は避けるようにしてください。エレベーターの利用についても、近隣の迷惑にならないように、施工会社と打ち合わせをしておくとよいでしょう。

 

なお、管理組合によっては、工事を実施する旨の書面作成を求められる場合もあります。その場合には、日時や工事内容、施工会社の担当者の連絡先などを明記しましょう。

 

 

マンションで窓ガラスを交換する際には、どのようなガラスを選択したらよいのでしょうか。ここでは、窓に使用されるおもなガラスの種類や特徴を紹介します。

 

 

 

フロートガラスは、一般的に広く使用されている単板のガラスです。安価で流通量が多いため、施工がスムーズに進むでしょう。ただし、交換による機能向上は難しいと考えておきましょう。

 

 

 

複層ガラス(ペアガラス)は、ガラス2枚の間に中空層を設けたガラスです。空気の層があるため、断熱性に優れており、結露対策としても用いられています。

 

複層ガラスは厚みがあり、商品によってはアタッチメントが付いているため、マンションの意匠に影響があります。交換は許可されないケースが多いでしょう。

 

しかし、真空層を設けた真空ガラスであれば、厚さが薄くアタッチメントが不要のため、単板ガラスからの交換も可能です。

 

 

 

合わせガラスは、「中間膜」と呼ばれる特殊なフィルムを2枚のガラスの間に挟んだものです。防犯や防音、UVカットなど、フィルムによってさまざまな性能のものがあります。割れた際に破片の飛散がほとんどないため、安全性にも優れています。

 

ガラスが厚くなるため、フロートガラスからの交換は、枠の交換が必要になる場合がある点に注意が必要です。

 

 

 

樹脂製の内窓(二重窓)を設置する方法もあります。この方法であれば専有部分のリフォームとなるため、共用部分と見なされるリフォームとは異なり、スムーズに行なうことができるでしょう。2つの窓により空気層が生まれるため、複層ガラスや合わせガラスのような、断熱性の向上や結露防止などの効果も期待できるでしょう。

 

ただし、マンション管理規約に適合しているかの確認が必要なため、専有部分のリフォームであっても管理組合に許可を得るのが原則です。

 

 

マンションの窓ガラス交換にかかる費用は、窓ガラスの種類やサイズによって異なります。

 

費用の目安は、一般的なフロートガラスの場合で1万円前後から、複層ガラスや合わせガラスのような高機能ガラスになると、費用はその2~3倍以上と高額になります。

 

交換費用は窓ガラス代のほか、工事費用や古いガラスの処分費用、出張費なども必要なため、施工会社へ依頼する際はそれぞれ見積りで費用の内訳を明確にしておきましょう。

 

二重窓の場合は、4~15万円程度が目安です。

 

 

交換した窓ガラスを少しでも長く綺麗な状態で使い続けるには、こまめに掃除を行なうことが必要です。汚れを放置していると取れにくくなってしまいます。

 

日常の掃除は、ガラス用のクリーナーなどを使って拭きあげます。そのあと、洗剤が残らないように、仕上げに固く絞った雑巾や乾いた布で再度拭いてください。マイクロファイバー素材の布を使用すれば、繊維が残りにくく綺麗に仕上がります。

 

なお、窓の外側と内側の両方を掃除するときは、外側から先に掃除しましょう。窓枠部分の汚れは、掃除機や歯ブラシなどを使って汚れやホコリを取り除いてください。

 

 

マンションの窓ガラスは、管理規約で共用部分とされているのが一般的で、所有者が自由に交換やリフォームを行なうことはできません。しかし、メンテナンスや性能アップを目的とし、建物の意匠やガラスの強度、防火性が同等であれば、交換が認められることが多いです。

 

交換の際には管理組合へ確認を取り、必要な申請などを行ないましょう。また、工事の際には、近隣に迷惑をかけないように施工会社と打ち合わせすることも大切です。

 

 

▶関連リンク:窓ガラスや網戸の日常的なお手入れ方法
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監修者

高槻 翔太

<保有資格>

  • 宅地建物取引士
  • FP技能士2級
  • 日商簿記2級

<プロフィール>

不動産・建設会社で土地有効活用のコンサルティング営業経験(6年)。売買や駐車場の活用、リフォームの提案などに従事。不動産・金融特化のライターとして不動産系メディアでの執筆実績多数。