長谷工のマンション再生

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マンション建て替えの基礎知識

※掲載内容は単棟型マンションを前提とした一般的な事例や考え方を示したものです。実際の事業内容、必要経費、長谷工の支援内容等は、マンションの状況や事業手法、契約内容により異なります。

マンション建て替えとは

マンション建て替えとは、分譲マンションのような区分所有建物について、修繕や改修では対応しきれなくなった老朽化や耐震性不足等の問題を改善するために建物を取り壊し更地の状態にして新しいマンションを建設することです。
安全性や快適性が向上し住環境の改善や資産価値の向上につながります。

マンション建て替えの決議
要件

成立要件

区分所有者・議決権の各5分の4以上の賛成

一定の事由があった場合
の緩和要件

区分所有者・議決権の各4分の3以上の賛成

「要除却等認定」と概ね同様の内容で、当該認定を取得することで、容積率や高さ制限の緩和が受けられ、事業性の向上が期待されます。
一方で、認定後は建物の除却に努める義務が課されるため、建替えが進展しない場合には対応が難しくなる可能性があります。このため、認定申請にあたっては慎重な検討が求められます。

一定の客観的事由に該当する項目

  1. 耐震性の不足(旧耐震基準のマンションで耐震診断の結果、基準を満たさないもの)
  2. 火災に対する安全性の不足(避難階段が狭い・2方向避難が確保されていない、防火設備の不備等)
  3. 外壁等の剥落により周辺に危害を生じるおそれ(広範囲に剥落・浮きがある、既に落下事故が発生している、またはその危険が非常に高い等)
  4. 給排水管の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ(飲用に適さない状態が継続、劣化が深刻で、部分補修では改善困難)
  5. バリアフリー基準への不適合(エレベーター・スロープがない、高齢者・身体の不自由な人がほぼ利用できない)

マンション建て替えの
時期・築年数

現在、建て替えられたのは1981年以前の旧耐震マンション※1が殆どです。
建て替えを検討する時期は、一般的には築40年から50年が一つの目安とされています。
管理やメンテナンスの状況によりますが、築40年から50年経過すると、外壁のひび割れや雨漏り、配管からの漏水等の修繕費用が増加し、修繕を重ねるより建て替えた方が長期的な視点では有益な場合があります。
建物そのものの寿命は120〜150年※2とされていますが、築50年を超えると物理的には住めても「住みにくい」と感じることが多く転居者が増え、賃貸や売買も難しくなり空室が目立つようになります。
実際の建て替えのタイミングはマンションの状況や所有者の意向によって異なりますが、適切な時期に建て替え等を含めた再生方法について検討することが重要です。

※1 1981年5月31日以前に建築確認申請が行われた旧耐震基準に基づいて建築された建物で現行の耐震基準を満たしていない可能性がある
※2 2013年8月 国土交通省発表 期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について

マンション建て替えの仕組み

余剰容積率がある場合

余剰容積率※を利用する建て替えでは、マンション分譲に精通したデベロッパーの協力が不可欠です。余剰容積率を活用することで、従来の建物よりも大きなマンションを建設することが可能です。
デベロッパーは所有者が取得しなかった余った住戸(「保留床」という。)を買い取って一般に分譲します。このデベロッパーが買い取った分を建て替えの事業費に充てることで所有者の負担を軽減できます。
デベロッパーのノウハウと資金を活用し付加価値の高いマンションを建設することで事業の採算性を向上させることができます。

※余剰容積率とは、既存建物で利用している許容容積率の未利用部分(未消化部分)をいいます。
許容容積率とは都市計画で決められている敷地面積に対する延床面積の割合です。
延床面積200㎡、敷地100㎡の容積率は、200÷100×100=200%となります。

余剰容積率は床面積の増加に活用できます。デベロッパーが既存建物の保留床を買い取って、新マンション建て替えの事業費に充てることが可能です。

余剰容積が少ないか許容容積率オーバー(既存不適格)の場合

既存不適格※の場合も建て替える際は建て替え時点の建築規定に適合しなくてはなりません。
「各住戸の面積」か「住戸の数」を減らして建て替えるか、容積率を増やす方法を考えるしかありません。
容積を増やす方法としては隣地を取り込んで敷地面積を大きくする「隣接マンションとの共同建て替え」や容積率を割増しできる「総合設計制度※の利用」等があります。

※「既存不適格」とは、建築物が建設された当時の法律や規定には適合していたものの、その後の法改正や都市計画の変更(耐震基準や防火規制、用途地域の変更など)により、現在の基準には適合しなくなった状態を指します。
※総合設計制度とは、都市計画で定められた制限に対して、建築基準法で特例的に緩和を認める制度で、公開空地の確保等により容積率、絶対高さ制限、斜線制限などを緩和されます。

マンション建て替えの費用

建て替え事業費と従前資産評価額の算出

マンション建て替えの全体事業費のイメージ

建て替えの総事業費は、デベロッパー負担分(保留床の買取金額)と建替え参加者負担分(増床負担分)で構成され、調査/設計計画費・解体費・新築工事費・事務費・金利などが含まれます。従前資産評価額(建て替えを想定した更地評価)は事業費により変動します。 建て替えの総事業費は、デベロッパー負担分(保留床の買取金額)と建替え参加者負担分(増床負担分)で構成され、調査/設計計画費・解体費・新築工事費・事務費・金利などが含まれます。従前資産評価額(建て替えを想定した更地評価)は事業費により変動します。
新マンションの原価総額(建物+土地)は、権利床と保留床に割り振られます。権利床は建替え参加者が無償で取得します。保留床はデベロッパーが販売経費等を加算して一般分譲するか、建替え参加者が必要に応じて買い増し(増床)します。 新マンションの原価総額(建物+土地)は、権利床と保留床に割り振られます。権利床は建替え参加者が無償で取得します。保留床はデベロッパーが販売経費等を加算して一般分譲するか、建替え参加者が必要に応じて買い増し(増床)します。

01 建て替え費用と土地評価

マンション建て替えの事業費も一戸建てを建て替えるのと同じで基本的には所有者負担です。所有者が土地を提供(出資)し、デベロッパー(「参加組合員」という。)と「建替え参加者」で建物の建築費を負担します。
既存マンションの従前資産評価については、建物は解体して残らないため土地代とする考え方が一般的です。そのため従前資産評価額は「建て替えを想定した更地での評価」として事業費から逆算します。同じマンションでも想定する建物計画(建築費と分譲価格等)によって事業費が違えば、従前資産評価額も違ってきます。

02 新マンションの床区分

新マンションの床は、権利床(所有者が無償で取得できる床をいう。)と保留床(新マンションの権利床以外の床をいう。)に分けられます。保留床は、言わば建て替えの事業費を捻出する床となるため、デベロッパーに売却してその対価を事業費に充当します。所有者が先に住戸を選び、残った保留床をデベロッパーが取得します。デベロッパーは、利益や販売経費等を加算して一般分譲します。

住戸取得する場合の費用負担

所有者は、一般分譲価格でなく「権利者価格(原価)」で住戸を所得できます。無償で取得できる面積(これを「権利床面積」という。)に有償で買い増して希望の面積の住戸を取得することができます。無償で取得できる権利床面積は、全体事業者から従前評価額の総額を算出し、既存マンションの各住戸の土地の持分割合をもとに各住戸の従前資産評価として割り振られ、新マンションの住戸面積に換算されます。
一般的には権利床面積は従前の住戸面積より小さくなるため従前と同じ面積の住戸を取得したい場合は増床する面積分の費用負担が生じます。(これを「増床負担金」という。)増床できる面積の制限や負担金の算出方法にルールを設ける場合があります。

住戸取得費用のイメージ

従前の住戸面積

従前より小さい
面積を取得

増床面積

権利床面積

従前と同等
面積を取得

増床面積

権利床面積

従前より大きい
面積を取得

増床面積

権利床面積

増床負担金を支払い取得

無償で取得

住戸取得しない場合の転出補償金

建替え決議後、建替え参加者(建替え決議の賛成者・決議後の催告に応じた者)は転出(区画を取得せず従前資産評価相当の金額を受け取ることをいう。)を選択することもできます。
新マンションの住戸を取得しない転出者は、権利床分を転出補償金として受け取り退去します。

仮住まい費用と引越し代等

上記の他、仮住まいの家賃や2回の引越し費用がかかります。建設期間は、解体を含めて少なくとも2~3年ほどはかかります。新マンションの入居時に必要な準備金、不動産取得税等の税金、月々の管理費・修繕積立金についても準備しておく必要があります。

マンション建て替えの
事業方式

マンション建て替えの事業方式は、大きくは「法定建替え」(組合施行)と「任意建替え」(等価交換)の2つがあり、マンションの状況に応じてメリットとデメリットを比較して選択します。
近年では、「法定建替え」の「組合施行」が主流です。その理由は、法律で組合運営や意思決定のルールが明確なため合意形成や事業実施を円滑に進められ、「権利変換」の手法により事業中も所有権が保持できるなど所有者にとってメリットが多いためです。

事業方式

マンション再生円滑化法に基づく法定建替え

任意建替え

組合施行
等価交換

事業主体

マンション再生組合(法人格)

デベロッパー

事業の
流れ

建替え決議

再生組合設立(デベロッパーは参加組合員となる)

権利変換作成・認可

再生組合が権利を取得(権利変換期日)

新マンションの建設

建替え決議

デベロッパーと個別に等価交換契約を締結

デベロッパーが土地・建物の権利を取得

新マンションの建設

権利移転
方法

権利変換方式※組合員の議決権及び持ち分割合の各4/5以上の賛成

所有者は転出か住戸取得かを選択し、再生組合が権利変換計画を作成し行政の認可を得る
底地権者・隣接地所有者も権利変換により事業参加可能

等価交換契約※全員同意

所有者全員が土地建物の権利(所有権・借地権)を一旦デベロッパーに売却し再取得を希望する
所有者はデベロッパーから新しいマンションを購入する

メリット

・所有権を保持したまま移行できる
・従前の抵当権を抹消(一部返済)せずに移行できる
・反対/棄権者への対応に売渡請求等の法的な仕組みがある
・借地権・賃貸契約の法的整理が可能

・手続きに制約が少ないため期間を短縮できる
・建物計画に制限がない(ビルや小規模住戸も可能)

デメリット
留意点

・行政の認可が必要なため手続き期間が必要
・住戸面積は原則40㎡以上の制限がある
・建て替え後の用途を区分所有建物以外へ変更できない

・全員とデベロッパーの契約が必要
・反対者が生じた場合、事業が中断する
・抵当権の抹消が必要(残債がある場合は返済が必要)
・事業者の経営状況の信頼性に留意

マンション建て替えの事業
の流れ
※組合施行の場合

マンション建替え事業の流れ図。合意形成段階(①再生方法の比較検討、②建替え推進決議、③事業協力者選定、④建替え決議)、権利変換段階(⑤マンション再生組合設立認可、⑥権利変換計画認可、⑦権利変換期日)、工事段階(⑧解体・新築工事)を経て、完成・ご入居段階(⑨新マンション竣工、⑩再入居・新管理組合の設立)に至る流れを示す。

建替え推進決議

再生方法を比較検討し建て替えが望ましいと判断した場合は、建て替えを検討することの合意として「建替え推進決議」(=建替えを具体的に検討するかどうかの決議。任意の決議です。過半数の賛成で成立とする場合が一般的です。)を行います。耐震性不足や外壁剝落など一定の客観的事由があり建替え決議の要件を緩和する場合は推進決議の前にその旨情報を周知しておくことが必要です。

事業協力者の選定

決議後、計画組織の再編を行い、「建替え決議」に向けて新マンションの保留床の売却を行うデベロッパーを事業協力者として選定し、本格的な計画案の立案を所有者と共に開始します。事業協力者は所有者へアンケートや個別面談等の意向調査を行い、建物計画や負担金等の検討を行い、概ね所有者の合意が得られると判断したら区分所有法による「建替え決議」を行います。

建替え決議に向けた合意形成

建替え決議の効力は区分所有者に限定されることから、事業を円滑に進めるためには、抵当権者や賃借人といった関係権利者との早期調整が不可欠です。住宅ローン等の抵当権が設定されている場合には、新マンションへ移行させることも可能ですので、あらかじめ金融機関への説明を行う必要があります。また、賃借人については、賃貸人である区分所有者が十分な説明を行い、建替え決定後の退去について事前に理解と合意を得ておくことが求められます。その際には、賃貸借契約を期間の定めのある定期借家契約へ移行しておくことが望まれます。

再生組合の設立

「建替え決議」が成立すると、マンション再生円滑化法により事業の主体となる「マンション再生組合」を設立します。「再生組合」は、反対や棄権で賛成しなかった所有者に再度の意思確認として「催告」を行った上で、反対・無回答の所有者へ時価で売り渡すよう請求(「売渡し請求」という。)することができます。「売渡し請求」が行われると本人の同意なしに区分所有権と敷地利用権が「再生組合」に移行します。「売渡し請求」を受けた所有者は住戸の明渡し義務が生じます。賃借人について協議が不調の場合、賃借人及び再生組合は、「賃貸借の終了請求」を行い、補償金の支払いにより6カ月後に契約を終了させることができます。その後、「再生組合」は、建て替えには合意したが住戸取得(権利変換)を希望しない所有者から「転出」の申出(住戸を取得せず従前資産評価相当の金銭を受けとって退去することを「転出」という。)を受けた後、「建替え参加者」のみで取得する住戸を決定し「権利変換計画」を作成します。

権利変換計画の認可

「権利変換計画」が認可されると計画で定めた「権利変換期日」に区分所有権や敷地利用権は新たな権利へ移行します。「転出者」には評価額に応じた「転出補償金」が支払われ、借地権や抵当権などの権利も法令に基づいて整理されます。

工事着手

既存マンションの建物部分の所有権は「再生組合」に移行されるため、全戸明け渡し後、解体工事に着手します。既存マンションの管理組合は残った修繕積立金等を管理組合員に分配・清算し解散となります。

竣工・ご入居

工事期間中、権利変換を受ける「建替え参加者」は工事期間中は仮住まいでの生活になります。工事が完了し新たに管理規約が作成された新マンションが竣工します。
「再生組合」は、工事完了公告後、新マンションの建物登記を行います。「建替え参加者」は増床負担金を支払い住戸の引き渡しを受けると建物の所有権登記が完了します。既存マンションに借入等の抵当権等が残っていた場合は新マンションに移行されます。
「再生組合」は、組合解散の申請をし事業費を清算します。

マンション建て替え事業に
おける長谷工の役割

マンション建て替えでは、アドバイザー・デベロッパー・設計・施工といった複数の事業パートナーが関わります。いずれも専門性が高く、管理組合だけで判断することは困難なため、信頼性・実績・透明性の高い事業者を選定することが重要です。
長谷工は、建て替え事業に必要な様々な役割を、幅広く担うことができます。

※長谷工が提供する支援内容は、事業手法や契約形態、参画する立場等により異なります。具体的な業務範囲については個別の契約内容に基づきます。

アドバイザー
としてお手伝いできること

建て替えの実績と技術的な理解が十分にあり、住民の合意形成や説明会の運営を丁寧にサポートできることが大きなポイントです。
マンション建て替え、耐震・長寿命化に関わる課題の解決方法を一緒に考えていきます。

  • 建物診断・設備診断・耐震診断
    (建物の劣化状況・耐震性の調査)
  • 建て替えに関する勉強会等の企画
  • 建て替えか、修繕かの比較検討
    (将来計画の意向調査)
  • 各種検討委員会の立ち上げ協力、建替え推進決議の支援
  • デベロッパー選定の協力
  • 居住者アンケート・個別面談
    (将来計画の意向調査)
  • 引越・仮住居・転出についての相談
  • 資金・ローン相談、相続相談の窓口
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デベロッパー
としてお手伝いできること

マンション建て替えでは、事業の成否がデベロッパーの力量に大きく左右されるため、実績と信頼性を十分に確認したうえで選定することが重要です。
事業収支・補償内容・仮住まい支援などを明確かつ誠実に提示できるか、住民説明会での対応力やコミュニケーションの丁寧さ、リスクの説明や合意形成への支援姿勢など、長期に渡り、管理組合との協働体制が築けるかも重要です。

  • 再建プランの企画設計と事業費
    及び再建住戸の取得費用の試算
  • 建て替えの合意形成への協力・住民説明会の開催・建替え決議の支援
  • 建て替えに賛同されない方への対応
  • 住戸選定の支援・権利変換計画の作成・同意取得
  • 事業推進に伴う協議事項等の作業・手続き
  • 残債ローン金融機関への同行・ローン説明会
  • 引越・仮住居の支援
  • 清算業務・管理に関する業務
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設計事務所・建設会社
としてお手伝いできること

再建建物の設計プランを策定し、新しいマンションを建設します。建て替え実績、技術力、品質管理体制に加え、事業全体を見据えた提案力や長期的なサポート体制も重要なポイントです。

  • 法規制を確認し、余剰容積率等再建プランの可能性を検討
  • 所有者の個々の要望を反映し、全体プラン及び住戸プランを調整
  • ローコストで環境配慮と防災への備えに対応した次世代型マンションの提案
  • 間取りメニューや設備仕様のセレクトで自分流にカスタマイズをサポート
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