※掲載内容は単棟型マンションを前提とした一般的な事例や考え方を示したものです。実際の事業内容、必要経費、長谷工の支援内容等は、マンションの状況や事業手法、契約内容により異なります。
一棟リノベーションとは、建て替えのように建物を解体せず、基礎や柱・梁などの構造を活かしながらスケルトン化し、建物全体を再生する手法です。
大規模修繕が共用部分中心の更新であるのに対し、専有部分も含めて全体を更新できる点が特徴です。これにより、住戸配置の変更や統合などが可能となり、建替えに近い再生を実現します。
更新後の戸数や住戸面積には一定の基準が設けられています。
一棟リノベーションは、改修と建て替えの中間に位置する実質的な選択肢です。基礎や柱・梁などの躯体を再活用するため、現在の規模を維持できる一方で、構造体に重大な劣化がなく、耐震補強が可能であることや配置更新のしやすさが前提条件となります。
一棟リノベーションと大規模修繕は「改修」の点では共通していますが、工事範囲や法規対応等に明確な違いがあります。
| 項目 | 一棟リノベーション | 大規模修繕 |
|---|---|---|
| 概要 | 躯体を活かし建物全体を更新 | 劣化部分の修繕・機能回復 |
| 工事範囲 | 共用部+専有部(全体更新) | 主に共用部分中心 |
| 構造の扱い | 基礎・柱・梁等再利用 | 既存のまま |
| 住戸の変更 | 配置・面積・統合等変更可 ※全く手を加えない住戸がある場合は、建物更新には該当しません。 | 原則変更不可 |
| 建物規模 | 原則、既存規模を維持 | 変更なし |
| 事業性 | 大幅な余剰床は想定しない | なし |
| 法規対応 | 一部現行法規への適合が必要 | 原則として現行適合義務なし(既存不適格可) |
| メリット | 規模が維持でき、建て替えに近い再生 | 費用が比較的低く、合意形成しやすい |
| 留意点 | 躯体・配管条件に制約あり | 性能向上には限界あり |
成立要件
区分所有者・議決権の各5分の4以上の賛成
一定の事由があった場合
の緩和要件
区分所有者・議決権の各4分の3以上の賛成
一定の客観的事由に該当する項目
共通工事費(外壁・配管・耐震・共用部)は面積按分し、個別工事費(専有部更新・間取り変更・設備)は実費もしくはタイプ別定額を負担するイメージです。
●総事業費の費用負担
建替えのように保留床の確保が難しく、デベロッパーの参画が期待できないため、総事業費は全ての区分所有者で負担します。資金は修繕積立金の活用や管理組合名義での借入、行政の補助金などで賄います。なお、補助金には耐震化やバリアフリー、省エネ改修などがあり、内容や上限額は自治体ごとに異なります。
●各区分所有者の住戸取得費
取得する住戸の広さや仕様により、負担額は違います。
専有部分の工事内容が同一の場合:専有部分の面積に比例
専有部分の工事内容が同一でない場合:各専有部分の工事内容を踏まえた費用分担の基準が必要
●住戸配置等の変更がある場合
住戸の面積や配置が変わる際には、価値の差を調整金で清算します。
●事業に参加しない所有者がいる場合
参加しない所有者分の住戸(保留床)を売却し、その売却収入を事業費に充てることができます。
※事業費や各種費用は、マンションの規模、事業内容、法的手続き等により異なります。記載内容は一般的な例であり、実際の費用を示すものではありません。
建物診断やアンケートなどを通じて、耐震補強や設備更新、バリアフリー化など、マンションが抱える課題を整理します。
耐震性や省エネ性能の向上、設備更新、バリアフリー化など、一棟リノベーションで実現する再生内容を検討し、目指すマンションの将来像を共有します。
改修内容や建物性能、工事費、工期などを整理し、事業計画を作成します。あわせて、各区分所有者の費用負担や将来の管理コストも確認します。
再生円滑化法に基づき、事業計画や費用負担、住戸選定ルールなどを定める建物更新推進決議を行います。事業実施に向けた基本的な方針を区分所有者で共有します。
詳細な設計や工事内容、住戸選定結果などを確定し、建物更新計画を決定します。この決議により、一棟リノベーション事業を正式に進めることができます。
事業を実施するため、区分所有者を構成員とする再生組合を設立します。組合が事業主体となり、一棟リノベーション事業を進めます。
工事後の区分所有者に帰属する住戸や権利、費用負担、抵当権などの権利関係を定めた権利変換計画の認可を受け、工事着手に向けた準備を進めます。
居住者の仮住まいへの移転後、共用部や専有部の改修工事を行います。建物の性能向上や設備更新を図り、より快適で安全な住環境へと再生します。
工事完了後、再生されたマンションへ再入居します。性能や居住性が向上した建物で、新たな暮らしを始めることができます。
一棟リノベーション事業では、既存建物の制約を踏まえた高度な調査・技術が必要になるため、実績と診断力の確かな事業者を選ぶことが重要です。また、費用や工程、リスクを分かりやすく示し、アフター対応まで責任を持って継続的に支援できるパートナーを選定することが、安心して事業を進めるうえで不可欠です。
※長谷工が提供する支援内容は、事業手法や契約形態、参画する立場等により異なります。具体的な業務範囲については個別の契約内容に基づきます。
一棟リノベーションのアドバイザーは、建物診断から工事内容の比較、住民合意形成まで幅広く支援できる専門性が必要です。技術的な知見に加え、管理組合の立場で中立的に助言し、メリット・デメリットを公平に説明できることが重要です。管理組合の立場で判断材料を整理し、リスクを抑えながらリノベーションの実現をサポートします。
一棟リノベーション事業は、躯体を再利用して行うため、耐震性能と水回りや間取りの自由度がどれだけあるか既存建物の制約を正しく診断し、改修計画を立てられる設計力と、安全に工事を進める施工力が欠かせません。工事後の保証やアフター対応まで責任を持って継続的に支援できる体制があるかどうかも安心して進めるための大きな判断ポイントになります。
【設計】
【施工】