360度全方向からの音を可視化した音配図を安価な装置で実現音源方向の可視化システム

概要

今まで音の到来方向の判断は人間の感覚に頼っていましたが、3Dマイクロホン(※1)を用いて可視化する技術を開発しました。3Dマイクロホンで録音したデータから到来する音の強さの空間分布を計算することにより、安価で簡単に、360度全方向の空間内の各音源の位置を可視化できます。音源を音配図(※2)として可視化する技術は、広範囲の音響情報を必要とする建設・建築現場などへの貢献が期待されます。

  1. ※1 3Dマイクロホンとは
    複数のマイクロホンで構成される、360度全周からの音を録音できるマイクロホン。例えば、前方左上向き、前方右下向き、後方左下向き、後方右上向きに配置された4本のマイクロホンで構成される。各マイクロホンは正面に対しての感度が良い単一指向性というタイプ。
  2. ※2音配図(商願 2018-25629)とは
    ある期間にある地点に到来する、音の方向とその強さを表した図。その場所の顕著な音源や、その他音の特徴を知ることを主な目的として作成される。

全天球カメラで撮影した360度画像(左図)に音源方向の解析結果を重ね合わせた図(右図)

採用メリット

安価で簡単に360度全方向の音源の方向を可視化

安価で迅速・簡単に360度全方向の音源の方向を可視化でき、現地での騒音源探査時間を大幅に短縮できます。建設現場だけではなく、プライバシー保護の観点からカメラが使用できない場所での乳幼児や高齢者の見守りや、小型・ウェアラブル化して耳の不自由な方への情報提示など、幅広い分野での活用が期待されます。

実験室内の3つの音源の到来方向の解析例

音の強度分布図(音配図)の解析例

開発の目的・背景

従来の音環境評価は、その環境の音の音圧レベルを計測できますが、その音がどの方向からどのくらいの強さでくるのかは計れません。そのため、効率的に騒音対策を行えないこともありました。建設業界では、周囲の騒音を360度可視化でき、現場で使いやすく安価な測定装置の導入が求められていました。
音源の方向を可視化する従来のシステムは、高価で大規模であり、可視化範囲も180度程度と狭いなどの理由から、日常的に現場で使えるシステムではないため、安価で360度全方向にある音源の方向を可視化するシステムが求められていました。

研究の経緯

近年、バーチャルリアリティー技術の普及により、3Dマイクロホンの価格が低下し、10万円以下のものも販売されるようになってきました。これにより、従来の大規模な測定装置に比べ、小型で10分の1程度の価格、半分以下の短い作業時間で、360度全方向の音源を可視化することが可能になってきました。
本開発は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所、佐藤工業(株)、(株)CAEソリューションズ、(株)安藤・間と共同で実施しました。