フローリングは、使われている素材や表面の仕上げによって掃除方法が変わってきます。大きく分けると、素材は「無垢」と「複合」、仕上げは「オイル塗装」と「ウレタン塗装」があり、組み合わせは4種類あります。

• 無垢フローリング：一般的にオイル塗装仕上げの1種類です。木材の風合いを生かす分、水や洗剤に弱いので注意が必要です。
• 複合フローリング：「シートフローリング」「突き板フローリング」「挽き板フローリング」の3種類があります。ウレタン塗装仕上げが多く、汚れに強いものもありますが、オイル塗装仕上げのタイプもあります。

今回は、無垢フローリング（オイル仕上げ）の場合と、複合フローリング（ウレタン仕上げ）を例に、掃除の前に押さえておきたいことを解説していきます。

無垢フローリング（オイル仕上げの場合）

無垢とは、1本の天然木から切り出した木材でできているものをいいます。オイル塗装とは、素材表面にオイルを塗り、素材に浸透させていく方法のことです。この特徴から、無垢フローリングの場合は、原則ドライシートを使った乾拭きのみが可能です。水拭きや化学洗剤を使ってしまうと、変色する可能性があるので注意しましょう。

複合（合板）フローリング（ウレタン仕上げの場合）

複合フローリングとは、合板と呼ばれる基材の表面に、薄い化粧単板を重ねたものをいいます。ウレタン塗装とは、表面に保護膜のような層を作り、汚れを防止する方法のことです。この特徴から、複合フローリングの場合は、無垢と異なり、乾拭きのみならず水拭きや洗剤を使った掃除も可能となります。ただし、ものによっては推奨できないケースもあるため、メーカーの取扱説明書を確認するようにしましょう。

以降では、一般的に使われる複合フローリングのウレタン仕上げを例に掃除方法をご紹介していきます。

ワックス塗装とは？

ワックス塗装は、床の表面に膜を作って汚れを防ぐ仕上げです。乾拭きや水拭き、洗剤（中性・アルカリ性問わず）やアルコール水などでの掃除が可能ですが、水分を残すと白く変色することがあったり、ワックスは油性のため掃除すると徐々に剥がれてきたりすることがあります。そのため、定期的な塗り直しは必要ですが、塗布後は床が滑りやすくなるため、小さな子どもやシニア、ペットがいる場合は、転倒したり足腰に負担がかかったりする恐れがあります。安全面を優先するなら、滑り止め効果のあるワックスを選ぶとよいでしょう。

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フローリングの拭き掃除を始める前に、ほこりやごみなどを取り除きます。まず、フローリングモップや、使い捨てのドライシートを付けたフローリングワイパーでほこりをおおまかに取り除きます。それから掃除機で細かなほこりを吸い上げてきれいにしましょう。

先に掃除機を使うと排気でほこりが舞い上がってしまうので、必ず後から使うようにしてください。

フローリングのベタつきには、重曹水での拭き掃除が効果的です。
重曹は弱アルカリ性の洗剤なので、皮脂汚れや油汚れのような酸性の汚れを落とすのに適しています。また、「赤ちゃんがいるので化学洗剤を避けたい」という人にもおすすめです。

ただし、床に使われている材質が「無垢材」の場合、重曹水やセスキ炭酸ソーダを使って拭き掃除をすると、木に含まれるタンニンが反応して染みになってしまうことがあります。もし、床材に無垢材が使われていたら、乾拭きもしくはアルコール水を使用しましょう。

重曹水で拭き掃除をします。
濃度1％（2Lのお湯に対して重曹小さじ5杯）の重曹水を手作りし、クロスを10枚〜20枚程度浸して絞っておきます。このとき、洗濯機で1分間脱水をかけるとしっかりと絞れます。また、このように複数枚クロスをまとめて用意しておくと、常にきれいなクロスで掃除ができます。

フローリングの溝や、家具の隙間などの細かな部分は、割りばしやヘラなどにクロスを巻き付けて拭くときれいになります。

なお、フローリングをクロスがけする際には、一般的な綿雑巾や化学雑巾よりも「マイクロファイバークロス」がおすすめです。
マイクロファイバークロスとは、ポリエステルやナイロンなどの極細の繊維で作られたクロスのことです。やわらかいので床が傷つきにくいだけでなく、汚れも落ちやすく、乾きやすいといったメリットがあります。スーパーや量販店などで手に入ります。
なお、家の掃除に活用されることが多い新聞紙は、フローリングに使うと傷やインク移りの原因になる場合があるためおすすめできません。

フローリングの皮脂汚れや油汚れが黒ずみになってしまっている部分には、重曹よりもアルカリ性が強いセスキ炭酸ソーダを使ってみましょう。手荒れする場合があるので、ゴム手袋をしてから行なうのがおすすめです。

水にごく少量のセスキ炭酸ソーダを混ぜ、スプレー用の水溶液を手作りします。水200mlに対して、セスキ炭酸ソーダ小さじ1/2杯が目安です。

黒ずみの部分に、セスキ炭酸ソーダの水溶液をスプレーで吹き付け、水で絞ったクロスで拭き取ります。汚れが取れるまで、これを繰り返しましょう。

汚れが取れた後は、水拭きで仕上げます。

重曹水やセスキ炭酸ソーダがNGの場合は？

重曹水やセスキ炭酸ソーダのようなアルカリ性の洗剤を使うと変色してしまう素材の場合は、アルコール水での掃除が効果的です。なお、中性洗剤の場合は、掃除後に水拭きでの拭き取りが必要になるため手間が余計にかかってしまいます。そのため、アルコール水を使いましょう。

アルコール水は、濃度35％程度のものを使用します。アルコール耐性のあるスプレーボトルに、まず水110mlを入れ、消毒用エタノール90mlを混ぜ合わせることで作れます。

なお、カビが付いてしまった場合もアルコール水を使って対処することができます。

●フローリングのカビに関する記事はこちら

ペットがフローリングに粗相をしてしまったら？

まず、乾いたキッチンペーパー等を使って汚れをしっかり吸い取りましょう。水をスプレーし、汚れを溶かし出してキッチンペーパーや使い捨ての布で繰り返し吸い取ります。ニオイが気になるときは、クエン酸水をスプレーして拭き取り、その後で水拭きすれば完了です。

フローリング掃除は、誤った方法で行なうと床を傷めてしまうことがあります。大切な住まいを守るために、フローリング掃除の注意点も知っておきましょう。

床材に注意

前述した通り、無垢材のフローリングは基本的に乾拭きでお手入れを行ないましょう。もし、汚れが気になる部分がある場合は、水に浸してかたく絞ったクロスで拭くようにします。

重曹水の濃度に注意

フローリングの拭き掃除に使う重曹水の濃度は、1％が目安です。濃過ぎると、拭いた後に白残りするので注意しましょう。もし白残りしてしまったら、水拭きで白残りを拭き取ります。

スチームクリーナーの蒸気に注意

スチームクリーナーは、高温状態の蒸気によって汚れを浮かせてきれいにする掃除機です。ただし、水分や熱がフローリングを傷めてしまう場合が多いため、正規の使用方法や適している材質などについて必ず確認しましょう。

汚れと洗剤の相性に注意

除菌効果があるので掃除によく使われるクエン酸や酢は、いずれも酸性。フローリングの皮脂汚れや油汚れも酸性なので、床掃除には適していません。また、クエン酸を使えば効果的に落とせる水垢は、そもそもフローリングには付きにくいです。汚れの種類に合わせて、洗剤を使い分けましょう。

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