トイレタンクに水がたまらない原因とは?自分でできる対処法を解説
この記事でわかること
トイレタンクに水がたまらない状態を放置すると発生する問題
トイレの詰まりや悪臭の発生、水道代の増加といった問題が生じる可能性があります。
トイレタンクに水がたまらない原因
原因として止水栓の開け忘れや浮き玉の不具合、ボールタップの故障などが考えられます。
トイレタンクに水がたまらないときの対処法
不具合が生じている部品の交換、掃除など、自分でできる解決策もあります。
■ご注意
トイレタンク内はさまざまな精密部品でできているため、取り扱いには十分気を付けましょう。自分で調整するときは感電を防ぐため、必ず電源を落としたり、止水栓を閉めたりしてから作業を行ないます。緊急を要する水漏れが発生している場合や、自分で修理することに不安を感じるときは、専門業者に依頼することをおすすめします。賃貸住宅の場合は大家さんや管理会社に相談しましょう。
目次
トイレタンクに水がたまらない状態を放置すると起きる問題
トイレタンクに水がたまらないとき、そのまま放置すると起きる問題として、主に以下の3つが挙げられます。
- トイレの詰まりを招く
- 悪臭がする
- 水道代が高額になる
それぞれの問題について、詳しく説明していきます。
トイレの詰まりを招く
トイレタンクに水が少ないと、排泄物やトイレットペーパーを流す水が十分でないため、詰まりやすくなります。水がたまらない状態を認識したら放置せず、すぐに対処することでトラブルを避けられるでしょう。
悪臭がする
トイレタンクに水がたまらない状態が続くと、封水切れが発生しやすくなり、悪臭の原因になる恐れがあります。さらに、下水のニオイだけでなく、害虫が侵入する可能性もあるため、トイレの衛生状態に影響を及ぼすこともあります。
水道代が高額になる
トイレタンクに水がたまらない場合、何らかの原因で水漏れが発生していることも考えられます。水漏れが続くと、水が常に流れていることになるため、水道代が高くなってしまいます。階下への水漏れや床の腐敗といった被害を最小限に抑えるためにも、素早い対応が必要です。
トイレタンクに水がたまらない原因
トイレタンクに水がたまらない原因として、主に以下の8つが挙げられます。
- 止水栓の開け忘れ
- 浮き玉の不具合
- ボールタップの故障
- ストレーナーの劣化
- レバーハンドルの故障
- ゴムパッキンの劣化
- オーバーフロー管の問題
- 断水・水道管の問題
それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
止水栓の開け忘れ
止水栓を開け忘れると、トイレタンクに水がたまりません。止水栓とは、故障時やメンテナンス時に水を止めたり、水量を調整したりするものです。一般的にはトイレタンクの近くの壁や床に設置されていて、常に開いた状態を保っています。しかし、引っ越し直後や新築住宅に入居したばかりだと、トイレの止水栓が閉められている場合もあるため、まずは開いているかを確認しましょう。
浮き玉の不具合
浮き玉が割れている、浮き玉が動かないという不具合は、トイレタンクに水がたまりにくくなる原因になります。浮き玉とは、トイレタンク内の水量を調整する球体の設備です。
レバーハンドルを引いて便器に水が流れると、トイレタンクの水位が下がって、浮き玉も一緒に下がります。一定程度まで下がると、トイレタンクに給水するためのピストンバルブが開き、再び水がたまるという仕組みです。そのため、浮き玉が正常に機能していないと、給水に影響が及ぶこともあります。
ボールタップの故障
ボールタップは、トイレタンク内の給水設備のことで、トイレの水をためる役目を果たします。給水管とつながっていて、浮き玉の動きと連動して便器に水を流したり、止めたりする作業を行ないます。そのため、ボールタップが劣化すると、タンクに適切な量の水がたまらなくなることもあります。
また、ボールタップには、浮き玉の動きに合わせて給水を促すピストンバルブがあり、これはタンク内に水をためる重要な部品です。ピストンバルブが劣化して正しく稼働しなくなれば、水がたまりにくくなるでしょう。
ストレーナーの劣化
トイレタンクに接続されている給水管には、ストレーナーと呼ばれるフィルターがはめ込まれています。水道水に混じるごみや砂などが入り込まないようにする網状の部品です。ストレーナーの詰まりによって、タンクの水が十分にたまるまで時間がかかったり、便器を洗浄する水の勢いが弱くなったりします。
また、ストレーナーは給水管内に設置されたフィルターですが、ボールタップにもフィルターが設置されています。このフィルターも、目詰まりを起こすとタンク内に水がたまりにくくなるので、注意が必要です。
レバーハンドルの故障
便器を洗浄するためのレバーハンドルの故障も、トイレの水がたまらなくなる原因のひとつです。トイレに水を流すときは、レバーハンドルを回すことでタンクの排水口をふさぐ蓋(ゴムフロート)を引き上げ、タンク内にたまった水を便器へ排水する仕組みになっています。
そのため、レバーハンドルとゴムフロートをつなぐ鎖が切れてしまうと、排水口が開かなくなり、水が正常に流れなくなるでしょう。あるいは、レバーハンドルでゴムフロートをうまく操作できない場合、排水口が開きっぱなしになって、常に少量の水が便器に流れ込み、タンク内に水がたまらなくなっている可能性があります。
ゴムパッキンの劣化
トイレタンクへの給水管にはゴムパッキンがはめられていて、これが劣化すると水漏れが起き、タンクに十分な水が給水されなくなる可能性があります。ゴムパッキンは給水管の接続部に設置されているほか、レバーハンドルや止水栓などにも使われていて、劣化によってタンクや便器への給水に不具合を起こします。パッキンの寿命はおよそ10年といわれるため、劣化する前に交換する必要があるでしょう。
オーバーフロー管の問題
トイレタンク内にはオーバーフロー管という、水があふれるのを防ぐ部品があります。タンク内にあるほかの部品の故障により水位が上がり続けると、水がオーバーフロー管を通って排出される仕組みです。しかし、オーバーフロー管が損傷すると、便器内に水が流れ続けるようになり、トイレタンクに水がたまらなくなります。
断水・水道管の問題
工事や建物全体のメンテナンスによる断水があれば、トイレタンクに水がたまらなくなります。あるいは、冬の寒さで給水管が凍結したり、地震の影響で水道管が損傷したりする場合にも水がたまらなくなるでしょう。
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トイレタンクに水がたまらないときの対処法
トイレタンクに水がたまらないとき、自分でもできる対処法は、主に以下の7つです。
- 止水栓を開ける
- 浮き玉を調整する
- ボールタップを交換する
- ストレーナーを掃除する
- レバーハンドルを交換する
- ゴムパッキンを交換する
- オーバーフロー管を交換する
それぞれの状況に応じた対処法について、詳しく見ていきます。
止水栓を開ける
止水栓を開け忘れた可能性があれば、止水栓をまず確認しましょう。止水栓には、ハンドル式・外ネジ式・内ネジ式の3種類があります。ハンドル式は、手で回して調整できますが、外ネジ式や内ネジ式を開けるにはマイナスドライバーが必要です。なお、開けるときは反時計回りに回します。
浮き玉を調整する
止水栓が開いているなら、タンク内の浮き玉を確認しましょう。浮き玉を調整することで、適切な水量がたまるようになる可能性があります。浮き玉の調整については、以下の手順で行ないます。
- 止水栓を閉めてトイレタンクの蓋を開ける
- ボールタップの付け根にギザギザとしたネジのような部品(水位調整リング)があるか確認する
- タンク内の水位を調整する
- 浮き玉が引っかかっている場合は、不具合がないか確認する
- 問題がなければ、タンクの蓋を閉めて、止水栓を開ける
タンク内の水位を調整する際、適切な水位の目安として、オーバーフロー管の「-WL-(ウォーターライン)」表示に合わせます。オーバーフロー管に表示がない場合は、管の先端から2~3cm下を標準水位とします。水位調整リングがあるときは、リングを右に回すと水位が上がり、左に回すと水位が下がります。水位調整リングがない場合は浮き玉支持棒を上下にして調整しましょう。
ボールタップを交換する
トイレタンクの水がたまらない原因がボールタップの場合は、関連する部品を丸ごと交換するのがおすすめです。浮き玉を調整するだけで不具合が解消される場合もありますが、トイレの水がたまらない原因を特定するのは簡単ではないため、ボールタップ自体を交換したほうが手間はかからないでしょう。ボールタップの交換は、以下の手順で行ないます。
- 止水栓を閉めて、タンクの水を全て抜く
- タンクの蓋を開け、手洗い管や補助水管があれば外す
- ボールタップと給水管を固定しているナットをゆるめ、給水管を外す
- ボールタップとタンクを固定しているナットをゆるめ、ボールタップを外す
- 新しいボールタップを取り付け、ナットを締めてタンクに固定する
- パッキンをはめてナットを締め、ボールタップを給水管に固定する
- 外した手洗い管や補助水管などを取り付ける
- タンクの蓋を閉め、止水栓を開ける
ボールタップにはいくつか種類があるので、交換する際は、事前にどのようなボールタップが使われているか確認してから用意しましょう。交換には、レンチやマイナスドライバーを用意しておくとスムーズに行なえます。
ストレーナーを掃除する
給水管内のフィルター、ストレーナーを掃除することで、トイレの水がたまらない問題を解決できる場合があります。給水管からストレーナーを取り外し、使い古した歯ブラシで網目を掃除しましょう。
また、ボールタップのフィルターの詰まりが不具合の原因になっている可能性もあるので、定期的に掃除・交換することが大切です。メーカーのタイプにもよりますが、ボールタップのフィルターは、オレンジや赤のねじ式になった蓋状の部品を取り外した中にあります。
レバーハンドルを交換する
レバーハンドルの故障は、タンク内の排水口をふさぐゴムフロートとハンドルをつなぐチェーンが切れていることが多いでしょう。この場合、チェーンの端をハンドルの軸の先に引っ掛けます。適切な長さはチェーンが少したるむ程度です。チェーンが劣化して途中で切れているなら、新しいものと交換します。
レバーハンドルが回らない、あるいは戻らず、便器へ流れる水量が適切でない場合は、ハンドルを交換します。タンクの内側にあるナットを外して古いものを取り外し、新しいハンドルを差し込むことで交換が可能です。
ゴムパッキンを交換する
トイレに水がたまらない原因がゴムパッキンの場合、交換することで直る可能性があります。ただし、ゴムパッキンは設置箇所によってサイズが異なるため注意が必要です。ゴムパッキンが使用されている主な箇所として、以下の3つがあります。
- トイレタンクと給水管の接続部分
- レバーハンドルの部分
- トイレタンクの排水部分
事前に交換が必要な箇所のゴムパッキンのサイズを確認したうえで作業しましょう。
オーバーフロー管を交換する
オーバーフロー管が故障した場合は、自分で交換できます。オーバーフロー管は常に水に浸かっているため、劣化しやすいものです。交換は以下の手順で行ないます。
- 止水栓を閉める
- トイレタンクの蓋を外す
- レバーハンドルを引いてトイレタンク内の水を全て流す
- ナットをゆるめて給水管を外す
- 便座に固定しているナットをゆるめてタンクを外す
- タンク下側からパイプレンチを使ってオーバーフロー管を取り外す
- 新しいオーバーフロー管を取り付ける
- トイレタンク、給水管をもとに戻す
- 止水栓を開ける
- 動作確認を行ない、トイレタンクの蓋を戻す
トイレの水がチョロチョロする
トイレから水が「チョロチョロ」流れる音が聞こえる場合、ボールタップや浮き玉・ゴムフロートの不具合が考えられます。これらの部品が適切に役目を果たせずにいると、給水量の調整ができなくなり、常に少量の水が流れてタンク内に水がたまらなくなるでしょう。
トイレタンクの手洗い金具(手洗い用の水が出る蛇口状の部品)から水が流れ続ける場合は、ゴムフロートに不具合がある可能性があります。ゴムフロートの劣化や位置のずれにより、タンク内の水が便器に流れ出ることが主な原因です。
トイレの水がたまらないときの流し方
レバーハンドルを回しても水が流れないときは、バケツで水を流す方法があります。ただし、トイレが詰まっていると、大量の水を一気に流すことで、便器から汚水があふれ出す恐れがあるため、注意が必要です。
タンクレストイレの水が流れない原因
タンクレストイレに水が流れない原因として、以下の2つが考えられます。
- 電気系統の問題
- 水圧の不足
タンクレストイレには、電力供給が必須であるため、電気系統に問題があると水が流れないことがあります。また、水の流れを制御するバルブが故障している場合も、水が流れなくなってしまいます。ただし、タンクレストイレのバルブや電気系統の部品は、見えない部分に設置されているため、自分で直すことは困難でしょう。
さらに、タンクレストイレは水道管から直接水を流す仕組みのため、築年数が古く配管が経年劣化している場合など、水圧が低い環境では、水が流れにくくなることがあります。
トイレをご自分の趣味に合わせてアレンジしよう
ここまで、トイレタンクに水がたまらない原因や対処法についてご紹介してきました。水がたまらない、水漏れの可能性があるといったトラブルは、自分で解決できないこともあります。その場合は、プロに依頼するか、設置してから長い期間が経過しているのであれば、全体のリフォームを検討するのもおすすめです。
リフォームによって問題を解決するだけでなく、長年蓄積された床や壁の汚れをきれいに張り替えれば、トイレを心地よい空間にできるでしょう。また、個室内にはなかった手洗いカウンターを設置したり、トイレットペーパーや掃除道具を収納するキャビネットを付けたりすることで、同じスペースでも広く使えて、お手入れがしやすくなる可能性もあります。
長谷工リフォームでは、生活に不便を感じていることや、ご要望を伺ったうえで、より快適な住まいづくりをご提案しています。日頃から気になっていることがある方は、ぜひ一度ご相談ください。
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