住まいの修理ガイド

蛇口のパッキン交換の方法は?種類や水漏れの箇所ごとに解説

更新日 2025年11月13日

この記事でわかること

交換すべきパッキンの種類と交換方法
蛇口から水漏れしている場合、水漏れ箇所から想定される交換すべきパッキンおよび、交換方法について詳しく解説しています。

■ご注意

蛇口のパッキン交換は、誤った手順や工具の使用によって蛇口本体や配管を破損するリスクがあります。作業前には必ず止水栓または元栓を閉め、万が一に備えて雑巾やバケツを用意しておきましょう。また、築年数が経過している住宅や10年以上使用している蛇口の場合は、パッキン交換だけでは根本的な解決にならないこともあります。その場合は蛇口本体の交換や、水まわりのリフォームも検討してみましょう。

目次

蛇口のパッキン交換を行なうタイミングは?

一般的に、蛇口本体の寿命は約10年とされており、蛇口内部のパッキンも同様に、10年がひとつの交換目安とされています。10年未満でも、以下のようなサインが見られたらパッキンの劣化が進行している可能性が高いため、注意が必要です。

  • ハンドルを回すと異音がする
  • ハンドルが以前よりかたくなった、またはガタつく
  • 蛇口をしっかり締めても、水が完全に止まりきらない など

ここで重要なのは、10年以上経過した蛇口のパッキンが劣化したということは、ほかの部品も同様に寿命を迎えている可能性が高いという点です。そのため、修理してもすぐに別の場所から追加で水漏れが発生し、いたちごっこになることもあります。もしご自宅の蛇口が10年以上たっている場合は、蛇口本体の交換を検討してみるのもよいでしょう。

【蛇口のパッキン交換】水漏れ箇所別の主な原因

「パッキン交換」と一言でいっても、水漏れが発生している箇所によって、交換するパッキンの種類は異なります。ハンドルタイプの「単水栓」や「2ハンドル混合水栓」の場合、水を止めても吐水口の先からポタポタと水が垂れる症状は、コマパッキン(ケレップ)と呼ばれる部材の劣化が主な原因です。ハンドルの付け根(ハンドル下のナット周辺)から水が漏れる場合は、三角パッキンが劣化している可能性があります。

また、蛇口本体とパイプの接続部から漏れているならUパッキン(パイプパッキン)の劣化が考えられ、壁から出ている脚(クランク)との接続部から漏れているのであれば、クランクパッキンまたはシールテープの劣化が原因と考えられます。

一方、レバーがひとつしかない「シングルレバー混合水栓」の場合、水を止めても吐水口から水が垂れたり、レバーハンドルの下から水がにじみ出たりすることがあります。これらの症状は、内部にあるバルブカートリッジの劣化や故障により起こります。

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蛇口のパッキンの種類

蛇口に使われるパッキンは、大きく分けて以下の5種類です。

  • コマパッキン(ケレップ)
  • 三角パッキン
  • Uパッキン(パイプパッキン)
  • Oリング
  • クランクパッキン

それぞれの形状と役割をご紹介していきます。

コマパッキン(ケレップ)

おもちゃのコマのような見た目のパッキンで、主に2ハンドル混合水栓や単水栓の内部に使われます。ハンドル操作と連動して上下し、水の通り道を直接ふさぐことで止水する、最も重要なパッキンです。これが劣化すると蛇口を締めても水が完全に止まらず、吐水口からポタポタと水が漏れ続けます。

三角パッキン

断面が台形(三角形)に見えることからこの名が付いています。ハンドルの下にあるカバーナットの内部に収まり、ハンドルの軸(スピンドル)を伝って水が上部に漏れ出すのを防ぎます。ハンドルの付け根からの水漏れは、ほとんどの場合、このパッキンが劣化していることで引き起こされます。

Uパッキン(パイプパッキン)

断面がU字型で上部に溝があるのが特徴です。なお、V字型の断面をしたパッキンはVパッキン(UVパッキン)と呼ばれますが、基本的な役割は同じです。左右に首を振るタイプのパイプ(自在スパウト)の付け根に使用され、パイプの回転をスムーズにしつつ、接続部からの水漏れを防ぎます。

Oリング

断面が円形のシンプルなリング状のパッキンです。主に、シングルレバー混合水栓のパイプの付け根など、複数の箇所で気密性を保つために使われます。

クランクパッキン

平たいワッシャーのような形状のパッキンです。壁付蛇口とクランク管の接続部など、主に動かない部分の接合面に使われます。

蛇口のパッキンのサイズを調べるには?

蛇口に適したパッキンを選ぶには、いくつかの方法があります。最も確実で簡単なのが、本体に記載されているメーカー名や型番(品番)を確認する方法です。型番が分かれば、その蛇口に使われているパッキンの正確な品番を特定してから購入できます。

型番が消えていて読めない場合、次に確認するのが「呼び径(よびけい)」です。これは、パッキン自体のサイズではなく、接続されている水道管の規格サイズを指します。日本の一般家庭で使われている蛇口のほとんどは呼び径13mmですが、蛇口によっては規格サイズが異なるケースもあるため注意が必要です。

上記の方法で特定できない場合は、蛇口を分解して古いパッキンを取り外し、それをホームセンターに直接持っていく方法があります。現物を店員さんに見せて、同じ商品を探してもらいましょう。

【蛇口のパッキン交換】お風呂や洗濯機のハンドルタイプのケース

前提として、蛇口のタイプや水漏れ箇所にかかわらず、交換作業前には必ず水の供給を止めましょう。作業場所の水を止めるには、止水栓または元栓を閉める必要があります。止水栓とは、キッチンや洗面台のシンク下など、設備ごとに設置されているバルブのことで、ここを閉めれば特定箇所の水を止められます。

止水栓・元栓の閉め方についてはこちら

ハンドルタイプの蛇口のパッキンを交換する場合、水漏れが起きている場所によって交換するパッキンや作業の工程が異なります。水漏れのケースごとに、パッキンの交換方法を解説していきます。

ハンドルの付け根から水漏れする場合

ハンドルの付け根部分で水漏れが発生しているケースでは、三角パッキンを交換します。手順は以下の通りです。

  1. 水栓スパナでナットをゆるめて外す
  2. ハンドルを引き抜く
  3. ハンドルの根元にある三角パッキンを交換する
  4. 部品をもとに戻し、ナットを締める

吐水口から水漏れする場合

吐水口(パイプの先)から水がポタポタと漏れる場合は、コマパッキン(ケレップ)を交換します。手順は以下の通りです。

  1. 水栓スパナでナットをゆるめて外す
  2. ハンドルを引き抜く
  3. ピンセットなどでコマ・コマパッキンをつまみ出し、交換する
  4. 部品をもとに戻し、ナットを締める

パイプの付け根から水漏れする場合

パイプの付け根部分で水漏れが発生しているケースでは、Uパッキンを交換します。手順は以下の通りです。

  1. 水栓スパナでナットをゆるめて外す
  2. パイプを取り外す
  3. パイプ接合部のパッキンを交換
  4. パイプを取り付け、ナットを締めてもとに戻す

【蛇口のパッキン交換】洗面台やキッチンのレバータイプのケース

レバータイプの蛇口でパッキンを交換する場合も、水漏れが起きている箇所によって、交換すべきパッキンや作業の工程が異なります。パイプの付け根(スパウト金具)から水漏れする場合は、Oリングまたは、UVパッキン※を交換しましょう。手順は次の通りです。

  1. 蛇口本体からカートリッジ、スパウトなどの部品を外す
  2. Oリング、UVパッキンを取り換え、外したときと逆の順番で取り付ける

なお、シングルレバー混合水栓のレバー下や吐水口からの水漏れは、水量と温度を調整する「バブルカートリッジ」の劣化か、内部ナットのゆるみが原因である可能性が高いです。DIYに自信がない場合は、専門業者への依頼を検討してみましょう。

※UVパッキン(Vパッキン)は古いタイプのカートリッジに使われるケースが多く、Uパッキンの場合もあります。メーカーによって異なるため交換の際は必ず確認するようにしましょう。

壁付きタイプの蛇口の場合はクランク部分も要注意

壁付タイプの蛇口は、お風呂や古いキッチンによく見られるタイプです。蛇口本体からの水漏れであれば、上記のレバータイプ・ハンドルタイプの蛇口の修理方法と同じですが、本体と壁との間の接続部から水漏れしている場合、クランクパッキンもしくはシールテープの交換・巻き直しが必要です。

クランクパッキンの交換手順としては、まず、蛇口本体を支えながら、左右のクランク管につながる大きなナットを少しずつ均等にゆるめ、本体を取り外します。その後、クランク管の先端に残っている古いパッキンを取り除き、新しいパッキンをはめ込めば交換完了です。

シールテープの巻き方はこちら

水栓まわりのリフォームも検討しよう!

今回の記事では、箇所別・蛇口の種類別でパッキン交換の手順を解説しました。パッキンの寿命が訪れると、蛇口全体も老朽化していることがほとんどです。これをよい機会と考えて、最新かつ便利な機能が充実したキッチン水栓や、モダンな洗面台へのリフォームを検討してみてはいかがでしょうか?

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山田 芳照

監 修

山田 芳照

DIYアドバイザー

1999 年、(株) ダイナシティコーポレーションを設立し、DIY情報サイトDIYCITYを運営している。DIYアドバイザーの資格を取得し、DIY普及活動として、2005年から6年間、NHK Eテレ「住まい自分流」に講師で出演した。以後、DIYをテーマにしたTV 番組の講師及び監修、企画制作を行っている。2013年からは、ホームセンターに置かれているHowtoシートの監修と制作を行い、社員研修やDIYセミナー、DIY教室、体験講座などの企画運営を継続して行っている。