2005年06月03日

 超高強度材料を用いた超高層RC建物の構造設計法に関する共同研究会(淺沼組,安藤建設,大木建設,奥村組,鴻池組,五洋建設,西武建設,錢高組,大日本土木,鉄建建設,東亜建設工業,飛島建設,ハザマ,長谷工コーポレーション,および松村組のゼネコン15社による共同研究会:幹事会社 錢高組)は,設計基準強度が120(N/mm2)クラスのコンクリートと柱主筋に降伏強度が685(N/mm2)クラスの高強度鉄筋を用いた超高層RC建物の構造設計ガイドラインを共同作成しました。
 本研究会では,このガイドラインに従って50階,55階,および60階建ての3種類の超高層集合住宅モデル建物の詳細な試設計を終了しており,今後は研究会参加会社が超高層RC建物の構造設計にこのガイドラインを用いていく方針です。

《背 景》
 近年,超高強度コンクリートおよび超高強度鉄筋の開発が進み,60階建て200m級の超高層鉄筋コンクリート造建物の設計も可能になり,既に設計基準強度が100(N/mm2)を超えるコンクリートと,降伏強度が685(N/mm2)クラスの高強度鉄筋を用いた超高層RC建物が数棟建設されています。

 高強度材料を用いたRC建物の構造設計指針としては,日本建築学会「鉄筋コンクリート造建物の靱性保証型耐震設計指針・同解説1999.8」や都市再生機構(旧都市基盤整備公団)で策定した「超高層鉄筋コンクリート造建物設計指針・同解説(案)」がありますが,これらの指針の適用範囲より高強度のコンクリートや鉄筋を使用した超高層RC建物を設計する場合は,設計者自らが構造実験を実施し、その耐震性能の確認を行う必要がありました。

 このような背景から,設計基準強度が120(N/mm2)クラスのコンクリートと,降伏強度が685(N/mm2)クラスの高強度鉄筋を用いた超高層RC建物の構造設計ガイドラインを策定するために,ゼネコン15社による「超高強度材料を用いた超高層RC建物の構造設計法に関する共同研究会(略称:超高強度RC研究会)」を構成し,2003年5月より明治大学理工学部・平石久廣教授,および山口大学工学部・稲井栄一助教授の指導を受けながら共同研究を実施してきました。

 本研究会では,まず,既往の文献より国内の研究機関で実施された高強度材料を用いたRC柱部材実験(試験体数259体),梁部材実験(試験体数71体),および柱梁接合部を含む架構実験(試験体数103体)の詳細なデータベースを作成し,既往の各種設計式・耐力式の適合性を検証しました。次に,120(N/mm2)クラスのコンクリートを使用した柱部材の曲げせん断実験,柱の中心圧縮実験および,柱梁接合部を含む部分架構の構造性能確認実験などを実施し不足するデータを補完しました。(写真を参照下さい)
 これら,既往の実験結果と研究会独自の実験結果を分析検討することにより,設計基準強度が最大で120(N/mm2)のコンクリートおよび,降伏強度が685(N/mm2)クラス85の高強度鉄筋を用いた超高層建物の構造設計ガイドラインを策定したものです。


【超高強度RC柱の構造実験の模様】

Get ADOBE® READER®
PDFファイルをご覧いただくためには、
Adobe Readerが必要です。