2025年問題が問うもの
2025年06月04日 / 『CRI』2025年6月号掲載
目次
団塊世代が全て75歳を迎え、人口の18%が後期高齢者となることで起こる諸問題について、2025年問題と言われている。団塊世代を親に持つ団塊ジュニア世代(1971~1974年生まれ、2024年時点で50~53歳)は約800万人を超え、団塊世代に次ぐ規模である。今月は2005年に国土交通省が実施した「団塊ジュニア世代の住宅ニーズに関する調査研究」から当時のニーズと現在の状況を比較する。
調査概要
●調査対象/首都圏50km圏内(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県)に居住する1973~1980年生まれの男女各820人、計1,640人(調査実施時の年齢は24~31歳)
●調査実施/2004年2月
●調査手法/インターネット調査
【1】住宅取得意向と住宅取得状況
団塊ジュニア世代が30歳前後に回答したアンケートでは「住宅計画がある」という回答は約56%で、そのうち約54%が戸建て住宅の新築・購入、分譲マンションの購入意向であったことから、取得意向は全体の約30%と試算される。2008年の住宅取得状況では持ち家は30%程度でアンケートとほぼ同水準であったが、団塊世代に次ぐ人口規模の団塊ジュニア世代の住宅市場へのインパクトは大きく、同世代が住宅取得期の30代に入り始める1999年~2005年にかけて首都圏マンションは8万~10万戸、近畿圏では3.3万~4万戸の大量供給となった。
【2】団塊世代からの不動産相続
団塊ジュニア世代に対する「相続できる土地の有無とその使い方」を問うアンケート結果では「相続する家・または土地がある」という回答は約75%と高い。現在50代前半となった団塊ジュニア世代の持家率は約63%であるが、親世代である団塊世代は約81%と高く、今後の持家取得として、自ら購入する以外に相続による取得を考える層も一定数存在することが想定される。団塊世代からジュニア世代への不動産相続が不動産市場に与える影響について注視していくことが必要である。

