アートがもたらす新しい暮らし

2024年09月30日 / 『CRI』2024年10月号掲載

CRI REPORT

目次

 VUCAの時代と言われるようになり久しいが、私たちは未だにこの時代とどのように向き合えばよいのかよくわからないでいる。コロナ禍を経験した2020年以降、これまで避けてきた問題や顕在化していなかった事象が目に見える形で表れてきた。このような
中で、アートが私たちの生活に溶け込むと、どのような変化が起こるのだろうか。アートや現代アートは「正解もなければ、
不正解もない」、見る人それぞれの解釈が許容されるものである。
 本稿では、混沌とする現代社会の中で、アートの制作や利用を通じて私たちの暮らしがどのように変化したり、豊かになったり
するのかについて考察する。

●アートとは、何か。

 はじめに、本稿で用いる「アート」という言葉は、作者の何らかの意図・企てをもって制作された、絵画や写真、彫刻をはじめと
する伝統的な美術作品とともに、音楽や演劇を含む、さまざまなメディアや表現方法を用いて、作者独自の表現が行われたものと
する。そのため、幅広い創造的表現の概念を含む言葉である「芸術」とは区別して用いる。

●社会におけるアートへの関心の高まり

 2023年7月に経済産業省より「アートと経済社会について考える研究会報告書(*1)(以下、報告書)」が取りまとめられた。
 この報告書は、5つの章にわかれており、第1章:アートと経済社会について、第2章:アートと企業・産業、第3章:アートと
地域、第4章:アートと流通・消費、第5章:アートとテクノロジーで構成されている。経済の成熟化、グローバル化、デジタル化、
価値観の多様化、不確実性の増加に伴い、機械やAIでは代替できない人の創造性や感性、国や地域固有の文化を価値創造の主軸に
置くことにより、アートを中心としたクリエイティブ産業への投資・拡大が期待されている。

*1 経済産業省「アートと経済社会について考える研究会報告書」(2023年7月)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/art_economic/pdf/20230704_1.pdf

●なぜ、アートが必要なのか。

 現代社会では、グローバル化に伴い、短期間に激しい競争が行われる環境下において、業界標準や最も効率の良い方法は、他社に
模倣されやすく、競争力を維持することが難しくなっているといわれている。また、VUCA(*2)の時代においては既存の価値観や
ビジネスモデル等が通用しづらいといわれており、競争力の源泉となる知的財産や無形資産の重要性が高まっている。
また、「文化芸術推進基本計画(第2期)—価値創造と社会・経済の活性化—(*3)」では、国連やG20といった国際的なコミュニティにおいて、文化芸術が気候変動や多様性の尊重といった地球規模の課題解決に不可欠であり、持続可能な社会の実現に貢献をすると
いう認識が広まっているとの記載もある。

*2 VUCAとは、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字を取った言葉で、
これらの要素が高まる現代社会の特徴を表している。
*3 文化庁「文化芸術推進基本計画(第2期)—価値創造と社会・経済の活性化—」(2023年3月24日)https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/hoshin/pdf/93856401_01.pdf

●私たちとアートの関わりかた

 コロナ禍を経験した2020年以降、これまで避けてきた問題や顕在化していなかった事象が目に見える形で問題として表れてきた。それらの複雑な問題は、これまで正解とされてきたやり方では解決できなくなっている。

 現代アートの中には、社会問題に対して新たな気づきを促す作品や問題提起を行う作品が少なくない。これらのアートの見方や
感じ方に、正解もなければ、不正解もない。見た人がどのように感じ取り、何を考えたのかが重要であり、必ずしも他者と同じ解釈で
ある必要はない。自分と他者の解釈が異なるとき、私たちはアートを通じて多様な価値観や考え方を学び、共有する機会を得るので
ある。

 また、アートは日常空間やまちを彩るものとして私たちに安らぎをもたらしてくれるものでもある。アートが身近な存在になる
ことで、人々の美意識が向上すれば、単なる価格競争ではない、美的価値や創造性を重視した製品や産業の創出にこれまで以上に
繋がる可能性もあるのではないだろうか。

 アートの役割は「見るもの」から「考えるもの」へと変化しつつある。家庭内であれば家族間で、公共空間やコミュニティスペース等
であれば、地域の住民同士が、アートを通じて対話やコミュニケーションを図ることで、多様な考え方や価値観に触れる機会が
得られるだろう。

●暮らしの中でのアートとの繋がり

 アートイベントや芸術祭の他にも、アートと地域社会が繋がりを深める場がある。その一つに、アーティスト・イン・レジデンス
という取り組みがある。アーティスト・イン・レジデンスは、アーティストが一定期間滞在し、創作活動に専念する場を提供する
プログラムやそのために用いられる施設の総称である。

 これらの運営団体は、地方自治体や非営利団体、美術館、民間企業などさまざまである。

 トーキョーアーツアンドスペースレジデンシー(*4)(TOKASレジデンシー)は、東京都が実施する若手アーティストの育成支援
機関TOKAS(*5)の事業として行われている。ここでは、創造的な国際交流促進のもと、レジデンス・プログラムが実施されている。
ジャンルもアート、音楽、キュレーション、建築、デザインなど幅広い活動の受け入れを行うことで、多種多様な才能が交差する拠点を
目指している。また、横浜市旭区と国立大学法人横浜国立大学及び独立行政法人都市再生機構による「左近山団地における大学生
による地域支援活動モデル事業」では、大学生が実際に団地に住み、地域の協力を得ながら地域活性化に取り組む事業が行われて
いる。そこでは、横浜市の芸術創造特別支援事業を活用し、団地内に「左近山アトリエ131110(*6)」を開設し、アートという
切り口で地域と大学生の活動が広がっている。

 また、アートと人々が繋がる場としては、アートホテルもある。アートホテルでは、各部屋が異なるアーティストによって制作され、宿泊者はアート作品の中で滞在する。この宿泊費の一部がアーティストに還元される仕組みになっている施設もある。
あるホテルでは、宿泊施設だけではなく、制作・展示スペースやカフェ・バー、ラウンジが併設されており、そのホテルを象徴する
巨大壁画は、アーティストによって日々描き変えられている。これらのスペースは、宿泊者だけでなく、地域の人々も利用することが
でき、完成した作品だけでなく、変化していく過程を楽しむことができる空間となっている。別の事例では、創業300年の旅館を
リノベーションし、アートの発信源や地域交流の場として空間を甦らせているところもある。また、現代美術作品の収蔵庫と宿泊施設
を融合させたホテルでは、館内の共有スペースでアート作品を鑑賞できるようになっている。このようにアートホテルは、単にアート
が飾られた・アートが身近にある空間というだけではなく、その内容はさまざまではあるが、地域交流の場として機能している点では
アーティスト・イン・レジデンスとも共通している。

*4 トーキョーアーツアンドスペースレジデンシー:https://www.tokyoartsandspace.jp/location/residency.html
*5 TOKAS(Tokyo Arts and Space):https://www.tokyoartsandspace.jp/index.html
*6 左近山アトリエ131110:https://131110.art

●芸術・アートと企業 ~企業はメセナ活動から脱却できるのか?~

 1970年代以降、企業の社会的責任が高まる中で、企業による芸術文化支援(メセナ)活動が盛んになったといわれている。
その内容は、スポーツと並んで企業の文化イベントや広告活動の延長であるものも多かった。80年代後半から美術館等の文化施設の
開館・運営や公共空間へのパブリックアートの設置が盛んに行われるようになったが、純粋な芸術文化振興ではなく、企業側の都合で
行われたものも少なくなかったようである(図表1)

●支援ではないアートと企業の新しい関わり

 これからの企業とアートの関わり方は、資金提供等の支援だけではなく、企業自体が目的をもってアートや芸術に関与することが
求められるだろう。企業とアーティストがプロジェクトを共同で開発し、新たな価値を創出したり、従業員の創造性と幸福度向上の
ためのツールとしてアートが用いられたり、地域の文化振興や観光資源の活用等、幅広い展開が可能である。

 例えば、地域と人を繋ぐ芸術祭の開催や社員育成・教育のためにアートを用いるといった試みが行われている。また、支援の
意味合いが強くなりがちなアール・ブリュット(*7)を支援ではなく、営利企業として世の中に広めようとしている次のような
企業もある。

*7 アール・ブリュットとは、フランス語で「生の美術」を意味し、専門的な美術教育を受けていない人が、内なる衝動に従って
制作したアートを指し、既存の美術や文化の影響を受けず、純粋で独自の表現が特徴である。1940年代にフランスのジャン・
デュビュッフェが提唱した。

●株式会社ヘラルボニー(*8)の取り組み

 これまで障害のある人々が描いたアートは、障害者自立支援等の目的で「支援・サポート」や「チャリティー」といった内容が全面に出ていることが多く、非営利であることが強調され、「○○してもらう」や「○○してあげる」といった上下関係がそこには存在して
いた。しかし、ヘラルボニーの取り組みはこれらとは異なり、営利企業として「従来の福祉領域の拡張」をビジネスの力を用いて
目指している。収益化することで、障害のある人々の社会的地位の向上や持続可能な事業の継続が可能になる。

 また、ヘラルボニーは「障害」という概念をインペアメント(=身体や心の機能障害)であると捉えるのではなく、「障害」を
社会側に障害があると捉えるスタンスをとっている。障害の負担が個人に押し付けられる社会に問題提起を行いたいという思いも
あるそうだ。

 ヘラルボニーのビジネスモデルは、国内外の主に知的障害のある作家のアートデータを管理し、協業企業からプロジェクトフィーを受け取り、使用料として作家にロイヤリティを支払う仕組みである。福祉施設に在籍している作家の場合は、ヘラルボニーは
社会福祉法人とライセンス契約を結んでいる。そのため、原画は個人または福祉施設にあり、アートデータが使用されれば、
ヘラルボニーから契約先にロイヤリティが支払われる。また、ヘラルボニーは協業先の企業ニーズや課題に合わせて無条件に
アートデータを提供するのではなく、「なぜヘラルボニーと協業をするのか?」や「社会に何をメッセージとして伝えるのか?」と
いった内容を共有した上で協業を行うことを基本スタイルとしている。

 彼らの取り組みは、「障害者」という社会からのラベリングを異彩という「個性・特性のある人々」へ認識を変化させることでは
ないだろうか。人々の認識を緩やかにではあるが変化させ、いつかそのラベリングが無くなり、日常に溶け込む社会を目指して
いるのである。

*8 https://www.heralbony.jp/about

●アートと暮らしの融合

 本稿では、VUCAの時代においてアートに何を期待し、どのような役割が果たせるのかについて考察してきた。

 文化芸術やアートは、自分の価値観や感情、行動・思考の癖や傾向を自分自身で理解し、それらが他者にどのような影響を
及ぼすのかを見極める能力を養うための助けとなる。これらは、共感や相互理解を促進し、多様性を受け入れることのできる
社会の基盤となるものだろう。

 日本では、アートはまだ一部の人の嗜好品であったり、投機的なものとして捉えられていたり、一過性の見栄えのよいイベントとして消費されている一面もある。アートが今よりももっと身近に感じられる存在になれば、人々の捉え方も変わってくるだろう。

 近年、2拠点・多拠点生活を謳歌できる環境が整いつつある中で、生活スタイルや定住への意識や捉え方が変化してきている。

 前頁で紹介したアーティスト・イン・レジデンスやアートホテルは、私たちに創造性や新たな視点を与えてくれるだけでなく、
私たちの暮らしや生活スタイルに変容をもたらす可能性を秘めている。

 また、地域に開かれたこれらの施設は、アーティスト支援という観点だけではなく、地域のコミュニケーションを活性化する
ための場としても機能するものである。そこでは、世代や国籍、人種、性別等を超えた人々の繋がりが生まれており、アートという
触媒によって、モノと人、人と人の新たな繋がりが生みだされつつある。

 アートという共通の話題で繋がった人々は、日常的にラベリングされた自分とは別の自分に向き合い対話することが可能になる。
また、共通の話題で日頃から緩く繋がったコミュニティは、未曾有の事態が起こったときにも力を発揮するのではないだろうか。

 このコミュニティを育てるためには、アート作品の意味や価値、背景を理解し、それらをわかりやすい形で人々に伝えることが
できる能力を持つアート・インタープリターや展示を通じて、新たな視点や発見を人々に提供できるキュレーターの存在が重要で
ある。

 レジデンスやホテルといった空間だけを用意すれば、自律的にコミュニティが創出されるわけではなく、またキーマンになる人が
存在すれば、どんな場所にでも場が生まれるわけでもない。そこには、機能や効率だけが追究された空間ではなく、美的感覚や
創造性をも重視した空間であることが必須である。重要な点は、ハードとソフトの両輪が揃って初めて持続可能なコミュニティに
繋がるのである。

 「ダイバーシティ:多様性」「レジリエンス:回復力」「サスティナブル:持続可能な」「コミュニティ:共生(協生)」どれを
とってもそこには、必ず他者が存在し、継続的・意識的に他者と交わり、対話を行い続けなければならない。

 私たちの暮らしや住まいがアートと融合したとき、見た目の美しさや彩りを作り出すだけではなく、人々の創造性を掻き立て、多様性を受け入れることができる社会へと変化できる可能性を秘めている。建設・不動産企業は、これまでの暮らしや住まいの
価値観を大きく変化させる可能性を持ったアートを通して、空間というハードの提供だけでなく、新たな価値創造の場とそれに
関わる人とをセットで社会に提供することで、より豊かな持続可能な社会の実現に貢献できるのではないだろうか。新たな試みが
生まれることを期待したい。

本稿は、特に日付のことわりがない限り、2024年8月15日現在の状況に基づき記述したものである。

〈Interview〉

 「障害のイメージを変えること」を目的として取り組みをされている株式会社ヘラルボニーの泉雄太氏(以下、敬称略)に
お話しをお聞きしました。

●「異彩を、放て。」に託された思い

豊田:ヘラルボニーのミッションである「異彩を、放て。」この言葉に込められた思いをお聞かせください。

泉:元々、双子の両代表の4つ上の兄・翔太さんに重度の知的障害を伴う自閉症であるところに、起源があります。
子どもの頃から一緒に生活する二人からすると、社会からの翔太さんに対する見方にずっと違和感があったそうです。
「なぜ、欠落だったり、かわいそうだったり思われるのか」という問いが会社をはじめるきっかけにもなっています。

 また、代表がアール・ブリュットと出会い、このすばらしい作品たちがどのように社会に出ていけばよいのだろうかと
考えたこともきっかけになっています。両代表は、翔太さんを通じて感じてきた、「障害のある人」ということが前面に出され、
作品自体が正当に評価されていない点に違和感を持ち続けてきました。

 普通じゃないということや障害があるからこそ描ける世界があったり、できること・得意なことがあったりする。それを
「異彩」として伝えることによって、障害のイメージを変えていき、先入観や常識という名のボーダーを超え、違いを受け入れ
られるような社会の実現を目指していくということが、「異彩を、放て。」に込められた思いになります。

 最近のダイバーシティやダイバーシティ&インクルージョンの流れの中で、障害のある人に限らず、それぞれの人が自分の
個性や特性をありのままに生きていける社会をつくれたらいいなというのが目指すべき方向性だと思っています。けっして、
アートを描ける人だけが幸せになれる社会を目指しているわけではありません。

●企業共創・協業について

豊田:昨今さまざまな企業の方とビジネスを共にされていますが、相手企業から求められることは何でしょうか。

泉:ヘラルボニーとコラボレーションすることによって、「インナーブランディングやインナーモチベーションを上げることを
協業の目的としています」とおっしゃる企業が多数いらっしゃいます。会社の中で話しやすい雰囲気や関係性を創出できた等、
アンケート結果を拝見しても、ある程度は結果に寄与できているのではないかと感じています。

●突如まちに現れる大きなアート

豊田:長谷工の本業が建設業ということもあり、仮囲いアートに関心があります。工事期間中だけとはいえ、まちに楽しい影響を
与えているのではないかと想像するこのプロジェクトについてお聞かせください。

泉:この仮囲いプロジェクトは、5年前からスタートし、現在までで70ヵ所程の実績があります。コラボレーション先の企業
としては、デベロッパーや地方のゼネコンからご依頼を頂いています。

 仮囲いに起用するアートは、その土地の作家さんを起用するようにしています。なぜなら、その作家さんたちが地域の中で
リスペクトされるような形を目指しているからです。

 障害のある人やアートと日頃接点のない人でも、その仮囲いのあるまちを歩くことで、間接的であったとしても、無意識に障害の
ある人やアートと関わることができるようになります。2022年に内閣府がおこなった世論調査(*9)では、4割近い人が障害のある人と関わったことがないと答えています。それらを踏まえると、仮囲いプロジェクトは、押し付けではない無意識に障害のある人と
関われる装置として有効ではないかと思っています。

*9 内閣府「障害者に関する世論調査」(令和4年11月調査):https://survey.gov-online.go.jp/r04/r04-shougai/2.html#midashi7

●国際アートアワード ~HERALBONY Art Prize 2024~

豊田:国際アートアワードを主催されていますが、それについてお聞かせください。

泉:
今年からスタートした「HERALBONY Art Prize 2024」は、全世界の障害のある作家を対象としたもので、応募総数は約2,000点程
ありました。先日、グランプリが決定し、宮城の女性作家が選定されました。このグランプリとは別に、ゴールドスポンサーによる
企業賞もあります。持続性や成長性を考え、各企業が選んだアートは、それぞれの企業が事業の中で使用することになっています。
この企業賞を選定することで、その企業に一年間アートを使っていただき、選ばれた作家さんの作品がより多くの人の目に触れる
ような仕組みにしています。例えば、丸井の選定したアートでは、エポスカード(クレジットカード)の券面として使用されることが
決まっています

●見た目だけではない、素敵なカード

豊田:そのエポスカードの取り組みについてお聞かせください。どの柄のカードを選ぼうか迷ってしまいそうです。

泉:エポスカードの券面アート事業「ヘラルボニーカード」は、丸井グループと資本業務提携を結んで行っている事業です。
 クレジットカード券面にアートが印刷されているだけではなく、ご利用金額の0.1%分が作家さんに還元される仕組みになって
います。
 ヘラルボニーを知らない人でも券面が、「かっこいい」や「美しい」という理由で興味を持ってもらい、ヘラルボニー自身の
取り組みやこのカードの仕組みを知ってもらう。Z世代の加入率が圧倒的に多く、特出すべき点は、通常のエポスカードと比べると
LTV(*10)が4倍ほどあるということです。

*10 LTV(Life Time Value:顧客生涯価値):クレジットカード業界では、顧客がカードを利用する期間中にどれだけの利益を
もたらすかを評価するための指標。

●今後の展望

豊田:今後、ヘラルボニーとして、また泉さんとして目指されることをお聞かせください。

泉:会社としては、初の海外拠点としてフランス・パリに子会社「HERALBONY EUROPE」を2024年7月に設立し、世界に向けて
事業を展開していきます。障害のイメージを変え、「80億人の異彩」がありのままに生きる社会の実現を目指して事業を行って
いきます。
 僕としては、これからも作家さんが注目される取り組みをどんどん増やしていければよいと思っています。ヘラルボニーという
名前が前に出るのではなく、あくまでも作家さんにリスペクトが生まれるような仕組み・取り組みを続けていきたいと思います。

(豊田可奈子)Kanako_Toyoda@haseko.co.jp

本取材は、2024年7月29日に行ったものであり、その時点での状況に基づき記述したものである。