再開発が進む札幌のマンション事情。注目エリアと“穴場”はどこか?

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「大札新」と銘打たれた大規模再開発が進む札幌市。そんな札幌の最新マンション事情や注目のエリアについて、札幌市内の限られたタワマンのみを対象としてデータ管理・分析・情報収集を行う札幌タワマンくんに聞きました。

――札幌市では札幌駅前を中心に大型開発が進み、それに伴ってタワーマンションも増えています。最近の札幌の「マンション事情」を教えてください。

 

札幌タワマンくん: 2〜3年ほど前までは札幌駅前のタワーマンションが活況で、「建てば売れる」という状況でした。主な購入層は東京など道外の富裕層で、セカンドハウスとしての利用が目立ちます。価格もどんどん高騰していますが、あくまで国内の実需目的の購入が多く、海外投資家はほぼいないかなという印象ですね。

札幌タワマンに詳しい「札幌タワマンくん」が北海道の最新マンション事情を語る記事画像

▲札幌タワマンくん。札幌市内のタワーマンション専門売買仲介業を行う。札幌のタワマン事情に精通し、新築マンションブログ「スムラボ」などでの情報発信も積極的。X:@tower_man_kun

ザ・札幌タワーズの画像

▲札幌駅にほど近い「ザ・札幌タワーズ」EAST TOWERの27階から見たWEST TOWERと札幌駅

逆に言えば、札幌駅からのアクセスが悪いなど、道外からのセカンドハウスとして微妙な物件はあまり売れない傾向も見えてきています。そこで最近、デベロッパー各社が力を入れているのは民泊可能なマンション。札幌でも多くの会社が建て始めています。

 

 

――ここ数年で、札幌のセカンドハウス需要が増えている要因としては、どんなことが考えられますか?

 

札幌タワマンくん:さまざまな要素の積み重ねだと思いますが、一番大きいのは気候だと思います。東京が暑くなればなるほど避暑地としての札幌の魅力が増している。そこにニセコの開発や札幌の大規模開発などが相まって、セカンドハウス需要が伸びているのではないでしょうか。

 

 

――では、札幌に限らず北海道全体のマンションで、注目されている動きやトレンドはありますか?

 

札幌タワマンくん:道内のマンションエリアで言うと旭川や帯広などが挙げられますが、札幌のように道外の人ではなく、地元の方を中心に買われている感覚があります。「The TOWER OBIHIRO」(2020年)と「プレミスト旭川ザ・タワー」(2025年)という直近で建設された2つのタワーマンションの最上階も、地元の方が購入されているようなので。デベロッパーも、いかに地元の富裕層の方に好まれるリッチなマンションを造るかに注力している印象ですね。

 

ちなみに旭川で言うと、旭川医科大学がある関係もあって、高額物件は医師の方がメインの購入層になっています。また、高速や駅へのアクセスの良さもポイントですね。

 

一方、農家や経営者の方の購入が多い帯広は、もともとが“戸建文化”のため広い部屋の需要が高く、同じ北海道でも土地によって好まれるマンションの傾向が異なります。

北海道のマップ

▲札幌、旭川、帯広は、どこも空港を要するエリアだ

――札幌のマンションエリアというと、やはり札幌駅や大通駅の周辺が中心になりますか?

 

札幌タワマンくん:最近は札幌駅や大通駅の周辺以外にも、マンションが建つエリアが広がってきました。それこそ、繁華街のススキノにもマンションが建設されています。ただ、現状の動きを見ていると、そこまで売れ行きがいいとは言えません。ススキノは札幌駅や大通駅からタクシーで10分弱の場所にあるので、それならわざわざ繁華街で買わなくてもいいと考える人が多いのかもしれません。

ライオンズタワー札幌から望むススキノ方面の写真

▲「ライオンズタワー札幌」の13階から見たススキノ方面

――では、札幌市内でいま人気を集めているエリア、あるいは注目しているエリアがあれば教えてください。

 

札幌タワマンくん:まずはJR苗穂駅ですね。もともとは人気とは言えないエリアでしたが、5年ほど前に駅が新しくなり、再開発によって大きく生まれ変わりました。3つあるタワーマンションすべて(「プレミストタワーズ札幌苗穂アクアゲート」「プレミストタワーズ札幌苗穂ブライトゲート」「ザ・グランアルト札幌苗穂ステーションタワー」)が駅と商業施設に直結していて、非常に利便性が高い。札幌駅や新千歳空港からのアクセスも悪くないので、道外の方もセカンドハウスとして選びやすい場所だと思います。

 

タワーマンションは「シティタワー円山神宮鳥居前」の一つしかありませんが、個人的にずっと注目しているのは「円山エリア」です。非公開物件ですが、最近、新築マンションで初めて最低価格1億円超えの物件も出て、半年で完売になりそうな勢い。円山はブランド力もありますし住み心地も抜群なだけに、新築マンションの動きもやはり早いですね。

 

あとは「琴似エリア」。新築も動きやすく、中古のタワーマンションも人気です。地下鉄とJRの両方が利用できて利便性が高いですし、おもしろい飲食店が多い。DINKs(子どものいない共働き夫婦)や子育てが終わった後の夫婦にも好まれるような場所だと思います。

 

 

――大都市共通の傾向ではありますが、札幌でもマンション価格が高騰し続けています。その中でも「穴場」のエリアというと、どのあたりが挙げられますか?

 

札幌タワマンくん:札幌市内でいうと、苗穂はまだまだお買い得と言えると思います。バスセンター前駅エリアも「穴場」に該当するでしょう。いわゆる「創成川イーストエリア」と呼ばれるあたりです。10年前までは新築マンションが少なく、人気がなかったところを開発していて、今のところまだそこまで注目度も高くない。それだけに、現段階では価格的にも穴場と言えると思います。

注目マンションエリアをまとめた北海道・札幌のマップ

▲札幌駅を中心に、人気の場所が広がりをみせている

――北海道のマンションならではの設備や、寒冷地だからこそ独自に進化を遂げたポイントなどはありますか?

 

札幌タワマンくん:寒さ対策に関しては、やはり東京などに比べてかなり進んでいます。床暖は一般的なスペックのマンションであればリビングにマストで付いていますし、ファンコンベクターと呼ばれる温水式の暖房器具が全部屋に設置されていることが多いです。

 

結露対策もかなり気合いが入っていて、二重窓も窓と窓の隙間を広くしたりと、しっかり作っていますね。また、高級マンション限定となりがちですが、室内に湿気が入りにくい第1種換気方式を採用している物件は人気がある印象です。

 

一方で、再開発で建てられたマンションの中には、行政の助成金支給対象となるような気密性の高さにこだわった結果、(エアコン用の配管穴の数も絞って気密性を優先することで)主寝室とリビングにしかエアコンが付けられない物件も目立ちます。最近の札幌は夏の暑さも厳しくなってきているため、エアコンのない2番目、3番目の洋室で過ごすのが辛いなんてケースもあるようです。

 

「ならでは」というわけではありませんが、北海道で特別視されるのが「駅直結」ですね。特別を超えて「神格化」されているといってもいいです。

 

 

――北海道でなくても駅直結は人気ですが、「神格化」までいくとすごいですね。

 

札幌タワマンくん:駅直結であれば、空港から雪に一切触れずにマンションまで帰ることができる。別荘として利用している人にとっては、とても魅力的なポイントになっています。札幌でも10棟もない貴重な存在ということもあり、圧倒的に人気ですね。

ONE札幌ステーションタワーの写真

▲地下鉄東豊線・南北線「さっぽろ」駅に直結する「ONE札幌ステーションタワー」

外に出ずにごみ出しができるという意味では、各階ごみステーションも非常に喜ばれる設備の一つだと思います。

 

――ちなみに、札幌のマンションで最近増えてきた設備などはありますか?

 

札幌タワマンくん:専有部に関しては、ファンコンベクターの性能が向上しているといった変化はありますが、ここ10年くらいで大きな変化は見られません。共用部は、やはりゲストルームが圧倒的に人気で、ニーズが高まっている印象です。セカンドハウス利用の方が親や友人を招く際や、道外のオーナーが一時的に賃貸として誰かに貸し出す際も、ゲストルームがあれば泊まりに来ることができる。購入者の多くが大きなメリットを感じる設備なのではないでしょうか。

 

 

――札幌市の内外問わず、ご自身が個人的に住んでみたいエリアを挙げていただけますか?

 

札幌タワマンくん:札幌市外では圧倒的に函館ですね。私が北海道のデベロッパーを目指して会社をつくったのも、もともとは函館にタワーマンションを建てたいという思いがあったからです。個人的に函館の食べ物や風景、環境が大好きなのですが、マンションがあまりないエリアなんですよね。ですから、函館に良いマンションができたらぜひ住みたいと思っています。

 

札幌市内では大通駅周辺。これまで札幌駅近くや、先ほど名前を挙げた苗穂、バスセンター前にも住んだことがあるのですが、大通はまだなので。やはり利便性は抜群ですし、あのあたりに住んだらどんな生活が待っているんだろうとワクワクするようなエリアですね。

ライオンズタワー札幌の写真

▲大通駅徒歩3分の「ライオンズタワー札幌」

――では、最後に札幌タワマンくんがマンションを選ぶ際に重視すること、これだけは外せないというこだわりを教えてください。

 

札幌タワマンくん:個人的にコーナーサッシが大好きなんです。欲を言えば、ラウンドコーナーになっていたら最高。でも、札幌ではコーナーサッシやラウンドコーナーのマンションは極端に少ない。希少だけに憧れます。駅直結のタワーマンションで、ラウンドコーナーの物件にいつか住んでみたいですね。

 

 

取材・文:榎並紀行 写真:札幌タワマンくん提供

 

WRITER

榎並紀行
編集者・ライター。編集プロダクション「やじろべえ」代表。住まい・暮らし系のメディア、グルメ、旅行、ビジネス、マネー系の取材記事・インタビュー記事などを手がけている。X:@noriyukienami

おまけのQ&A

Q.北海道のマンションの駐車場事情についても伺えますか?
A.タワーパーキングと3段などの立体式駐車場が普及していますが、北海道ならではと言えば、駐車場に車を入れる前に雪を下ろすスペースが十分に確保できているかが大切です。十分に雪を落としきらないまま車を収容しようとすると、駐車場の故障などにもつながりかねないですから。