マンションを何度も買い替えてわかった、選び方と売却成功のポイントとは

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フリーアナウンサーで起業家の西岡孝洋さんと、GOGEN株式会社CEOの和田浩明さん。お二人は、これまで複数回のマンション売却と購入を経験した「再取得上級者」です。再取得を重ねることで見えてきた、マンション買い替えの「極意」とは?

――西岡さん、和田さんはこれまで複数回のマンション購入と売却をご経験されていると伺いました。はじめに、お二人のこれまでのマンション遍歴を教えてください。

 

西岡孝洋さん(以下、西岡):25歳の時に初めてマンションを買って以来、これまでに取得してきたのは計7部屋です。そのうち4部屋を売却し、3部屋は今も保有しています。昨年、初めて法人として賃貸用のマンションを取得しましたが、基本的には実需、つまり自分と家族が住むために購入してきました。

西岡孝洋さん

▲西岡孝洋さん。1998年、フジテレビジョンにアナウンサーとして入社し、スポーツ実況を数多く担当。マンション好きが高じて宅地建物取引士の資格を保有する。2025年3月に同社を退職・起業し、複数のメディアに出演している。 X:@nishioka_0213

<西岡さんのマンション購入・売却歴>

・1部屋目/品川区大崎エリア、購入価格4,880万円(2000年)、売却価格5,300万円(2008年)
・2部屋目/港区高輪エリア、購入価格8,300万円(2009年)、売却価格8,550万円(2015年)
・3部屋目/江東区豊洲エリア、購入価格6,300万円(2013年)、売却価格8,510万円(2019年)
・4部屋目/港区浜松町エリア、購入価格1億1,190万円(2017年)、売却価格1億9,700万円(2023年)
・5部屋目(保有中)/都内、購入価格1億2,000万円(2020年)
・6部屋目(保有中 ※現在は賃貸として運用)/都内、購入価格1億800万円(2021年)
・7部屋目(保有中 ※法人で購入、賃貸として運用)/千葉、購入価格7,300万円(2024年)

 

和田浩明さん(以下、和田):私は25歳の時に池尻のワンルームを購入して以来、これまで計5部屋を購入し、4部屋を売却してきました。購入したのはすべて新築。私も西岡さんと同じく、すべて自分が住む目的で購入しています。

和田浩明さん

▲和田浩明さん。新卒入社した日鉄興和不動産で分譲・賃貸マンションの用地仕入れや開発マネジメント、商品企画、販売推進などを担当した後、経営企画や広報などにも携わる。2022年2月にGOGEN株式会社を創業し、代表取締役CEOを務める。 X:@kiarohidawa

<和田さんのマンション購入・売却歴> ※売却価格は非公開

・1部屋目/世田谷区池尻エリア、購入価格2,500万円(2017年)
・2部屋目/中央区晴海エリア、購入価格4,500万円(2019年)
・3部屋目/中央区晴海エリア、購入価格6,000万円(2020年)
・4部屋目/渋谷、購入価格8,000万円(2022年)
・5部屋目(保有中)/大阪、購入価格1億2,000万円(2025年)

 

――各マンションの購入・売却のポイントなどについて詳しく伺っていきたいのですが、まず驚いたのは、西岡さんが売却した4部屋がいずれも購入価格を上回っていることです。

 

西岡:そうですね、幸運なことに。僕の場合、最初のマンションを売るタイミングで不動産プチバブルが起きていて、価格が高騰していたことも大きかったと思います。言ってしまえば、完全なラッキーパンチ。ただ、その最初の1部屋が次へのきっかけとなり、うまくバトンをつなぐことでより好条件の物件にステップアップできました。

 

 

――最初のマンションを購入した時点で、将来の値上がりを予測されていたのでしょうか?

 

西岡:いえいえ、全く。むしろ、当時は中古マンションの値が上がるなんて、あり得ない時代でした。ですから、純粋に「自分が長く住みたいと思えるかどうか」で選んでいます。1部屋目は最上階で天井高が4メートルくらいあって、自分としてはそこがお気に入りのポイントだったのですが、売却時の内見で天井高を気にしている人は全くいませんでしたね。それくらい、当初はリセールバリュー的な目線は持ち合わせていなかった。

 

和田:そこから売却と購入を繰り返す中で、リセールバリューも意識されるようになったと。

 

西岡:そうですね。マンション選びの際に自分の好みだけじゃなく、売却を意識した客観的な視点も入ってくるようになりました。資産性というか、どんなに市況が落ち込んでも「ここだったら残債割れだけはしないだろう」という物件を購入するようにしています。

 

ただ、最終的な決め手はやはり自分が住みたいかどうか。家族と一緒に、そこでずっと暮らしていけるかどうかです。その根本は今も変わっていません。だから、買う時には毎回、「これが最後だ」と腹をくくっていますよ。

マンションの買い替えについて語る西岡孝洋さんと和田浩明さんの写真

▲お二人に共通するのが投資よりも実需を意識した物件選びで、「自分が住みたいと思えるか」という視点だった

――和田さんのマンション選びの基準も教えてください。

 

和田:まずは「街」を好きになれるかどうかが大きいですね。投機目線で、いま買えば確実にもうかるなっていうマンションでも、街が好きになれないとどうしても購入に踏み切れなくて。

 

もう一つ、絶対に重視するのは間取りです。広さや部屋数よりも、生活動線や家具の配置といった「暮らしやすさ」をしっかり考えてプランニングされているかどうかが気になります。もともとマンションを作っていた側の人間ということもあって、おかしな間取りを見るとイライラしてしまうんです(笑)。たとえば図面の見栄えを優先して、洗面室の収納をギュッと圧縮している物件なんて、住む人のことを本当に考えているのかと。「これは上手だな」と思う間取りにお金を払いたい感覚があります。

 

街と間取り、両方のこだわりを満たすマンションってそれほど多くはないので、なかなか購入には至りません。話題の物件が出れば足を運ぶんですけど、ほとんどスルーしてきましたね。

 

 

 

▲「パークタワー晴海」で過ごした時期があるという和田さん。「壁面にエコカラットを貼ったり、開放感があったのでバルコニーをいじったり、楽しい思い出です」

西岡:完全に同意です。マンションを買うことは「街を買うこと」だと思っています。最初はマンションという個体を買うイメージでしたが、少しずつ「ここに住むためにこの物件を買う」という感覚に変化していきましたね。

 

それから間取りも重要だし、天井高や梁(はり)の位置なんかもすごく気になります。天井高は最低でも2.6メートルはほしいし、梁や柱もアウトフレームで空間をすっきりさせている物件が好みですね。

 

初めてマンションを買った時は梁や柱の位置がどうとか、そこまで気にしなかったですけど、住み替えを重ねると気になるポイントが増えていく。「これ、アウトフレームにできなかったの? このスペース使えないじゃん!」と。

浜離宮の池に映る「パークコート浜離宮 ザ タワー」と、同マンションから東京タワーを写した写真

▲西岡さんは「パークコート浜離宮 ザ タワー」に暮らしていた時期がある。浜離宮の池にはタワーが逆さに映り、室内からは東京タワーを間近に望むという特別な眺めを楽しんでいたそう

和田:分かります。だから購入回数を重ねるほど、買いたいと思える物件が減っていく気がするんですよね。

 

マンション再取得経験者が語った、複数の買い替えを経て見えた理想の間取りの手書き図

 

マンション買い替えの話題で、理想の間取りを語る西岡孝洋さんの写真

▲取材の最後に「理想の間取り」を描いてくれた西岡さん。廊下は可能な限り短くして無駄を省き、全ての居室はリビングに隣接せず独立性を高く。リビングは天井から床までのガラス張りの窓(ダイレクトウィンドウ)で開放的な眺望を確保する一方、各居室にはベランダを備えるのが特徴だ

――ただ、再取得の度に自分の中の基準や優先順位がどんどん明確になって、理想の物件が固まっていくと捉えることもできそうです。

 

和田:そう思います。やはりいろんな街や家に住んでこそ自分の中の「好き」が固まっていくし、実際に住み替えていくことでどんどんQOLが上がっていくので、数年ごとに売却と購入を繰り返すのは全くネガティブなことではないのかなと。

 

西岡:個人的には20代で1軒目を購入し、5〜6年のスパンで買い替えていくと人生が豊かになる感覚がありますね。子どもが小学生になると、学校の関係もあってそんなに頻繁に住み替えはできなくなるじゃないですか。そう考えると、マンションを買える時期ってじつは限られていると思うんです。住みたいと思えるマンションが出てきたら、短期譲渡所得にあたる5年以内に売ってしまってもいい。3000万円控除の範囲内であれば税金もかかりませんしね。

 

実際、僕は平均すると4年に一度のペースで買い替えていますが、結果的にいろんな街やマンションに住めて、すごく人生が充実したと実感しています。

 

 

――今は市況が良いとはいえ、マンション価格がいつ暴落するかも分かりません。再取得にあたり、お二人がリスクヘッジとして意識していることがあれば教えてください。

 

西岡:僕が考えるに、一番のリスクヘッジは「ここに一生住むことになっても大丈夫」と思えるマンションを買うこと。そうすれば、仮に価格が10分の1に下落したとしても平気じゃないですか。売らずに住み続ければいいだけですから。僕の場合、これまでの売却ですべて「利益」が出ているから投機目的のように見られることもあります。でも、それはたまたまであって、「2年後に売ろう」みたいなスケベ心でマンションを買ったことは一度もないんです。

マンションの買い替えについて語る西岡孝洋さんと和田浩明さんの写真

▲初対面のお二人だったが、“マンション愛”の深さが共鳴し、会話に花が咲いた

和田:僕も西岡さんと全く同じ考えです。最終的にはやはり、この街、このマンションにずっと住めると思えるかどうかですよね。今はこういう市況だから、マンションを売った人の多くがそれなりの含み益を得ていると思います。そうすると、どうしてもスケベ心が出るというか、次に購入する物件も資産性でしか見られなくなってしまうんですよね。

 

そんな皮算用をしたところで先のことは分からないし、そもそも自分が住む家ってもうかる・もうからないという視点で買うものではないじゃないですか。不確かな利益のために、大して気に入っていない部屋に我慢して住むのは、果たして幸せなのだろうかと思います。

 

西岡:本当におっしゃる通りですね。もし僕が投機目的でマンションを転がし始めたら、おそらく失敗するだろうと思います。もちろん上がるに越したことはないけど、本質はそこじゃない。

 

和田:人は睡眠も含めれば、人生の時間の約7割を家で過ごすともいわれています。それだけの時間を過ごす場所のクオリティはやはり大事にしたほうが良い。西岡さんが言うように、「自分が一生住めるかどうか」という感覚で選ぶのが家選びの原点だし、健全ではないかと思います。

 

それに、自分がそこまでほしいと思える家なら他にほしがる人もたくさんいるはず。よほどおかしな趣味嗜好でなければ、自分の気持ちに従って購入したとしても売却時に全く買い手がつかずに大失敗するようなことはないのかなと。

 

西岡:ただ、問題は「一生住むぞ!」と思って買っても、次から次へと住みたいマンションが出てくること。これはもう、魅力的な物件をどんどんつくるデベロッパーさんが悪い。できれば5人くらい、自分を分身して一人ずつ別のマンションに住みたいくらいです(笑)。

マンションの買い替えについて語る西岡孝洋さんの写真

▲幼少期に暮らしたのは戸建てだというが、今やすっかりマンションに魅せられている西岡さん

――これまでのお二人の経験を踏まえ、初めて売却・再取得を行う際に「これはやっておいたほうがいい」というアドバイスがあれば教えてください。

 

西岡:まず購入に関しては繰り返し申し上げている通り、自分が好きなところを買えば良い。問題は売却ですね。特に、居住しながら売却活動をする場合はそれなりにテクニックが必要なので、事前にいろいろと勉強しておいたほうがいいと思います。

 

 

――売却時のポイントやテクニックとしては、たとえばどんなことが挙げられますか?

 

西岡:モデルルーム並みとまでは言いませんが、できる限り生活感をなくすことですね。掃除はマストですし、家中を整理整頓してなるべくシンプルに見せること。うちの場合はキッチンの水はねをしっかり拭き取るなど、結構細かいところまで気にしていました。

 

あとは、内見に来る人のことを想像して「どういう家だったら暮らしやすいか」を考えることも大事です。一度、ご高齢の方が内見に来られる際に、妻と二人で“高齢者目線で家の中を動いてみよう”と。そうすると、「ここはちょっと危ないね」「ここに物があると移動しにくいね」などいろんなことに気づいて家具の配置を変えたりした結果、成約に至りました。

 

和田:結局は、いかにすてきに見せられるかですからね。お風呂場も隅々まで掃除したり、全ての部屋の電気を点けておいたり、少しでも良く見せるためにできることはやったほうがいい。たとえ物件自体に魅力があって引く手あまただったとしても、そこは資産性に甘えないほうがいいのかなと。

マンションの買い替えについて語る和田浩明さんの写真

▲「物件を売却するときは、いかに商品として保有物件をすてきに見せられるかが重要だ」と語る和田さん

あとは部屋だけでなく、自分自身の身だしなみなどにも気を配ったほうがいいと思います。買う人は「前にどんな人が住んでいたか」を絶対に気にするので、少しでも好印象を与えるに越したことはありません。内見はプレゼンの場だと思って臨むといいんじゃないでしょうか。

 

 

――実践的なアドバイスをありがとうございます。ここまでお話を伺ってきて西岡さん、和田さんのマンション愛が存分に伝わってきました。最後に、なぜお二人はそこまでマンションが好きなのか、思いの丈をぶつけていただけますか。

 

和田:僕は戸建てに住んだことがないので比較はできないのですが、大規模な集合住宅でしか味わえない満足度って確実にあると思うんです。駅から歩いていくと、少しずつ巨大な建物が見えてくる。区分所有とはいえ、お城を買ったような気持ちになって、そこでまずテンションが上がります。

 

そこからエントランスをくぐり、エレベーターに乗り、内廊下を歩いて……、最終的にリビングにたどり着くまでに感動できるポイントがいくつもある。帰宅するたびにそれを感じられるのは、マンションならではなのかなと。

 

西岡:マンションの魅力って、スケールメリットだと思います。特にタワーマンションの場合、自分は数千万円しか出していないのに、豪華な共用部やコンシェルジュなど、いろんなものを享受できる。あとは、毎日ごみを捨てられるとか、細かいことも結構大きくて。そうした一つひとつの積み重ねによってストレスなく生活できて、いつでもご機嫌でいられる。もちろん戸建てにも戸建ての良さがあると思いますが、僕にとってはマンションこそが理想の住まいですね。

マンションの買い替えについて語る西岡孝洋さんと和田浩明さんの写真

▲再取得を重ねるたびに、物件選びの“揺るがない軸”が見えてくる

取材・文:榎並紀行 撮影:ホリバトシタカ

 

WRITER

榎並紀行
編集者・ライター。編集プロダクション「やじろべえ」代表。住まい・暮らし系のメディア、グルメ、旅行、ビジネス、マネー系の取材記事・インタビュー記事などを手がけている。X:@noriyukienami

おまけのQ&A

Q.都心マンション価格は上がり続け、市場が変わりゆく中で、いつ買うのが良いかの判断が難しいです。どのように考えると良いでしょうか?
A.西岡:繰り返しにはなりますが、買いたいと思った時が買い時です。市況にとらわれるよりも、今自分が“ほしいと思う気持ち”を大事にした方が良いと思いますよ。ただし、売るのはそれなりにテクニックがいるのとストレスになりやすいので、ある程度『売る勉強』をしておくことをおすすめします。