タワーマンションが注目を集める一方で、いま“低層マンション”への関心が静かに高まりつつあります。西武新宿線上石神井駅徒歩5分の低層マンション「ルネグラン上石神井」を開発・販売する総合地所の岩月祥子さんと高橋理子さんに、低層マンションの魅力を聞きました。
なぜ、低層マンションに引かれる人が増えているのか
――「低層マンション」というのは、具体的にどのようなマンションを指すのでしょうか?
岩月祥子さん(以下、岩月):明確に定義されているわけではありませんが「第一種低層住居専用地域」に建つマンションを低層マンションと呼ぶことが多いと思います。第一種低層住居専用地域は、建物の高さが原則10mまたは12mに制限される地域です。
そのため、低層マンションの多くは3階建てで、一部、半地下等にして4階建てにするケースも見られます。ルネグラン上石神井(以下、当マンション)は高さ制限が建築基準法55条2項の緩和を受け12mまで建築可能となり、地上4階建てです。
▲岩月 祥子さん。総合地所 分譲事業部 マンション開発部 開発1課 チーフスタッフ。※所属・肩書は取材当時のもの
――近年、低層マンションのニーズが高まっている理由は?
岩月:住まいに対する価値観が変化してきていることが一因と考えています。コロナ禍を経て、住まいに「人生を豊かにするための空間」としての役割を求める方が増えてきている中で、落ち着いた住環境やゆとりある暮らしを実現しやすい低層マンションへのニーズが高まっているのだと思います。結果、我々デベロッパーも開発に着手しやすくなっていることもあって、近年、低層マンションの分譲が目立つようになっているのかもしれません。
――しばらく低層マンションが注目されづらかったのはなぜでしょうか?
岩月:2000年前後から、建築基準法の改正や都市計画に関わる新法の施行などにより、大規模マンションの開発や都市の再開発の許可が下りやすくなりました。これにより超高層マンションの開発が増え、都心回帰や利便性、資産性を重視するニーズともマッチし、現在のタワマン人気へとつながっています。
一方で、90年代以前は閑静な住宅地に大きい家を持つことがステータスとされ、マンションも低層のものが人気でした。コロナ禍を経て、こうした価値観に回帰しつつあるのだと思います。
タワマンとは異なる、低層マンションの魅力
――低層マンションの魅力は?
岩月:まずは「閑静な住宅地」というのが大きな魅力になってくると思います。第一種低層住居専用地域は良質な住環境の保護を目的としており、住宅以外の建物はほぼ建築できません。高層ビルや商業施設が建ち並ぶことはなく、将来にわたって静かな環境や安全性が保たれやすい傾向があるのは、世代を超えて魅力に感じるポイントでしょう。
当マンションは小中学校が近接していますが、低層マンションが建つエリアはスクールゾーンになっていることも多く、総じて車両の通行も少ない安全性の高いエリアです。子育てしやすいのはもちろん、ご高齢の方も穏やかに暮らせる環境が整っています。
――ルネグラン上石神井は第1期が完売したということですが、どのような方に選ばれていますか?
▲高橋 理子さん。総合地所 分譲事業部 マンション開発部 開発1課。※所属・肩書は取材当時のもの
高橋理子さん(以下、高橋):子育て世帯やプレファミリー、DINKs(子どもを持たない共働き夫婦)世帯が中心ですが、ご購入いただいた方の20%程度はシニア世帯です。すでにリタイアした方やリタイアを見越した方にも多く選んでいただいています。
岩月:低層マンションを選ばれる方は、世代問わず永住意識が高い傾向があるように思います。当マンションも「永住」をコンセプトのひとつにしています。安心・安全かつ健康的に暮らしていただけるよう、敷地内にはテニスコート約5面分に相当する1,000㎡を超える中庭「五感の森」をご用意しました。専有部には2.3m超のハイサッシや全熱交換型換気システムを採用したほか、分譲マンションとして初めて便スキャン付きのトイレ「ネオレスト AS-W」を取り入れ、心身ともに健康で、長く快適に暮らせる住まいを目指しています。
▲ルネグラン上石神井はコの字型の建物の中央に「五感の森」が位置し、どの部屋からも“緑”が感じられるような設計だ
出典:「ルネグラン上石神井」より※画像2枚目
▲ルネグラン上石神井は暮らしを快適にするさまざまな設備を兼ね備える
出典:「ルネグラン上石神井」より
――防災面での利点はいかがですか?
岩月:「避難しやすい」というのは低層マンションの大きなメリットです。たとえば大規模地震発生時はエレベーターが停止してしまう可能性がありますが、低層マンションであれば階段を使って避難しやすくなります。また災害後、エレベーターの復旧に時間を要したとしても、生活が送りやすいという利点もあります。
火災時は避難しやすいということとともに、放水しやすく、避難はしごがかけやすい点も、低層マンションならではのメリットでしょう。
過去記事「地震発生! 日立ビルシステムに聞く、その時マンションのエレベーターは?」ではマンションのエレベーター利用中の地震に関する課題や対応を紹介
低層マンションはランニングコストやリフォームの自由度が難点になりがち?
――低層マンションに暮らす場合、デメリットとなりうるところはあるでしょうか?
岩月:中高層のマンションと比べて敷地面積に対して住戸数が少ないため、分譲価格が高い傾向があります。入居後の管理費や修繕積立金も、総戸数が少ないと1戸当たりの負担が大きくなりがちです。
当マンションは駅徒歩5分という立地ですが、第一種低層住居専用地域は静かな住環境を重視するエリアのため、駅から一定の距離がある場合が多く、不便を感じる場合もあると思います。過去20年間に23区で供給された駅徒歩5分の分譲マンションのうち、第一種低層住居専用地域は2.7%。当マンションのように敷地面積5,000㎡以上という条件を加えると0.1%、わずか3物件に限定されます(出典:株式会社MRC調べ[2025年3月])。
▲ルネグラン上石神井は低層マンションのデメリットとなりうる点を多く克服している希少な物件だ
――構造面は、中高層のマンションと違いがあるのでしょうか?
岩月:高層マンションの多くは柱や梁(はり)で建物を支える「ラーメン構造」ですが、低層マンションは壁で建物を支える「壁式構造」が採用されることが多い傾向があります。壁式構造は柱や梁の凹凸が少なく、すっきりとした住空間にしやすいというメリットがある一方で、コンクリートでできている壁は動かせないためリフォームの自由度は下がります。
ただ、当マンションでは壁式構造の一種である、厚い床と壁で支える「厚肉床壁構造」を採用しています。さらに、水が落ちる際に生じる引く力を利用する排水システム「スマートサイホン」をキッチンに導入することで排水管の勾配が不要となり、設備配管の自由度を高めています。キッチンの位置も柔軟に変更できるため、ライフスタイルの変化に合わせたリフォームがしやすい住まいとなっています。
▲厚肉床壁構造は従来の壁式構造より厚い床版と壁版で構成されており、遮音性の向上や開放的な居住空間の実現、設備配管の自由度向上などのメリットが得られる
出典:「ルネグラン上石神井」より
▲サイホン力(水がおちることで発生する“引く力”)を利用する「スマートサイホン」により、従来の排水システムでは必要だった排水管の勾配が不要に
出典:「ルネグラン上石神井」より
――物件選びではどのような点に気をつければいいですか?
岩月:タワーマンションなど階数が多いマンションでは、同じ間取りの部屋が多く分譲されますが、低層マンションは3〜4階建てなので同じ間取りの住戸が少ない傾向があります。当マンションの間取りプランは、79タイプ。ライフスタイルに応じて選びやすいとも言えますが、気に入った間取りがすぐに売れてしまう可能性もあります。
低層マンションの隠れた魅力。管理状態が良いマンションが多い理由
――管理について、ルネグラン上石神井はマンション管理サービス「smooth-e(スムージー)」を導入されていますが、つまりは「外部管理者方式(第三者管理方式)」ということになるのでしょうか?
岩月:近年は共働きの世帯が多く、輪番制で管理組合の理事が回ってきたり、平日の夜遅い時間に理事会に参加したりすることが負担になってしまうことも少なくありません。「smooth-e」は理事会を設置しない管理受託のサービスです。おっしゃるとおり外部管理者方式で、外部の専門家が管理者に就任するので、住まいを守る労力を下げながらプロに任せられる安心感も得られます。
高橋:住み替えのお客様から「理事会に参加するのがおっくうだった」というお声をいただくことも少なくありません。家事や仕事、子育てに忙しくされる世帯が増えていく中で、今後はより「管理しやすさ」が住みやすさにつながる大事な要素になっていくのではないでしょうか。
▲外部管理者方式(第三者管理方式)にも3パターンあるが、中でもルネグラン上石神井は理事会を設置しない、最も居住者の負担が少ない方式を採用している
過去記事「マンション管理の新しい形「第三者管理者方式」とは?」では外部管理者方式の概要や実態を紹介
――ルネグラン上石神井で、他に「管理のしやすさ」につながる特徴はあるでしょうか。
岩月:戸数が少ないマンションは管理費や修繕積立金の負担が多くなりやすいものの、当マンションの総戸数は100戸を超えていることに加え、駐車場が100%平置きという点も管理上のリスクを低減させると考えています。タワー型や機械式の駐車場は維持していくだけでも一定の費用がかかり続けるのに加え、更新時の費用も高額になりがちですから。
高橋:とくに最近は車両が大きく、重くなっている傾向にあるので、平置き駐車場の価値も高まっていると思います。
過去記事「都心マンション駐車場が空いていない!? 管理と仲介のプロが実情を語り合う」では都心マンション駐車場の課題を紹介
――昨今、都心部のタワーマンションなどは、国外も含め投機目的の購入が増えていて、マンションの「管理」にも支障をきたすのではないかという懸念もあります。低層マンションは投機目的で購入される方が少ないのでしょうか?
岩月:今のところ当マンションは、私たちの把握している範囲では、投機目的のご購入は見受けられないように思います。永住志向がある方は、おのずとマンションに愛着が湧くものです。専有部はもちろん共用部も大切に使い、町とのつながりも大事にしようとお考えになる方が多いのかなと。こうした居住者の思いは、コミュニティ形成やマンション管理に良い影響を与え、資産価値の維持・向上にもつながるはずです。
▲取材はルネグラン上石神井のマンションギャラリー内にあるモデルルームで行われた。天井まであるハイサッシが空間に伸びやかな抜け感を与える
取材・文:亀梨奈美 撮影:石原麻里絵(fort)
WRITER
不動産ジャーナリスト。不動産専門誌の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。
おまけのQ&A
- Q.今回の低層マンション開発を踏まえ、今後どのような住まいづくりを目指していくのでしょうか。
- A.岩月:総合地所は元来、郊外の大規模マンションを得意としており、永住志向が高い方向けのマンションを供給してきました。当マンションは、ルネシリーズ最高峰ブランド「ルネグラン」の首都圏第1号物件です。今後も豊かな自然環境と高い都市機能に寄り添いながら、永住を見据えたマンションの開発・販売に力を入れていきたいと考えています。
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