資産運用として分譲マンションを購入した30代シングル女性。そこで得られたこととは?

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分譲マンションを購入した30代シングル女性

コロナ禍の2020年、30歳になったのを契機に、東京・千代田区のマンション購入を決めた会社員のAさん。将来的な展望も見据えつつ、自分らしい暮らしを楽しんでいました。

取材・文:山下紫陽 撮影:石原麻里絵

――Aさんがこちらのマンションを購入されたのは2020年とのこと。それまでも一人暮らしをされていたのですか?

 

Aさん(以下、敬称略):はい。高校卒業と同時に家を出たので、かれこれ12、3年になります。ただ、大学時代は海外での寮生活でしたから、就職して東京に来た時に、本当の意味での一人暮らしをスタートさせたと言えるかもしれません。最初は池袋にほど近いエリアに住んでいて、その後23区東側のエリアにも1年くらい住みました。いずれも賃貸です。

▲「今後誰かと暮らすことになっても、ずっと一人でも、どちらに転んでもいいようにしておきたかった」と話すAさん。会社までは30分くらいなので、距離的にもちょうどいいという。

――マンションを購入しようと思ったきっかけは?

 

A:コロナ禍に入った年に30歳を迎え、資産運用を検討し始めました。その当時はマンションを買う=終の棲家に近いイメージをもっていて、「資産運用を不動産で」とは考えていませんでした。そんなある時、ふと思い立って分譲マンションの説明会に行き、住まいも賃貸より分譲の方が将来のためになるのでは?と考えるようになりました。

 

――こちらのマンションは新築で購入されたとのことですが、理由はありますか?

 

将来的に売る、貸すという可能性を考えると、新築で購入する方がいいのかな、と。以前は40歳ぐらいになるまで一人だったら、広めの中古マンションを購入してリノベーションしようかと考えていたこともありました。その頃は40歳になるまでの間にいろいろな知識を身につけておこうと思って、インターネットやSNS、雑誌などでいろいろな実例を見て楽しんでいましたね。けれど、説明会でお話を聞いて資産運用の面では中古より新築の方がいい、と考えが変わりました。

 

――30歳で将来を見据えた資産運用を考え始めるというのは計画的ですよね。

 

A:30歳になった当時は、不動産に限らず保険などもきちんと整理していませんでした。そこで、万一の保障と資産形成を同時に行える養老保険を検討し、同時に不動産についても考えてみようと思ったんです。

 

――周囲の同世代の方に、同じようなタイミングでマンション購入を考えたり、実際に購入されたりした方はいましたか?

 

A:同世代の既婚者の友人たちは、そろそろファミリータイプの分譲マンションを検討するタイミングを迎えていました。子どもが生まれたり、子どもをもつことを考えたりしている人たちにとっては、タイミング的にもちょうどいい頃ですから。反対に、独身の友人や同僚からそういった話を聞いたことはありませんでした。

▲引っ越す際に「氏神様も調べました」というAさん。お札以外にも縁起の良さそうな物が家の随所に置いてある。

――Aさんがこちらの物件を購入すると決めた理由は?

 

A:一番は立地です。秋葉原と上野のちょうど間くらいでJRの駅にも東京メトロの駅にも近く、都内のどの街にもアクセスが良いので、転職して職場の最寄り駅が変わったとしてもさほど困らない。築年数を重ねても資産価値が維持できると思いました。購入前にシミュレーションしてみたところ、今の時点だと30年後に売却する場合にも1,000万円しか価格が下がっていなかったんです。私はアニメに代表されるサブカルチャーが好きですし、博物館や美術館にもよく足を運びますから、このエリアに親しみを感じていたというのも理由のひとつ。あとは、一人暮らしの住まいにしては洗面台や浴室の広さが十分にあることでしょうか。

 

――返済計画などはどのように考えられましたか? また、以前の賃料と今の返済額にはどのくらいの開きがありますか?

 

A:35年ローンで、ボーナス払いはなし。頭金は数百万円ですが、そんなに多くないですね。変動金利で、金利も割と安く借りられました。希望の条件で審査が通ったので、購入に弾みがついたということもあります。以前払っていた家賃は、20代の女性が借りる部屋としてはかなり安かったので(笑)、月々の返済額は当時の家賃よりは高くなりましたが、無理のない範囲だと思います。

▲一人で過ごす時間を豊かにするために、香りにもこだわっている。

――実際にマンションを買ってみて良かった!と実感するところはありますか。

 

A:人生をRPGに例えると、ライフステージによって揃えていくアイテムのひとつとして家があると思うのですが、それを早い段階で済ませてしまった分、気持ちの上で大きな余裕ができたという感じがしますね。30歳の時には「いろいろ考えないと」と少し焦りのようなものも感じていたのですが、今は「家も買ったし、まあいいか」と思える。最悪の場合でも老後に住むところはあると思うと、ひとつ心配が消えるので、他のことにエネルギーを振り分けられます。ただ、家を持っていれば故郷の親戚にも安定した稼ぎを得ているんだと安心してもらえて、「まだ結婚しないのか」みたいな圧をはね除けられると思っていたのですが、そこはうまくいきませんでした(笑)。

 

――そうですか。でも、Aさんとしては自分の家を持つことで安心できた、ということですよね。

 

A:そうですね。変な余裕が出てしまって、逆にまずいかもしれません(笑)。実生活のメリットとしては、自分が好きなようにカスタマイズでき、お気に入りの空間ができたこと。料理が趣味なので、キッチンは2口コンロを3口コンロに変更しました。今後売却することを考えて、床や扉の色などは女性らしすぎないものを選びましたが、壁紙は貼り替えもしやすいため、自分好みにカスタマイズしました。私は家相(注:方位や間取りの関係から吉凶を判断するもの。風水と同様大陸から伝来したが、日本独自の発展を見せた)を気にしていまして、その点にもこだわっています。各方位のラッキーカラーがあるので、壁紙やカーテンの色は家相的にNGではない色の中から好きなものを選んでいます。

▲家相を考慮して、ベッドルームの壁面はラベンダーカラーに。落ち着いて過ごせる空間になった。

――日々の生活を快適にするためにこだわっていることなどが他にあれば教えてください。

 

A:一人暮らしの部屋ですから、ベッドやラウンジチェアは見栄えよりも快適性を重視して選びました。部屋が狭くなってしまうのは承知で、ベッドはセミダブルをチョイス。また、誰かを招くことを考えたら2人掛けのソファの方がいいかもしれませんが、座り心地を優先して1人掛けのラウンジチェアを購入しました。帰宅後や外出しない休日には、ベッドかラウンジチェアの上で長時間読書したり、アニメやドラマを観たりしています。

▲「ここに座って本を読むのが至福の時間」とAさん。座り心地は抜群だ。

――最後に、将来的な住まいのイメージについてお聞かせいただけますか?

 

A:住み替えは長期的には検討していきたいです。ずっと一人暮らしだとしても、年齢に応じて住みやすい街や間取りが変わってくると思うので。もし一人だったら、今よりももう少し落ち着いた場所で、またもう少し広い物件で、趣味の部屋を1部屋くらい追加してもいいかな。一方で、古民家暮らしにも憧れますし、同じく独身の友達や子どもが独立して一人になった友達などとマンションを一棟買いしたり、コーポラティブハウスを建てたりして暮らすのもいいな、と思ったりもします。そんな想像ができるのも、マンションを購入して心に余裕ができたからかもしれませんね。

 

 

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WRITER

山下紫陽
ライター / 編集者。オンラインメディア、会員誌やフリーペーパーなどで、建築、アート、カルチャー、ライフスタイル全般の記事の執筆やインタビューなどを行っている。デザイン関係のトークイベントなどでファシリテーターを務めることも。

おまけのQ&A

Q.家具についてのこだわりをお聞かせください。
A.一番お金をかけたのは、イタリアの高級家具メーカーのラウンジチェア。受注生産だったので、張り地の革とファブリックも全部自分で厳選しました。また、コロナ禍で在宅業務が増え、仕事しやすい環境を整えたくて、北海道・旭川の木工家具メーカーでデスクをセミオーダーしました。椅子は手頃なゲーミングチェアですが、以前はちゃぶ台とビーズソファで仕事していたので(笑)、格段に仕事がはかどるようになりました。