持ち家率にみる首都圏住宅需要の変化

~2013年から2023年の持ち家率低下の背景~

2026年10月02日 / 『CRI』2026年10月号掲載

CRI'S FOCUS

目次

低金利が続いていたにもかかわらず、2013年から2023年にかけて首都圏では全ての地域で持ち家率が低下した。その背景には住宅価格の上昇や住まいに対する価値観の変化があると考えられる。一方で地域別・年代別にみると異なる傾向もみられる。本稿では首都圏における2013年から2023年にかけての年代別の持ち家率の変化について考察していく。

【1】 地域別にみた持ち家率の傾向(2013年)

2013年の持ち家率の全国平均は61.5%であり、首都圏においても東京都を除く3県では60%前後と全国平均と大きな違いはない。年代別にみると、いずれの地域でも年齢の上昇に伴い持ち家率も高くなる傾向にある。持ち家率が50%超となる年代をみると神奈川県で40~44歳、埼玉県・千葉県はそれよりも5歳早い35~39歳である一方、東京都は45~49歳で埼玉県・千葉県と比べ約10年遅い。このことから埼玉県・千葉県では比較的若い段階で持ち家を取得する傾向があることがわかる(図表1)。

【2】 世代格差が広がる2013年から2023年の変化

2013年から2023年の10年間の変化をみると1都3県の全てで持ち家率が低下しており、特に20代後半から30代と50代で低下幅が大きかった(図表2)。

その要因として、住宅価格の高騰や物価高の影響が考えられる。20代後半から30代については、非婚化・晩婚化の進行により住宅購入の動機が希薄になっていることに加え、親世代が就職氷河期にあたるため、親からの資金援助を受けにくく、初回購入のハードルが高まっていることが要因として考えられる。また50代については、就職氷河期の影響により若い頃の住宅取得が難しかった層が一定数存在していることに加え、子供の教育費負担が大きい時期と重なるなど複合的な要因が持ち家率低下を招いていると考えられる。

また国土交通省による「令和5年住生活総合調査」では、現在持ち家世帯・借家世帯共に今後の持ち家へ住み替えたいと考える割合が低下しており、住宅取得に対する価値観の変化も影響している。一方で、今後は相続による住宅取得の増加が見込まれることから、50代の持ち家率の上昇、そのことによる中古・賃貸市場への影響や空き家増加などへの影響が考えられる(図表3)。