特集

2025.11.20

妻・綾菜さんが語る、加藤茶さんと夫婦で考える介護と住まいの“前向きな備え方”

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加藤茶さんと45歳差婚をした綾菜さん。夫婦の未来を見据えた暮らしについてシニアレジデンス「ブランシエール目黒」で伺いました。

加藤綾菜さんプロフィール

▲加藤綾菜(かとう・あやな)さん/タレント・女優。1988年生まれ。広島県出身。2011年に加藤茶さんと45歳差で結婚したのをきっかけに「介護食アドバイザー」などの資格を取得 Instagram:@katoayana0412

――介護やシニアライフへの関心は、やはり加藤茶さんとのご結婚が大きなきっかけだったと思います。パートナーとの未来のために、最初に意識したことは何でしたか?

 

加藤綾菜さん(以下、加藤):加トちゃんをすぐに老人ホームに入れる選択肢はなかったので、まずは「家を快適にすること」から始めました。以前は螺旋階段のある一軒家に住んでいましたが、エレベーターもなかったんですね。加トちゃんがパーキンソン病を発症したことを機に、住み替えを決断しました。

 

 

――新居選びの軸は何でしたか?

 

加藤:加トちゃんは有名人なので、住まいがすぐに特定されてしまうリスクもありました。その意味でも、一軒家を手放して、プライバシーが守りやすいマンションに引っ越すことにしました。バリアフリーにリノベーションして、廊下やお風呂には手すりも取り付けています。

 

 

――暮らしをコンパクトにしたことも大きな変化だったのだとか。

 

加藤:広さはそれまで住んでいた家の3分の1ほどになりましたが、加トちゃんも私も快適に暮らしています。大量にあった加トちゃんの洋服も「元気なうちに整理しよう」と話し合って、生活自体もコンパクトにしました。

 

 

加藤綾菜さん

▲加藤茶さんの健康を日々サポートする綾菜さん

――加藤茶さんは現在82歳。今の夫婦の暮らしぶりについて教えてください。

 

加藤:加トちゃんは毎日元気に暮らしています。愛犬の茶子と過ごす時間を何より楽しみながら、日当たりが良いリビングでのんびりするのが幸せなようです。

 

ただ、若く見えても、やっぱり80代。これから少しずつ「できないこと」も増えていくと思います。以前は彼も弱っている姿を人に見せたくない気持ちが強く、入院の時もごく一部の方にしか状況を伝えられませんでした。

 

 

――綾菜さんも、その変化を受け止めるのが難しい時期があったそうですね。

 

加藤:はい。当時は私自身の気持ちが追いつかず、そのギャップに苦しんでいました。でも、彼の老いを受け入れられるようになってからは、「加トちゃんがこれからできるだけ長く快適に過ごすには」を考えるようになりました。

 

 

――夫婦としての関係性も、自然と変わっていったのでは?

 

加藤:そうですね。20代の頃は「加トちゃんは大丈夫!」と思い込んでいたんです。ただ、私が必要以上に支えようとすると、逆に加トちゃんも気負ってしまう。だからこそ、私自身も精神的に「老いを受け入れる」姿勢を持つことが大切だと感じています。

 

 

加藤綾菜さん

▲ご近所にも頼れる仲間がたくさんいらっしゃるのだとか

――介護に向き合う上で、一番大切にしている姿勢は何ですか?

 

加藤:何よりも「人に素直に相談すること」が大切だと思います。私自身も介護の学校に通い、先生や友人とつながりができたので、困った時にはすぐ頼れる環境があります。もちろん、そういう状況ではない方が多いので、ケア体制がある老人ホームに入ってもらうのもひとつの手です。

 

 

――綾菜さんの身近な友人の間でも、考え方に変化が生まれているそうですね。

 

加藤:そうなんです。私には、介護当事者の友人がたくさんいます。前までは「老人ホームに入れるなんてかわいそう」と不安に思う人もいましたが、だんだんと考えが変わってきているみたいです。「自分が全部やらなきゃ」と抱え込むと、潰れてしまうんですね。

 

老人ホームという選択肢を外してしまうと、介護する側も仕事ができなくなり、貯金を崩して生活することになる。そうなると「今が一番輝ける時期」に、自分の人生を大切にできなくなってしまいます。

 

 

加藤綾菜さん

▲何でも自分でやろうとしないことが大切だと説く綾菜さん

――周囲に助けを求めることは、簡単なようで難しいですよね。

 

加藤:真面目で一生懸命な人ほど「助けて」と言えないんですよね。私は今でこそすぐに口にしますが、昔は言えませんでした。「加トちゃんが病気だって知られたらどうしよう」と友達やご近所さんに隠そうとしたり、旅行に行っても車椅子の姿を見せないようにしたりしていました。

 

そんな時、親から「それは加トちゃんを守っていない。むしろ社会から孤立させてしまう」と叱られたんです。

 

まさに、当時は周囲の友達も「綾菜ちゃんは言わないから、そっと見守ろう」となって、だんだん会わなくなってしまって……。

 

 

――そんな綾菜さんの転機になったのは、介護の資格取得のために通った学校だったと伺いました。

 

加藤:はい。学校で「介護は人を頼ることが大切」と何度も教えられて。授業中に涙が出てしまったこともあります。

 

そこで初めて先生に加トちゃんの病気を打ち明けると、すぐに専門の介護スタッフにつないでくださったんです。そこから多くのご縁が広がり、私自身も少しずつ克服できて、仕事に復帰することができました。

 

その経験から「人を頼っていい」と心から思えるようになりました。スタッフさんがいるシニアレジデンスだと、さらに安心ですよね。

 

 

加藤綾菜さん

▲アクセスが良いマンション暮らしで気軽に友達に会いに行く日々だそう

――今は、周囲との関わり方も変わってきたそうですね。

 

加藤:友達に困ったことを積極的に伝えていますし、大変そうな子がいたら、すぐ動きます。コーヒーを持って遊びに行ったり、「介護は長期戦だよ」「仕事が忙しくなる時期、数ヵ月間の介護をどうするか考えようよ」と話し合ったり、一緒にヘルパーさんを探したり。そうするとみんなの顔が少し明るくなるんです。

 

若い世代の介護離職は本当にもったいない。私自身も義理の妹の介護をしていた時は気持ちが沈んでいましたが、今ならよく分かります。

 

他人だからこそ頼れることもあるし、それこそ今回見学した「ブランシエール目黒」もそうですが、サービスだと思えばスタッフさんに弱音を吐けることもある。一人で抱え込まずに、支えてもらえる環境に身を置くことが何より大事だと思います。

 

 

加藤綾菜さん

▲普段から夫婦の会話を欠かさないのだとか

――まだ介護には直面していないからこそできる、老後の情報収集や家族会議の進め方のコツは?

 

加藤:家族のことになると、みんなどうしても先延ばしにしてしまいます。そして「もう看られない」というタイミングでやっと話し合いをすると、「見捨てるのか!」となってしまうこともあるようです。

 

でも、早めに伝えておけば前向きに受け止められるんです。

 

 

――具体的には、どんなふうに会話をしていますか?

 

加藤:元気なうちから、明るく話すこと。今日の取材のことも、帰ったら「ブランシエール目黒に行ってきたよ〜」と報告します。最近は加トちゃん自身も老人ホームの情報を集めるようになっていて、雑談の延長で未来を考えられるようになりました。

 

 

――お二人の間には、老後の生活についてどんな計画や約束があるのでしょうか。

 

加藤:加トちゃんは「何があっても俺の面倒をみろ」とは言わない人です。「迷惑をかけたくない」と言ってくれる。でも私は「大切だからこそ、できるだけ仲良く、一緒にいたい」と思っています。

 

 

――その覚悟は、結婚当初からしていましたか?

 

加藤:年の差婚ですから、最初から覚悟はしていました。最後に「うっとうしい」「面倒くさい」と絶対に思いたくない。大好きだからこそ、最後までいい距離感で、ずっとそばにいたいんです。

 

 

加藤綾菜さん

▲「ブランシエール目黒を見学して、老人ホームのイメージが変わった」

――近い将来、介護を一人で抱え込まないために、綾菜さんはどう動いていらっしゃいますか。

 

加藤:広島にいる私の両親はまだ元気ですが、きょうだい3人で「将来どうするか」という話はしています。

 

両親も責任感が強すぎる私の性格を理解してくれています。「一番やさしいのはあやちゃんだから、あやちゃんは『私が面倒をみる』って言うだろうけど、うちらはホームに入るつもりじゃけぇ」と話してくれました。

 

きょうだい間で合意がとれていても、結婚すれば状況は変わるかもしれない。だからこそ「誰か一人が背負う」のではなく、みんなで支えることを前提に考えることが大切だと思います。

 

 

――「大切な人の、そして自分の未来」を前向きに考え始めるためのひと言をお願いします。

 

加藤:とにかく、まずは情報収集です。弟にも、このインタビュー記事が出たら、リンクを送ろうと思っています。「私はこういう風に考えているよ」「考える時期になってきたと思うよ」「素敵な老人ホームもあるんだよ」と、気軽に投げかけるだけでも意識が変わるはずです。

 

「頼る人がいない」と思っている方も、周りに相談すれば道が開けます。真面目な人ほど「自分一人でやらなきゃ」と思いがちですが、できないことはちゃんと伝えることが大切です。

 

「みんなで支えないと、私一人では厳しいです」と言わなければ、一生背負うことになってしまう。同時に2人分の介護が始まることだってあり得ます。

 

だからこそ、早めにSOSを出してほしい。元気なうちからお茶をしながら将来について話すことも、老人ホームの資料を読んでみることも、立派な備えになると思います。

 

 

取材・編集:小沢あや(ピース株式会社)
撮影:小原聡太
撮影場所協力:長谷工シニアウェルデザイン「ブランシエール目黒

 

WRITER

小沢あや(ピース株式会社)
編集者。「ピース株式会社」代表。ミュージシャンや企業の発信支援として、オウンドメディアの運営やコンテンツ制作を手掛ける。ポッドキャスト「働く女と◯◯と。」を毎週水曜日に配信中。 X:@hibicoto

おまけのQ&A

Q.マンションの住み替えをしたそうですが、今はどんな暮らしですか?
A.加藤:分譲マンションをバリアフリーにリノベーションしました。加トちゃんのためにも良い選択ができたと思います。とても快適です。