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2025.08.04

ヒャダインが語る「ヒット曲が生まれる部屋」──創作の秘密基地とは?

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音楽クリエイター、ヒャダインさんの自宅スタジオでの暮らしと創作活動について、クリエイター向け物件「TRACK八丁堀」で伺います。

ヒャダインさん

▲ヒャダインさん/音楽クリエイター。1980年生まれ。京都大学卒業後、2007年から本格的な音楽作家としての活動を開始。さまざまなジャンルへの楽曲提供を行うとともにタレントとしても活動する X:@HyadainMaeyamad

――現在はどのような住まいで暮らしていますか?

 

ヒャダインさん(以下、ヒャダイン):スタジオと自宅が一緒になっている戸建てに暮らしています。1階がスタジオ、2階がリビングなどの居住スペースです。

 

 

――暮らしの中で制作をされているんですね。

 

ヒャダイン:スタジオに通勤するのも大変ですからね。昔は、スタジオに行くことでミュージシャンと顔を合わせながら音を鳴らすこともあったと思うんですけど、僕はアイデアが浮かんだ時にすぐ作業したいんです。

 

 

――ヒャダインさんは、マンション暮らしの時期も長かったですよね。物件選びの基準は?

 

ヒャダイン:防音仕様でない場合は、角部屋を選ぶのが鉄則です。そして、鉄筋コンクリート造(RC造)の物件を選びます。これは基本的なポイントですよね。

 

タワーマンションに住んでいた時もあったんですよ。音の反響は気になりましたけど、遮音性はあったので、嫌いではなかったですね。

 

 

――タワマンだと開放感があるのでは。

 

ヒャダイン:窓からの風景はあまり覚えていないです。4年くらい住んだけど、飽きちゃったんですよね。賃貸物件で間取りや内装もフレキシビリティがなかったので、窮屈な気持ちでした。

 

マンションって、ルールが厳しいじゃないですか。でも、「TRACK八丁堀」のように自由さがある物件はいいですね。壁にギターをかけてもいいし(※)、音も思いっきり出せる。

 

※「TRACK八丁堀」では、一部の壁が補強壁(棚、楽器、モニター壁掛け可能/音が出るものなどは除く)になっている

 

 

――音が近隣に響かないか、やっぱり気になりますよね。

 

ヒャダイン:はい。前に購入したマンションは、一室を防音工事しました。夜中でも歌えるし、レコーディングもできる。「夢を叶えたな」という気持ちでした。

 

 

――創作もはかどりましたか。

 

ヒャダイン:それが、物件を買って工事してから気がついたんですけど……僕、結構規則正しく生活しているんですよ。朝起きて夜寝るので、よくよく考えたら夜に音を出すための対策は必要ないなと(笑)。完璧な防音仕様だったんですけど、オーバースペックだったなと。

 

 

――それでも、利点はあったのでは。

 

ヒャダイン:はい。心理的なものは大きかったです。「音を出しても大丈夫」とか「隣に聴こえないし、歌が下手でもバカにされない」とか、やっぱり心が安定するんですよね。創作する上で安心感ってやっぱり大事です。

 

 

ヒャダインさん

▲集中して一気に仕事を終わらせるのが習慣だとか

――自宅でお仕事をされていますが、メリハリをつけるために日々の過ごし方で工夫していることはありますか?

 

ヒャダイン:生活リズムですね。仕事は、寝る2時間前には必ず終わらせています。頭の中で音が鳴って、夢にも出ちゃうので。一人なので就業時間を決めるのも自分です。

 

考えごととかは、やっぱり寝る直前までやらなきゃいけない時もあるけど、眠れなくなったり、睡眠が浅くなっちゃったりするんです。

 

 

――睡眠に重きを置いているんですね。

 

ヒャダイン:はい。寝具にもこだわっていますよ。お気に入りの枕とお布団と。忙しい時も、必ず6〜8時間は寝ています。僕、寝ないとダメなので。

 

 

――作業部屋のインテリアのこだわりは?

 

ヒャダイン:あんまり意識していないかもしれないです。防音以外は、普通の部屋ですね。でも、仕事場には「WERK」(ドイツ語で仕事、工場、作品の意)と書いてあるネオンサインの照明を置いています。それを点けている時は集中モード、消したら仕事は終わり。開店、閉店の区切りをつけるのに役立っていますね。

ヒャダインさんご自宅スタジオ

▲仕事の区切りをつけるためのネオンサイン

――生活と仕事がシームレスだからこそ、強く意識されているんですね。

 

ヒャダイン:そうですね。休憩時間や就業後は、いつもキッチンに立つようにしています。料理をすると、一気に頭も身体もオフモードになれるんです。少しくらいやり残したことがあっても「もう閉店なので、明日やります」って思えるんです。

 

 

ヒャダインさん

▲「TRACK八丁堀」ではキッチンも見学

――暮らしの中で、気に入っているポイントは?

 

ヒャダイン:やっぱりキッチンですね。普段から、旬のものを食べること、自分で作ることを大切にしています。「ごはんが作れないくらい忙しい働き方はやめよう」と決めて、そこをしっかり守っています。人生は生活ですから。

 

 

――キッチンのこだわりは?

 

ヒャダイン:収納多めで設計しましたね。調味料がたくさんあるんですよ。「ナンプラーを入れたらおいしくなるかな?」とか考えるのも、音楽制作と似ている部分があるんです。どの音を、どう味つけをする?って。

 

 

――日々の暮らしも制作と繋がっているんですね。今のお住まいで、「ここがもう少しこうだったら……」と感じる点はありますか?

 

ヒャダイン:うーん、湯船はいらないですね。僕、シャワールームでいいんですよ。自宅にサウナがあるなら、水風呂にしたいんですけどね。スペースがもったいないなって思っちゃうんです。

 

あと、マンション時代はディスポーザーと宅配ボックスがあったから助かりましたね。あれは必須の設備だと思います。

 

 

ヒャダインさん

▲愛猫のポンちゃんのお話に顔が緩むヒャダインさん

――愛猫のポンちゃんとの暮らしで、住まいに求める要素は変わりましたか?

 

ヒャダイン:変わりましたね。やっぱり、猫は飛び乗れる場所が必要なんです。今の家は階段があるので、よく運動していて、お気に入りみたいです。

 

 

――今は持ち家・戸建てに住んでいるとのことですが、設計でこだわったポイントは?

 

ヒャダイン:インナーテラスを作りました。家にいながら、猫が安心して日光浴ができるようにと思ったんです。テラスに近づいてくる野良猫と、ガラス越しにケンカしてますけど(笑)。

 

 

――持ち家だからこそ実現した間取りですね。

 

ヒャダイン:猫って賃貸だと断られることも多くて。大変でした。「猫可」で検索すると一気に物件が減るし、家賃も桁が変わる。猫に対してもう少し寛容にしてほしいですね。

 

 

――おうち時間が増える中、インテリアや設備で「これは取り入れてよかった」と思うものは?

 

ヒャダイン:トム・ディクソンの照明はデザインがかっこよくて、インスピレーションをもらうことができるのでお気に入りです。

 

10畳くらいある作業スペースには、デスクとキーボードとアップライトピアノとパソコンとマイクと、アンプなど機材周りを詰め込んでいるんですが、僕が小さい頃に使っていたピアニカとかリコーダーとか、初心を思い出せるものも飾っています。

 

 

ヒャダインさん

▲「TRACK八丁堀」のエレベーターホールにて

――将来の住まいについて、憧れや構想があれば教えてください。

 

ヒャダイン:今は戸建てに住んでいますけど、またマンション暮らしに戻ろうかな?とも考えることがあります。管理とかも安心ですし。戸建ては庭に雑草がどんどん生えてくるので、メンテナンスもとても大変なんです。

 

 

――たしかに、マンションの共有部はきっちり手入れしてもらえますものね。

 

ヒャダイン:あとは、やっぱり僕は一人なので、いつか急に倒れたりしてしまうかもしれない。そう考えると、やっぱり顔見知りの管理人さんやコンシェルジュがいる物件がいいなと思って。

 

 

――ヒャダインさんが重視するのは、管理面なんですね。

 

ヒャダイン:はい。清潔さ。管理会社や管理人さんが共有部を管理してくれる安心感です。あとは仕事柄、セキュリティ面ですね。誰が住んでいるかバレにくいし、表札もいらないし。

 

 

――「マンションでの暮らし」を考える方へ、ヒャダインさんならではの視点でアドバイスをお願いします。

 

ヒャダイン:僕はこれまでの人生でたくさん引越ししてきたんです。はっきりと言えるのは「物件にひとつでも妥協点があったら、やめたほうがいい」。なんだかモヤモヤするな……という物件なら、他を当たったほうがいいですね。

 

 

――これまで内見時に感じた、モヤモヤポイントは?

 

ヒャダイン:「なんかジメッとする」とか、「広いけどなんか嫌だ」とか。言語化できない「なんか嫌だ」があるなら、まずやめます。

 

昔、内見したヴィンテージマンションもいい感じだったんですが「なんか嫌だ」と思って。具体的にどこが嫌かはわからなかったんですけど、お化けとかいたのかも(笑)。

 

 

――(笑)。逆に「この部屋なら大丈夫!」と自信を持てるポイントは?

 

ヒャダイン:さっきとは逆で、「なんかいいな」を大切にしています。条件的には自分の目指していたところより下でも、「なんかいいな」と感じるなら借ります。狭くても、気が合う家ってあるんですよ。恋愛みたいなもんですね。

 

 

――これまで「なんかいいな」で借りてみて、良かったのはどんな部屋でしたか?

 

ヒャダイン:築年数がとても古かったんですけど、中はリノベされていて、床暖房も入っていたり、床材が良かったり。外観は古くて、修繕費もかかったけれど「なんかいいな」と思って借りました。やっぱり、マンションは直感が大事ですね。

 

 

取材・編集:小沢あや(ピース株式会社) 撮影:小原聡太

撮影場所協力:長谷工総合開発「TRACK八丁堀」

 

WRITER

小沢あや(ピース株式会社)
編集者。「ピース株式会社」代表。ミュージシャンや企業の発信支援として、オウンドメディアの運営やコンテンツ制作を手掛ける。ポッドキャスト「働く女と◯◯と。」を毎週水曜日に配信中。 X:@hibicoto

おまけのQ&A

Q.ヒャダインさんの物件探しのこだわりは?
A.ヒャダイン:日当たりは大事です。できるだけ南か東向きを選びますね。窓が二方向以上あるのが理想です。