特集

2024.02.26

佐久間宣行さんの仕事場を初公開!ヒットコンテンツを生み出す部屋とは?

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『ゴッドタン』『トークサバイバー!』など多くのヒットコンテンツを生み出しているテレビプロデューサー佐久間宣行さんに、創造性を高めるマンションでの住まい方について伺いました。

 

――今住んでいるマンションを選んだ理由は何でしょうか?

 

佐久間宣行さん(以下、佐久間):妻の両親が元々住んでいたからです。僕が30歳、妻が28歳の時に娘が生まれました。二人とも「仕事はこれからが勝負」という時だったので、義両親がそばにいる方がいいなと思い、同じマンションの別の階に引っ越しました。

 

 

――義両親が近くにいた方がいいというのは子育ての観点からですか?

 

佐久間:それもあります。他には、義両親と過ごす時間を増やしたいとも思いました。特に孫と過ごす時間を。僕は仕事で家にいない日も多かったのですが、妻と娘は毎日のように義両親と食卓を囲んでいましたし、クリスマスやハロウィンの時も一緒に過ごしていました。

 

お義父さんはもう亡くなったのですが、それでも10年以上は一緒に過ごせたので、義父にとっても娘にとってもかけがえのない思い出になったと思います。

▲佐久間宣行さん。1999年4月にテレビ東京に入社し、2021年3月に同社を退社、4月からフリーランスへ転身。テレビプロデューサー、演出家、放送作家、ラジオパーソナリティ、YouTuber。『ゴッドタン』『あちこちオードリー』『トークサバイバー!』など、数多くのヒットコンテンツを手掛ける。X:佐久間宣行

 

――テレビ東京を退社されてからはどこでお仕事をしているのでしょうか?

 

佐久間:事務所を借りることも検討しているのですが、今は自宅を仕事場として兼用しています。会社員の時は寝るためだけに帰っていたので、家の中で一番狭い4畳くらいの部屋を使っていました。ベッドと机だけ置ければよかったので。

 

でもコロナウイルスの影響でリモートワークが増え、かつテレビ東京を退社して独立することになったので、妻と交渉して家の中でも広い部屋に移りました。

 

佐久間:こんな感じで、ベッドがあってL字型の仕事デスクがあって、その奥には本棚と資料棚を置いています。インテリアコーディネーターをしている知人に相談して、事務所っぽく改装したんですよ。リモート会議をしたり編集作業をしたり、あとは企画をまとめることも多いです。

 

 

――デスクの向かいにホワイトボードを置いているのですか?

 

佐久間:これは壁に貼るタイプですね。「今抱えている仕事」や「近いうちに形にしないといけない企画」などをメモしています。主にタスク管理用ですが、家族へのアピール用でもあります。「俺はこんなに仕事をしているから、今はちょっと忙しいぞ!」みたいな(笑)。

 

 

 

――どんなところにこだわったのでしょうか?

 

佐久間:iMacとサブモニターがしっかり置けることと、パソコンのすぐ横に書類やノートを置けることにはこだわりました。テレビ番組を作っていると、リサーチ資料やトークの一覧表、あとはディレクターの編集メモとか、とにかく資料が多いんですよ。それらを見ながら編集するので、資料をバーッと広げられるスペースは必須でした。

 

――奥に本棚と資料棚もありますね。

 

あまりに本が多すぎるので紙の本を売って電子書籍にしたんですが、それでも大量の本が残りました。だから背の高い本棚も必須でしたね。絶対に紙の本で残したいもの……たとえば村上春樹さんの『神の子どもたちはみな踊る』やジェフリー・ディーヴァーの『エンプティー・チェア』とかを置いています。あとは大事な書類を保管したかったので、鍵付きの資料棚も作りました。

 

 

――他にこだわりはありますか?

 

椅子は結構こだわりましたね。テレビの編集スタッフは座っている時間が長いので、編集所には高価な椅子が置いてあるんですよ。収録スタジオも。そこでいろんな椅子に座ってみたんですけど、オフィスチェアだと僕の体型には少し小さくて。僕にとってはラジオブースにあるAKRacingのゲーミングチェアがベストでした。でかい椅子なのでドカッと座れるのが気に入っています。

 

 

――自宅で仕事をするメリットはありますか?

 

佐久間:時間を気にせずゆるく考えられることですね。たとえばテレビ番組の企画をまとめる時、自宅なら「思いつかなくてもいいからとりあえず机に向かうか」くらいの軽い気持ちで考えられます。すぐ横にベッドがあるので、企画がまとまらなければ寝ればいいやくらいのゆるい感じで。

 

でも会社だとそうはいきません。「○○時までに会社を出なければいけない」と、どうしても時間を考えてしまう。

 

――リラックスできる状況がいいのですね。

 

根詰めて仕事をするよりも、自宅でお酒でも飲みながらゆるく考えた方が、いいアイデアが浮かんだり企画がまとまったりすることもあるんですよ。その環境を作り出せるのは自宅ならではなのかなと思います。

 

 

――アイデアがわきやすい状況はありますか?

 

佐久間:単純作業をしている時ですね。仕事に煮詰まった時は考え続けてもなかなかまとまりません。そんな時は逆に仕事から離れて、料理とか掃除とか何も考えない作業をするといいと思います。そうすると意外とアイデアが降ってくるんですよ。頭に残っているものが勝手につながっていくんだと思います。

 

あとは家に家族がいない時は、自宅を歩き回ることも多いですね。ヘッドフォンで音楽を聴きながら廊下やリビングをひたすらウロウロします。疲れたらソファに座ってボーっとしてみたり、ベッドに横になってみたり。そういう時もアイデアが降ってきます。

 

佐久間:ちなみに音楽を聴く時は、自分が知らない曲を聴くことが多いです。知っている曲だと、聴いた時の感情に戻ってしまうんですよ。たとえば学生時代によく聴いていた曲をかければ「懐かしい」と思いますよね。でもそれはノスタルジックな感情が芽生えるだけ。アイデアにはつながりにくい。

 

一方、全く知らない曲を聴くと変な感情は芽生えず、フレッシュな気持ちになれます。それが自分の中で新たな刺激になり、頭の中に眠っている考えやアイデアを勝手に結合させていくんだと思います。

 

 

 

――マンションと一戸建てなら将来的にどちらに住みたいですか?

 

佐久間:う~ん、難しい質問ですね。でもやっぱりマンションですかね。妻の両親が50代後半からマンションに引っ越したんですけど、すごく便利そうなので。エレベーターもあるし、ゴミ出しも楽だし、セキュリティも強いですし。あと2年で僕も50歳を迎えるので、義両親を見ているとやはりマンションがいいかなと思います。

 

 

――ご実家は一戸建てですか?

 

佐久間:そう。そこが迷うポイントなんですよ。妻も僕も実家は一戸建てだったので、もう一度住みたいという願望はあります。ただやっぱりマンションの方が何かと便利なので、一戸建てに住むとしても5~6年ですかね。そのあともう一度マンションに住むのはありかもしれません。

 

……とは言ったものの、めちゃくちゃ面倒くさそうなので実現しなさそうですが(笑)。結局はこのままマンションに住むかなという結論です。

取材・文:中村昌弘 撮影:ホリバトシタカ イラスト:高木ことみ

撮影場所協力:長谷工不動産「スペーシア麻布十番Ⅰ

 

WRITER

中村 昌弘
ライター。「なかむら編集室」代表。住まい・暮らし系のメディアでの取材記事、ビジネス系の書籍の執筆などを手掛けている。 X:@freelance_naka

おまけのQ&A

Q.理想のマンションを教えてください
A.サウナ付きのマンションがあったら最高ですね。水風呂があれば完璧。あと最近のマンションはそうなっているかもしれませんが、コンセントとWi-Fiも重要ですね。共用部のあらゆるところにコンセントが設置してあって、高速Wi-Fiが使える。リモートの時代には必条件と言えるかもしれません。
Q.好きな本を教えてください
A.先ほど話した本以外でいうと、村上春樹さんの『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、SF作家のアイザック・アシモフの『われはロボット』と『ファウンデーション』シリーズ、ジェフリー・ディーヴァーの『ウォッチメイカー』とかですね。