「置き配時代」のマンションが抱える課題
――まず、マンションにおける宅配ボックスには、どのような課題があったのでしょうか。
遠藤匡利さん(以下、遠藤):これまで一般的だった共用宅配ボックスは、設計上の大きな制約を抱えていました。かつては宅配ボックスやメールボックスの面積がマンションの容積率に含まれたため、大型の宅配ボックスを設置しようとすると、その分だけ住戸面積を削らざるを得なくなり、計画上の「せめぎ合い※」が生じていたのです。
※2018年の基準法改正により、宅配ボックスは容積率に含まれない扱いとなりました。
――お部屋を広くするか、宅配ボックスを充実させるか、という選択を迫られていたわけですね。
遠藤:そこへAmazonや楽天などのネット通販が急増し、「荷物が入りきらない」「ボックスの数が足りない」といった問題が常態化するマンションも出てきました。
また、共用だと冷蔵・冷凍品の預け入れが難しいという課題もありました。冷蔵ボックスを導入したマンションもありますが、自分の家の冷蔵庫代わりにして、ずっと荷物を取り出さないといった運用上のトラブルもあったと聞いています。
――コロナ禍で置き配が一気に広まりましたが、玄関前に荷物が放置されることへの懸念も出てきました。
遠藤:そうですね。物流業界の人手不足を受け、再配達を減らすため、国土交通省も置き配を推進しています。ただ、マンション管理の側から見ると、玄関前に大きな段ボールが散乱しているのは、景観上の問題だけでなく、防災や清掃の面でも不都合が起こりやすいです。こうした社会の変化に適応するために、安全に置き配ができる専用の場所が必要だと考えました。
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