マンションの固定資産税評価額とは? 計算方法・調べ方・実勢価格との関係を解説

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マンションを購入すると毎年納めなければならない固定資産税額を算定する基準となるのが、「固定資産税評価額」です。また、都市計画税や不動産取得税、一部の登録免許税の税額も固定資産税評価額を基準として計算されます。
この記事では、土地・建物それぞれの固定資産税評価額の目安や計算方法、中古・新築マンションにおける調べ方、分譲マンションに適用される可能性がある固定資産税の軽減措置の内容を解説します。令和9(2027)年度に予定される評価替えの見通しについても紹介するので、マンション購入後の税負担が気になる方は、ぜひ参考にしてください。

固定資産税評価額のイメージ

▲画像提供:PIXTA

固定資産税評価額とは、不動産の固定資産税額を求める際の基準となる土地・建物の評価額のことです。固定資産税の他、課税自治体の市街化区域内にある不動産に対して課される都市計画税や、マンション購入時にもかかる不動産取得税などの算出にも用いられます。

 

固定資産税評価額は、総務大臣が定める「固定資産評価基準」をベースに、課税主体である市町村長が評価を決定します。東京23区については、例外的に東京都知事が決定権者です。

 

固定資産税評価額をもとに算出された課税標準額に所定の税率をかけ、軽減措置などを適用したあとの金額が、その土地・建物の固定資産税額です。建物は固定資産税評価額と課税標準額は基本的に同額ですが、土地は異なることが多いです。土地はあとで紹介する「住宅用地の特例」の適用を受ける場合には、土地の固定資産税評価額に所定の割合をかけたものが課税標準額となります。

 

 

評価替えで固定資産税評価額が上昇する地域も

▲画像提供:PIXTA

固定資産税評価額は3年に一度、評価替えが行われています。令和8(2026)年度の固定資産税算出において適用されているのは、令和6(2024)年度の評価替えで決定された固定資産税評価額です。

 

令和6(2024)年度の評価替えでは、全国的に地価公示価格が上がった影響を受け、都市部を中心に土地の評価額の上昇傾向が顕著でした。加えて、前々回に当たる令和3(2021)年度の評価替え時に比べてマンションの建築費も大きく上がっていたことから、建物の評価額も上昇傾向にありました。

 

直近の令和8(2026)年地価公示価格でも、地域差はあるものの、特に都市部で上昇傾向が見られます。次回令和9(2027)年度の評価替えでも、エリアによっては土地の評価額が上がる可能性はあるでしょう。

 

 

土地と建物の固定資産税評価額には、それぞれ算定の目安があります。ここでは、土地・建物ごとに固定資産税評価額の目安と計算方法を解説します。

 

 

 

土地(宅地)については「地価公示価格等×7割」を目途に評価を行うのが原則です。地価公示価格とは毎年1月1日時点の標準地1平方メートル当たりの価格で、国土交通省が年に1回3月中旬に公表しています。地価公示価格は、固定資産税評価額のみならず、土地取引、担保評価、相続税路線価など、さまざまな土地評価の基準となっています。

 

ただし、実際の固定資産税評価額は、地価公示価格等の7割だけで決まるものではありません。エリアにおける標準宅地(標準的な規模・形状の宅地)の適正な時価を計算し、その金額をベースに主要街路やその他の街路の路線価を設定して、街路に接する土地ごとに評価額を算出する必要があるのです。評価額の算出方法は街路の発達した市街地か否かで異なり、市街地で適用されるのが「市街地宅地評価法(路線価方式)」、それ以外の地域で適用されるのが「標準地比準方式」です。

 

地点ごとの固定資産税路線価や地価公示価格は「全国地価マップ」で確認できるので、購入予定のマンション付近の価格をチェックしてみるとよいでしょう。

 

 

▶引用:一般財団法人 資産評価システム研究センター「全国地価マップ」

 

 

市街地宅地評価法(路線価方式)

 

市街地宅地評価法(路線価方式)とは、ある路線(道路)に面する土地1平方メートル当たりの価格(固定資産税路線価)をもとに評価額を計算する方法です。マンションの多くは市街地に立地するため、路線価方式を用いて土地部分の評価額を計算します。

 

ベースとなる計算式は「敷地が面する道路の路線価×敷地面積」です。その上で土地の奥行きと間口の比率、接する道路の本数、土地形状などによる影響を加味した「補正率」をかけて、土地ごとの評価額を算出します。

 

 

標準地比準方式

 

標準地比準方式は、利用状況が似ている地域ごとに定められた標準地の1平方メートル当たりの価格を基準として評価額を求める方法です。市街化が進んでおらず、固定資産税路線価を設定する必要性が低い市街地以外の宅地などで用いられます。

 

この方式では、標準宅地の評価額に比準割合(奥行き、土地形状、角地などによる補正割合)を加味したものに面積をかけて土地ごとの評価額を算出します。

 

 

 

建物の固定資産税評価額は、新築時の工事費の5~6割程度が目安とされます。ただし、建物の構造や規模などによって金額が変わるため、あくまでも参考としてとらえてください。評価額の具体的な計算式は次のとおりです。

【建物の固定資産税評価額の計算式】
建物の固定資産税評価額=再建築価格×経年減点補正率

・再建築価格:現時点でまったく同じ建物を新築する場合にかかると想定される費用
・経年減点補正率:経年による資産価値の減少分を考慮するために定められた比率

再建築価格が高く、築浅(経年減点補正率の影響が小さい)のマンションほど、基本的に建物の固定資産税評価額は高くなります。

 

 

▲画像提供:PIXTA

マンションを購入する際、どうすれば固定資産税評価額を調べられるのでしょうか。中古物件か新築物件かによって調べ方が異なるため、それぞれ見ていきましょう。

 

 

 

中古マンションや自宅マンションの固定資産税評価額は、次の3つの方法で確認できます。

 

(1)納税通知書に同封の課税明細書で確認する
(2)固定資産課税台帳で確認する
(3)固定資産評価証明書で確認する

 

以下では各方法の詳細をお伝えします。

 

 

(1)納税通知書に同封の課税明細書で確認する

 

中古マンション、あるいは所有しているマンションの固定資産税評価額を調べる最も一般的な方法は、「課税明細書(課税資産明細書)の確認」です。課税明細書は固定資産税・都市計画税の納税通知書に同封されている書類で、毎年春頃に自治体からマンション所有者へ送付されます。課税明細書を確認すれば、マンションの土地部分と建物部分それぞれの固定資産税評価額、前年度と本年度の課税標準額を把握できます。

 

中古マンションを購入する場合、課税明細書は現在の所有者である売り主のもとに届いています。購入検討者が直接取得できる書類ではないため、不動産会社を通じて売り主に確認してもらう形が基本です。

 

 

(2)固定資産課税台帳で確認する

 

固定資産税評価額や課税標準額は、マンションが所在する自治体の窓口で「固定資産課税台帳」を閲覧することでも確認できます。東京23区の場合は、資産が所在する区を管轄する都税事務所で手続きします。

 

ただし、固定資産課税台帳は誰でも自由に閲覧できるわけではありません。閲覧できるのは原則として所有者本人と同世帯の親族、委任状や同意書を持つ代理人、所有者の相続人、対象資産について権利関係を確認できる借地人・借家人などに限られる点に注意が必要です。また、閲覧には通常手数料がかかる他、本人確認書類などの提示も求められます。

 

一方、縦覧期間中であれば、土地や家屋の価格などが記された縦覧帳簿を無料で閲覧できます。縦覧できるのは、不動産の所有者(納税者)とその代理人です。縦覧できる期間は、毎年4月1日~固定資産税第1期納期限までとなっています。

 

 

(3)固定資産評価証明書で確認する

 

「固定資産評価証明書」を取得して、固定資産税評価額や課税標準額を確認する方法もあります。物件の所在する自治体の窓口(東京23区は都税事務所)で直接請求する以外に、郵送やマイナンバーカードを使ったコンビニでの請求も可能です。ただし、コンビニ交付の対応状況は自治体によって異なるため、事前に確認してください。

 

固定資産評価証明書を請求できるのは所有者や代理人、借地人・借家人などです。また、窓口請求や郵送請求では、本人確認書類の提示あるいは添付が必要です。

 

 

 

すでに評価額が決まっている中古マンションに対し、新築分譲マンションは未完成の状態で購入するケースが多いため、大半のケースで固定資産税評価額がまだ決定していません。

 

ただし、マンション販売会社の営業担当者に確認すれば、大まかな目安を計算して教えてもらえる可能性があります。資金計画を立てる際には、営業担当者から聞いた目安額を見込んでおきましょう。

 

 

固定資産税評価額は、固定資産税額を算出するベースとなる価格です。実際の税額はどのように計算するのでしょうか。

 

原則の計算方法は、以下のとおりです。ただし税率は自治体によって異なる場合があるため、あらかじめ確認しておきましょう。

【固定資産税額の計算方法】
課税標準額 × 標準税率1.4%

マンションを含む宅地や居住用物件に関しては、固定資産税に関する各種軽減措置が設けられています。実際の課税額はこうした軽減措置適用後の金額です。

 

分譲マンションでは、通常「敷地権割合」に応じて、区分所有者ごとの土地の固定資産税・都市計画税の金額が決まります。また、区分所有建物の税額も区分所有者ごとの持分割合によって決まります。それぞれの計算方法は次のとおりです。

【敷地権割合の計算方法(土地)】
敷地権割合=専有部分の床面積÷マンション全体の合計専有面積

【区分所有建物の持分割合の計算方法】
区分所有建物の持分割合=(専有部分の床面積+専有面積の割合に応じて按分した共用部分の床面積)÷マンション全体の合計延床面積
※通常、敷地権割合と同じになる

最終的な土地の固定資産税額は、マンション全体の土地の固定資産税額に敷地権割合をかけたものです。同じく、区分所有建物の固定資産税額はマンション全体の固定資産税額に持分割合をかけることで計算できます。

マンション専有部分の評価額計算の仕組み

▲画像:編集部作成

土地・建物それぞれにかかる固定資産税額、適用された軽減措置の詳細は、先ほど紹介した「課税明細書」に記載されています。

 

 

▲画像提供:PIXTA

分譲マンションを購入する場合に適用される可能性がある、固定資産税の軽減措置を3つ紹介します。

 

 

 

この特例措置の内容は次のとおりです。

種類 面積 軽減内容
小規模住宅用地 1戸当たり200平方メートルまでの部分 固定資産税評価額×1/6
一般住宅用地 1戸当たり200平方メートルを超える部分 固定資産税評価額×1/3

▶引用:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」

1戸当たりの面積で判断されるため、多くの分譲マンションでは小規模住宅用地の範囲内に収まるでしょう。

 

 

 

新築分譲マンションを購入するときは、新築時から5年間、建物分の固定資産税額を2分の1に減額する優遇措置が適用されます。当措置には適用期限が定められており、令和13(2031)年3月31日までに新築された物件が対象です。

 

購入するマンションが長期優良住宅の認定を受けている場合は2年間適用期間が延長され、新築時から7年間同様の減額措置を受けられます。

 

なお、6年目以降(長期優良住宅認定のマンションなら8年目以降)は固定資産税額が当初より高くなりますが、値上げされるのではなく「元に戻る」だけです。加えて、経年減点補正率がかかるので、単純に当初の2倍になるわけではありません。

 

また、令和8(2026)年度の税制改正で、対象となる住宅要件が40平方メートル以上240平方メートル以下(以前は50平方メートル以上280平方メートル以下)に変更されました。以前よりコンパクトなマンションでも減額措置を受けられるようになった反面、240平方メートルを超える広い物件が対象外となっている点に注意しましょう。

 

なお、令和11(2029)年4月1日以後に新築される物件については、災害危険区域等(いわゆる災害レッドゾーン)に立地している場合は、この措置の適用対象外となる予定です。

 

 

 

中古マンションを購入する場合でも、一定の要件を満たす以下のリフォームを実施したときには、建物分の固定資産税の軽減措置を受けられます。主な適用要件と減額割合は次のとおりです。

リフォームの種類 主な適用要件 減額割合
耐震
リフォーム
昭和57(1982)年1月1日以前に建てられた物件であること 2分の1
バリアフリー
リフォーム
・通路等の拡幅、浴室の改良、手すりの取り付けなど所定の内容に当てはまること
・新築されてから10年以上が経過した中古物件で行うリフォームであること
・令和8(2026)年4月1日以降に居住を開始した場合、床面積が40㎡以上240㎡未満であること
3分の1
省エネ
リフォーム
・窓の断熱、床・天井・壁の断熱など所定の内容に当てはまること
・令和8(2026)年4月1日以降に居住を開始した場合、床面積が40㎡以上240㎡未満であること
3分の1
長期優良住宅化
リフォーム
・一定の耐震改修や省エネ改修工事とセットでリフォームを行うこと
・令和8(2026)年4月1日以降に居住を開始した場合、床面積が40㎡以上240㎡未満であること
3分の2

ただし、上記の軽減措置が適用されるのはリフォーム工事が完了した翌年1年分のみです。

 

また、軽減措置の適用を受けるには、工事完了日から3ヵ月以内に必要書類を自宅マンションのある市区町村の窓口に提出する必要があります。該当するリフォーム工事を行ったからといって、自動的に適用されるわけではない点に注意しましょう。

 

 

▶引用:国土交通省「リフォーム促進税制【所得税・固定資産税】について(消費者のみなさまへ)」 

 

 

マンションにかかる税金のイメージ

▲画像提供:PIXTA

固定資産税評価額をベースに計算する税金は固定資産税だけではありません。固定資産税評価額によって税額が決まる税金の種類と計算方法の概要を、以下の表で紹介します。

税金の種類 概要 基本的な計算方法
都市計画税 毎年1月1日時点で市街化区域内に不動産を所有する人にかかる税金 固定資産税評価額×税率0.3%
(制限税率。自治体によって税率が異なる場合あり)
不動産取得税 土地や建物を取得した際に1回だけかかる税金 固定資産税評価額×軽減税率3%(住宅:令和9(2027)年3月31日まで)
登録免許税
(土地の所有権移転登記)
土地の所有権移転に関する登記を行う際にかかる税金 固定資産税評価額×軽減税率1.5%(令和11(2029)年3月31日まで)
登録免許税
(建物の所有権保存登記)
新築建物の所有者に関する情報を登記する際にかかる税金 固定資産税評価額×軽減税率0.15%(令和9(2027)年3月31日まで)
登録免許税
(建物の所有権移転登記)
建物の所有権移転に関する登記を行う際にかかる税金 固定資産税評価額×軽減税率0.3%(令和9(2027)年3月31日まで)

▶引用:総務省「都市計画税」
▶引用:東京都主税局「不動産取得税」
▶引用:国税庁「土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」

▲画像提供:PIXTA

一般的な商品は、一つの物に一つの価格が付される「一物一価」が原則です。一方、不動産には固定資産税評価額を含む5つの価格が存在するとされ「一物五価」といわれます。5つの価格の特徴と目安をまとめると以下のとおりです。

価格の種類 特徴 価格の目安
※地価公示価格=100とした場合
地価公示価格 国土交通省が毎年3月中旬に公表する標準地における土地1平方メートル当たりの価格 100
基準地価 都道府県が毎年9月下旬に公表する基準地における土地1平方メートル当たりの価格 100
路線価
(相続税路線価)
国税庁が毎年7月1日に公表する道路に面する土地1平方メートル当たりの価格 80
固定資産税評価額 固定資産税・都市計画税・不動産取得税などの算出に使われる価格 70
実勢価格
(時価)
不動産が実際に取引された価格 110~120

土地の実勢価格は「地価公示価格の1.1~1.2倍程度」とされますが、これはあくまで一般的な目安に過ぎません。都市部や人気観光地では1.5~2倍に達することも珍しくなく、地価上昇が顕著な都心ではより大きな乖離がみられる地域もあります。

 

 

固定資産税評価額は、マンションを所有していると毎年納めなければならない固定資産税額の算出基準になるだけでなく、都市計画税や不動産取得税など、他の税金を算出する際にも用いられます。

 

中古マンションや所有しているマンションの固定資産税評価額は、所有者へ毎年送付される課税明細書で確認できます。新築マンションの場合は固定資産税評価額が未定のケースが多いものの、販売会社の担当者に確認すると、目安を案内してもらえる場合があります。新築マンション購入の資金計画を立てる際の参考にしましょう。

 

ただし、固定資産税評価額には3年に一度評価替えがあります。近年は都市部を中心に公示地価が上昇傾向にあるため、令和9(2027)年に予定される評価替えでは評価額が上昇するエリアもあるでしょう。今回紹介した軽減措置をしっかり活用し、マンション購入後の経済的な負担を少しでも軽くするよう心がけたいところです。

 

以下の記事では、新築マンションでかかる固定資産税額を購入額別にシミュレーションしています。実際にどれくらいの負担になるのかイメージを膨らませるため、ぜひ併せてご覧ください。

 

 

撮影/石原 麻里絵(fort)

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監修者

竹内 英二(たけうち えいじ

  

 

<保有資格>

  • 不動産鑑定士
  • 宅地建物取引士
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)
  • 住宅ローンアドバイザー
  • 中小企業診断士
  • 不動産鑑定事務所兼宅地建物取引業者

<プロフィール>

(株)グロープロフィットの代表取締役。大阪大学出身。 ※所属会社・役職は取材当時のものです。