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トップメッセージ

株式会社 長谷工コーポレーション代表取締役社長 池上 一夫

住まいと暮らしの
創造企業グループとして
さらに進化し、
未来の社会価値を提供します。

長谷工コーポレーション
代表取締役社長
池上 一夫

現在のマンション市場の展望と課題認識

2020年以降、私たち長谷工グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症による社会変化の影響を受け、従来と異なる様相を示しています。
主要事業エリアである首都圏・東海圏・近畿圏の新築分譲マンション市場は、感染症の拡大を受けて販売センターやモデルルームの営業を休止したことなどにより、2020年度の期初に供給量が大きく落ち込みましたが、緊急事態宣言解除後の6月以降は急速に巻き返し、特に首都圏では通年で2019年度実績を上回る結果となりました。
2021年度に入り、首都圏における新築分譲マンションの販売率は70%程度で推移しており、長谷工総合研究所の年間予測(2021年1月~12月)では、年内の累計販売率80%・供給戸数35,000戸と推定しています。市場が急速に回復し、好調を維持している背景として、コロナ禍における外出自粛や在宅勤務の浸透などにより、生活者が自宅で過ごす時間が長くなり、より良い居住環境を求める要求の高まりが新たなマンション需要を喚起していることが挙げられます。また、低金利が継続する中で、高収入共働き世帯の購買力が向上していることも要因となっています。
私たちは経営課題認識として、長期的には国内人口の減少・少子高齢化により、新築分譲マンション供給の漸減は不可避と見ていますが、足もとの好調は、所得水準の上昇も受けて今後数年続くと予想しています。
一方、地方都市では県庁所在地を中心に、生活に必要な商業施設や病院、行政機関などを徒歩圏に集約するコンパクトシティの形成に向け、駅前の再開発案件などが増えています。長谷工グループにおいても、高齢者世帯の戸建から駅近マンションへの買い替え需要を取り込むべく、デベロッパーとしての参画を進めています。地方都市で新築分譲マンションの供給を拡大することで、マンション管理戸数を増やし、将来のリフォームや大規模修繕につなげていくことが目的です。
また、新築分譲マンション市況の変化に備え、供給量の減少時にも工事ボリュームを保持すべく、賃貸マンションやオフィス、ホテル、物流施設など非住宅案件の受注も増やし、利益確保の体制づくりを進めています。
私たちにとって今後の懸念材料となっているのは、金利の上昇です。現在の低金利がひとたび上昇に転じれば、好調な市場が冷え込む可能性がありますので、常に金利の動きを注視した事業展開が求められると認識しています。
もう一つの注視すべき動向は、今や建設業界においても不可避となっている脱炭素化への流れです。長谷工グループでは、環境問題への的確な対応が企業価値にかかわることを自覚し、事業活動や、技術開発などを通じたCO2排出量の削減に努め、協力会社などサプライチェーンを含めた対応や、マンション入居後のサービス関連事業にも注力しています。

コロナ禍の中で事業を継続、ミッションを遂行

冒頭に述べましたコロナ禍による経営環境の変化を受け、2021年3月期の業績は減収・減益を余儀なくされたものの、後半からの回復が顕著となりました。
コロナ禍の影響が特に大きかったのは、サービス関連事業における大規模修繕工事・リフォームです。緊急事態宣言の発報を受けて管理組合の活動が停滞し、受注の延期が生じた他、施工中案件も入居者さまから感染防止の意向を受けたことなどから、数多くの現場で作業が中断しました。
一方、不動産関連事業は、後半の巻き返しの中でデベロッパー物件の販売が好調に推移し、引渡しも順調に進んだことから、増収・増益を果たしました。
長谷工コーポレーションを中心とする建設関連事業においては、新築マンションの施工を中断することなく、計画通りに引渡しを果たすことができました。
これは、協力会社を含む現場の従業員や営業部員の一人ひとりが感染防止に努めつつ、使命感と誇りを持って仕事に取り組んでくれたことによるものです。私は社長として、コロナ禍における長谷工グループのミッションを伝え、住まいと暮らしの創造企業グループとしての事業継続を求めるメッセージを社内に発信しました。これを全ての従業員が受け止めて理解し、意識のベクトルを合わせて、事業を支えてくれたことに深く感謝しています。
足もとの2022年3月期は、大規模修繕・リフォームが停滞を解消して持ち直しつつあり、新築分譲マンションの引渡しも前年を大きく上回る見込みです。また不動産関連事業は、大型物件の販売好調に加え、保有不動産の売却益も期待できる状況です。以上を前提として2022年3月期の業績は、利益目標である「連結経常利益750億円」の達成を目指してまいります。

中期経営計画にもとづく取り組みの進捗状況

私たちは2020年2月、次の10年間を見据えた「長谷工グループ長期ビジョン~2030年3月期に目指す姿~」を発表し、「連結経常利益1,500億円」を利益水準目標に掲げました。そして同時に、長期ビジョン実現への道筋として、2025年3月期を最終年度とする5ヵ年中期経営計画「HASEKO Next Stage Plan(NS計画)~次なるステージへの成長を目指して~」を策定し、2021年3月期から始動しました。
NS計画は、コア事業の競争力強化として「建設事業の領域拡大」「再開発・建替事業の拡大・コンパクトシティ化への対応」「サービス関連事業の継続強化」に注力すること、ならびに「不動産関連事業の投資拡大」「海外事業への投資」等を重点戦略に挙げています。
建設事業では、新築マンションにおいて従来から得意とする板状型マンションのみならず、タワーマンションの建設を拡大する方向を打ち出し、首都圏・関西圏でシェアを伸ばしています。ただし受注競争が激しいタワーマンションは、利益率が板状型マンションより低いため、バランスを見ながらボリューム確保を目指します。また前述の非住宅案件についても、受注領域拡大の一環として進めていきます。
また同事業では、生産技術革新として「BIM(Building Information Modeling)」の導入・活用とDX(Digital Transformation)の推進を掛け合わせ、工期短縮や業務負担軽減、原価削減を図っています。BIMについては、住戸プランの提案をAI技術で自動化する次世代設計システムとの連動など、将来に向けた開発も進めています。生産技術革新による原価低減効果は着実に表れており、引き続き活用現場を拡げながらパフォーマンスをさらに上げていきます。
サービス関連事業では、「LIM(Living Information Modeling)」を通じて、マンション居住者さまの生活情報をセンサーで収集・見える化し、高度なサービス提供につなげる取り組みを進めています。
建物に地震センサーを取り付け、地震発生時の影響を細部まで正確に予測するといった活用や、住戸内のセンサーで居住者のバイタルデータを収集し、健康面のアドバイスを行うといった活用が挙げられます。一方、社内ではDXの推進と合わせ、マンパワーが求められる管理業務の高効率化を図ります。
こうしたデジタル活用による原価削減や業務効率化による費用圧縮について検証を進め、グループ全社に展開していくことで、利益を確保したいと考えています。
さらにサービス関連事業では、国内における中古住宅市場の拡大を見据え、仲介事業に注力していきます。新築と比較して好立地が多く値ごろな中古物件は、購入者が自分好みのリフォームをするなど、ニーズが大きく、今後一層の市場成長が見込まれます。
不動産関連事業の投資拡大は、地方都市へのデベロッパー展開によるマンション分譲事業のエリア拡大や賃貸不動産の保有・開発を主な対象とし、私募REITの創設によって開発案件の多様化を図るなど、新たな収益源の確保を図るものです。これらは順調な滑り出しを示していますが、金利上昇リスクを十分に注意しつつ資本投下を行います。
海外事業への投資は、将来に向けた収益基盤の確立を目的とするものです。米国・カリフォルニアでは、商社と協業でシニア向け住宅や賃貸マンションの開発プロジェクトに参画しており、NS計画の期間中に売却益の計上を見込んでいます。また今後は、自社単独でこうした海外プロジェクトを手掛けるべく、ノウハウを吸収しているところです。
NS計画が目指す利益水準目標は、2025年3月期における「連結経常利益1,000億円」と「5期合計連結経常利益4,000億円」です。達成の見込みは楽観視できませんが、現在までの進捗はまずまずの状況で、引き続き一定規模の受注高をコンスタントに確保し、目標をクリアしていく考えです。

CSR経営の確立と更なる発展を目指して

NS計画では、「CSR経営の確立」を基本方針の一つに定めています。私たちのCSR経営は、長谷工グループの持続的成長に求められるESG要素を踏まえ、事業を通じた環境・社会課題の解決を図る取り組みとして実践していくものです。
環境(E)要素では、脱炭素化に貢献する新たな取り組みとして、材料由来のCO2排出量を通常品と比較して最大で20%削減する「H-BAコンクリート」を独自開発しました。従来の環境配慮型コンクリートは、地下部分にしか使用できない制約がありましたが、「H-BAコンクリート」は地上部分への使用を可能としており、今後、採用可能な新築賃貸マンション全てに本製品を採用していく方針です。また資源循環によるCO2排出量の削減として、施工現場で発生する木くずを燃料にしたバイオマス発電を行い、再生可能エネルギーとして現場の仮設電力に利用する取り組みを開始しました。さらに社内では、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同すべく、ワーキンググループを発足し、フレームワークの策定を進めています。
社会(S)要素では、ニューノーマルに対応したマンションづくりとして、リモートワークのニーズである防音機能を備えた個室や、快適性を重視した共用ワーキングスペースの設置に取り組んでいます。また、災害に強いマンションづくりとして、雨水を貯めて非常時の飲料水を確保する「スマート・ウォーター・タンク」の設置などを行っています。さらに、地域活性化に寄与する古民家再生事業、高齢化社会を見据えたシニア事業など、社会性の高いビジネスも継続的に展開していきます。
社内の人材に関する多様性・ジェンダー施策では、いわゆる「女性活躍」に限定することなく、今後は「個性活躍」をキーワードとして取り組んでいきたいと考えています。さまざまな人材が生き生きと活躍する働きやすい職場を目指して、従業員からの意見を取り入れる仕組みを構築し、制度改善や意識改革に反映していきます。
ガバナンス(G)要素では、社外取締役による外部視点からの監視と提言を積極的に活かし、経営の透明性およびガバナンスの実効性を高めるとともに、企業価値の拡大につなげています。当社は現在、取締役13名のうち社外取締役5名とし、各人の専門的で幅広い知見・経験をもって、経営に携わってもらっています。これによって近年は、取締役会が活性化し、社内取締役も刺激を得て、活発な討議が行われています。特に海外事業など、社内に十分な知見を得ていない領域については、極めて有意義な提言をもらっています。
当社事業をご支援いただいている株主・投資家の皆さまに対しては、利益還元の拡充に向けて業績を向上し、ご期待に応えてまいります。また迅速かつ的確な情報開示に努めつつ、積極的なIR活動を通じて対話の機会を設け、ご意見を経営に反映していきます。
長谷工グループは、これからも人々の暮らしに欠かせない住まいとサービスを提供する企業として、時代の変化を捉え、社会の要請と信頼に応えながら、進化し続けていきます。そのためには、持続的な成長が必要であり、中期経営計画にもとづく成長戦略を着実に遂行してまいります。