2025年4月にスタートした中期経営計画「HASEKO Evolution Plan」(2025年度~2030年度)は、サステナビリティ経営を価値創造の中核に位置づけています。
当社は、「都市と人間の最適な生活環境を創造し、社会に貢献する。」という企業理念と、その実現に向けたサステナビリティビジョンのもと、『「住まい」と「暮らし」のリーディングカンパニー』として、暮らしを取り巻く社会課題を事業によって解決していくことを目指しています。「HASEKO Evolution Plan」では、「継承×変革→進化」を目指す方向性として掲げており、2年目に入った今、サステナビリティ経営の「進化」と「深化」を次の段階へと進めていきます。
初年度に重点を置いたのは、サステナビリティ推進体制の再構築と情報発信・開示の強化です。その一環として、経営層のコミットメントを高めるため、2025年度から役員の業績連動報酬(株式報酬)の算定式に、非財務指標と資本効率性指標を反映する「企業価値向上係数」を組み込んでいます。さらに、2026年4月には統合開示推進室を新設し、サステナビリティ推進担当役員である私が一元的に管掌する体制を整えました。グループ各社・各部門との連携を深め、非財務KPIのモニタリングと進捗管理の強化に取り組んでいます。
統合開示推進室の発足は、SSBJ基準の適用※に向けた開示体制の高度化と、財務・非財務情報の統合的な発信力強化を目的とするものです。環境関連情報はTCFD・TNFD両提言に沿った開示を継続し、SBT認定下でのCO2排出量削減を進めてきました。人的資本、人権、サプライチェーンに関する主要KPIは概ね計画通りに進捗していますが、Scope3を含むCO2排出量削減は中長期的な重要課題であり、サプライチェーン全体での取組みを引き続き強化していきます。
2026年7月に、マテリアリティを見直し、公表しました。改定の起点となったのは、投資家の皆様との対話から得た示唆です。継続的な対話で強く受け止めたのは、単なる開示の充実にとどまらない、「事業を通じてどのような社会的価値を生み出すのか」というストーリーへの期待でした。ROICやKPIとの連動、価値創造プロセスとの統合―こうした要請に応えるべく、特定プロセスを刷新し、社長インタビューや役員・グループ会社経営層へのアンケートを通じて、経営の意思を色濃く反映させました。これは、「社会の要請に応える」受動的な姿勢から、「事業を通じて社会に価値を提供する」能動的な姿勢への転換でもあります。
導き出された6つのマテリアリティ―くらしとまち / 気候変動 / 資源・自然 / 人財 / 人権・労働 / 信頼・基盤―と20の取組み課題は、企業理念とサステナビリティビジョンを起点としています。「住んでいたい空間」「働いていたい場所」「大切にしたい風景」「信頼される組織風土」の4つのテーマで構成する価値創造領域の中で、それぞれ具体化されます。
新たなマテリアリティは、当社の成長ストーリーと整合する領域に取組みを集中させる、経営判断の羅針盤としての役割を担います。中でも当社らしさを最も体現するのが「くらしとまち」です。住まい手の安全・安心、快適性、多様性、コミュニティ形成といった多様な価値を、事業を通じて提供していきます。
なお、サステナビリティビジョンも、マテリアリティの見直しを踏まえて、近い将来の見直しの是非を視野に入れています。ステークホルダーとの対話から得た期待や課題を経営戦略に落とし込み、その進捗を丁寧に発信していくことが、私自身の責務であると考えています。同時に、社員一人ひとりが自らの業務とサステナビリティの接続点を見出せる環境づくりも、推進担当役員としての重要な役割と捉えています。
6つのマテリアリティと20の取組み課題を実践する仕組みとして、当社は「長谷工グループサステナビリティ行動計画」を運用しています。同計画は、上述の4つの価値創造領域を基本構成に、各領域で定めた「2037年(創業100周年)ありたい姿」に向かう取組み項目と、その達成度を測るKPIで構成されています。グループ全体の事業活動を組み込み、年度ごとに見直しや改善を重ねながら、着実に実践するとともに、その進捗の可視化を進めていきます。
マンションをはじめとして当社がつくりあげる住まいや建物は、お引き渡しの瞬間に完成するものではなく、数十年にわたる人々の暮らしや利用を通じて、その価値が育まれていきます。長谷工グループが手掛ける事業は本質的に長期の責任を伴うものであり、世代を超えて続く価値を生み出すことが求められます。サステナビリティ経営は、こうした事業特性から自然に導かれる経営の在り方だと、私は捉えています。
また、サステナビリティ経営の実効性は、当社単独で完結するものではありません。設計・施工から販売・流通・管理に至るまで、多数の協力会社や取引先の皆様とともに事業を営む当社にとって、サプライチェーンを構成するパートナーとの対話と共創は不可欠です。グループ各社、そして地域・行政との連携を深めながら、業界全体の持続可能性向上への貢献を視野に入れて取組みを進めていきます。これもまた、当社が果たすべき責任の一つであると認識しています。
2027年2月、当社は創業90周年を迎えます。ブランドメッセージ「思いを、はせる。」に込めたとおり、過去から現在、そして未来に至るすべてのステークホルダーに思いを巡らせ、対話を重ねながら、持続可能な未来をともに切り拓いていきたいと思います。住まいと暮らしの未来に対して、社会から託された責任を真摯に受け止め、その責務を果たし続けてまいります。
長谷工グループのサステナビリティ
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