特集

2025.05.07

AIを活用した家に住むとしたら?声優・村瀬歩が語る「僕が考える最強のマンション」

  • XX
  • facebookfacebook
  • BingBing
  • LINELINE

長谷工マンションミュージアムを見学した声優の村瀬歩さんに、感想や見どころをたっぷり語っていただきました。

 

村瀬歩さん01

▲村瀬歩(むらせ・あゆむ)さん/2011年に声優デビュー。声の音域が広く、中性的な役や女性の役も演じる。代表作に『ハイキュー‼︎』(日向翔陽)、『魔入りました!入間くん』(鈴木入間)、『ひろがるスカイ!プリキュア』(夕凪ツバサ/キュアウィング)、『王様ランキング』(カゲ)など X:村瀬歩

村瀬歩さんと江口均さん

▲村瀬歩さん(左)と、長谷工マンションミュージアム館長の江口均さん(右)※所属先・肩書きは取材当時のもの

――まずは館長にもお話を伺います。今回ゾーン7「これからの住まい」の展示をリニューアルしたんですよね。

 

館長 江口 均さん(以下、館長):マンションは非常に進化が早いんです。開館して6年が経ったこともあり、リニューアルしました。15年後のマンションをお客様に体験していただける展示となっています。

 

村瀬 歩さん(以下、村瀬):ゾーン7を体験してみましたが、技術的には実現できそうな感じでしたよね。

 

館長:普通に見える壁紙がじつはモニターになっているなどの技術はもう開発されているんですよ。

 

村瀬:近い未来に実現する下地は整っているんですね。

 

館長:そうなんです。ただ、プライバシーやセキュリティの面は課題が残っています。AIとの会話が当たり前になると、それを聞かれる可能性も出てくる。ですので、プライバシーを守る技術の開発が重要です。それをお客様にいかにお伝えするかも大切になりますね。

 

 

――館長にもうひとつ質問です。この長谷工マンションミュージアムには、どんな人に来てもらいたいですか?

 

館長:マンションについてあまり知らないような人にも「マンションっていいものだね」と言ってもらえるようなミュージアムにしたいと思っています。戸建てにしか住んだことのない方が、セカンドライフの住居としてマンションを検討し、ご来館されることもあります。そういう方にも、マンションの魅力を発見してもらいたいですね。

 

村瀬:たしかに内容は濃いけど、僕のようなマンション好きだけではなく、ライト層でも楽しめる展示だと思います。

 

 

――ここからは村瀬さんにお話を伺います。リニューアルされたゾーン7「これからの住まい」を体験してみた感想は?

 

村瀬:館長もおっしゃっていたとおり、少し前まで「未来」だったことがもう現実になってきているのを感じました。AI技術によって実現する未来の暮らしを、いかに文化として根付かせていくか、いろいろな努力や工夫をされているのが伝わってきました。

ゾーン7を体験する村瀬さん

▲ゾーン7を体験する村瀬さん

――技術的な面で驚いたことはありますか?

 

村瀬:洗面台の鏡の前に立つと、脈拍や心拍数や体重、不足している栄養素などが表示される仕組みです。あの機能、自宅にほしいです。

 

 

――展示レベルほどではないですが、洗面空間を活用し、こころと身体の健康促進を目的としているIoT住宅・マンション向けのヘルスケアサポートサービスは存在していて、このサービスを採用している賃貸物件に長谷工グループの社員が実験で住んでいるそうです。床に体重計が埋め込まれていて、そこに足を置くとすぐに体重が表示されるようですよ。

 

村瀬:ゾーン7で見た映像でも、床に埋め込まれていたんですね! フラットだし、わざわざ体重計を出して乗らなくてもいいのが素晴らしい!

 

 

――もしも村瀬さんがAIを活用した家に住むとしたら、どんな機能を利用したいですか?

 

 

村瀬:スケジュール管理をお願いしたいです。「今日は歩きたい気分なんだけど、現場までどういうルートで行ったらリフレッシュできる?」とか相談したい。僕の歩く速度を把握した上で、「〇時に家を出てください」とか「そろそろお風呂を出ないと間に合いませんよ」と教えてくれると助かります。スマホで検索することもできるけど、それだと僕の歩く速度に合わせた情報じゃないので、「あれ、もしかして1本早い電車に乗れたんじゃない?」ってことがけっこうあるんですよ。僕の速度に合わせた情報をくれるとうれしいですね。

 

 

――長谷工マンションミュージアム全体で、一番印象に残ったところはどこでしょう?

 

村瀬:僕は都市開発や設計が好きなので、BIM(ビム)の設計シミュレーションがやっぱりおもしろかったです。すごくよく考えられているなと思って。たとえば、設計シミュレーションでできた建物は、上のほうの階が透明のガラスで、他は黒っぽいガラスでした。おそらくプライバシー保護のためで、下からあまり見えない上のほうの階だけ透明のガラスになっているんだと思います。

 

この設計シミュレーションは簡易版だったけれど、もしも一から都市計画ができて、公開空地を作れたり容積率アップを目指したりすることができたら3時間くらい遊んじゃう。いっぱい植樹したり、保育園を作ったりしたいです。

タブレットを使って設計シミュレーションを行う村瀬さん

▲タブレットを使って設計シミュレーションを行う村瀬さん

――村瀬さんはBIMシミュレーションの日当たりチェックで、夕方になると入り口側の日が陰ることを心配していましたよね。

 

村瀬:はい。おそらくあの入り口側の場所が共用部で、みんなの憩いの場になると思うんですよ。だから、そこが陰ってしまうのはちょっともったいない。だったらL字形よりも、大きい建物と小さい建物を分けて建てるとか、いっそのこと真ん中にどでかいタワマンをドンと建てたほうが、日当たりはいいかもしれませんね。

 

 

――そこまでシミュレーションできたらきっと楽しいですよね。

 

村瀬:できるなら「僕の考える最強のマンション」を作りたい。眺望にもこだわりたいし、北向き・南向きでそれぞれに利点があるから建物の向きも考えたいですね。外廊下と内廊下はどっちも良さがあるし、間取りもワイドスパンをもっと活かしたいし……。とにかくめちゃくちゃこだわりたいです。

 

 

――もうすっかり住む側というより作る側の視点なんですね。

 

村瀬:あの設計シミュレーションを体験するとそうなりますね。「こういうのどうかな?」とか、アイデアが次々と湧いてくる。しかもあのマンション、駅近だしショッピングモールっぽい建物もあったし、周りにもマンションがあるし、いいお値段で動きそうですよね(笑)。架空のマンションだけど、リアルに想像できます。

 

 

――マンションについて、もっと知りたいことはありますか?

 

村瀬:マンションというより都市開発なんですけど、たとえば再開発って、各社がどんなふうにコンペに参加しているのか、それに合わせてどのくらいの人数が動くのか、そういう具体的なことを知りたいです。
あとは、人件費とか工費についてももっと知りたい。やっぱり高級物件になると、アウトフレームになって梁を少なくしてとか、全館空調とかワイドスパンといったニーズが高まりますよね。だけど工費を安く抑えつつお客様のニーズに応えるにはどうすればいいのか、そういう設計側のことも気になります。

マンションについて楽しそうに語る村瀬さん

▲マンションについて楽しそうに語る村瀬さん

――今後、マンションプラスの企画でやってみたいことはありますか?

 

村瀬:マンションを作った人と実際にそのマンションに行って、完成に至るまでの裏話や苦労話を聞きたいです。名マンションが作られる過程に思いを馳せながら、建築を楽しみたい。あわよくば共用部の仕様についても説明してもらいたいです。

 

 

――マンションの共用部は、やっぱり見どころが多いですか?

 

村瀬:見どころしかないですね。ファサードからすでに萌えるので。

 

 

――村瀬さんはどういったファサードが好みなのでしょうか?

 

村瀬:やっぱり植栽が豊かだと、それだけで気分がいいなと思います。噴水があったりとか。最近だと「パークタワー西新宿」のファサードがとても素敵ですね。中に入ると、上から滝のように水が落ちるオブジェがあるんです。維持費はかかりそうだけど、これがあるだけですごく癒やされそう。あと、「虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」や「白金ザ・スカイ」のファサードも美しいですね。

 

 

――マンションを見るとき、どんなところに注目していますか?

 

村瀬:僕は基本的に見学はしないんですが、外から見るときは、まず駅からの動線を見ます。駅からの帰り道に商店街や公園があると、「ここでどんな暮らしをするんだろう」と妄想しちゃいますね。で、マンションのファサードが見えてくる。「ここに毎日帰れるのか」と想像するとワクワクします。

 

 

――建物を見るだけではなく、そこに住む人々の暮らしも想像しているんですね。最後に、長谷工マンションミュージアムのおすすめポイントを教えてください。

 

村瀬:日本に集合住宅ができてから現在に至るまでの歴史を学べるところです。学ぶといっても難しいお勉強をするのではなく、実物の展示などで楽しみながら体感できます。たくさんの人がマンションの発展に関わって、たくさんの思いが受け継がれてより住みやすくなっていることを実感すると、自分の家にも今まで以上に感謝できるはず。あと、未来の技術が詰まったゾーン7の「これからの住まい」はぜひ体験してもらいたいですね!

 

 

[前編はこちら]
マンションマニアの声優・村瀬歩が、リニューアルした「長谷工マンションミュージアム」に行ってみた

 

 

取材・文:吉玉サキ 撮影:清水純一 撮影場所協力:長谷工マンションミュージアム

 

WRITER

吉玉サキ
北アルプスの山小屋で10年働いていたライター。著書に『山小屋ガールの癒されない日々』(平凡社)『方向音痴って、なおるんですか?』(交通新聞社)がある。 X:@saki_yoshidama

おまけのQ&A

Q.最近、お気に入りのマンションは?
A.村瀬:好きなマンションはたくさんありますが、たとえば「広尾ガーデンヒルズ」は本当に植栽が豊かで、広尾駅から歩いて行くだけで楽しい気持ちになります。最近だと「三田ガーデンヒルズ」もクリエイティビティを感じていいですね。