特集

2025.06.10

家賃9万円でプール&メイド付き!? 佐藤健寿の奇になる住まい「バンコクで働く日本人の日常に迫る・前編」

  • XX
  • facebookfacebook
  • BingBing
  • LINELINE

本連載「佐藤健寿の奇になる住まい」ではこれまで、世界各地のユニークな住宅やその土地独自の“住まいのかたち”を紹介してきました。今回は趣向を変え、バンコクで暮らし働く日本人2組のリアルな日常に迫ります。変わった住居や建物ではなく、ごく普通の日本人がどんな住まいを選び、どんな毎日を送っているのか。 バンコクで出会った日本人の「奇になる住まい」をお届けします。

佐藤健寿

▲佐藤健寿(さとうけんじ):写真家。TV番組「クレイジージャーニー」でも知られる他、『奇界遺産』シリーズ(エクスナレッジ)は写真集として異例のベストセラーに。写真展は松任谷由実さんとの企画写真展「写真展 能登 20240101」他、過去、ライカギャラリー東京/京都、高知県立美術館、山口県立美術館、群馬県立館林美術館などで開催。「佐藤健寿展 奇界/世界」は全国6ヵ所を巡回し訳13万人を動員。5月15日より品川キヤノンギャラリー Sにて写真展「U.F.O. - Unknown / Forgotten / Overlooked」開催

奇になる住まいアジア編、佐藤さんと最後に訪れたのはタイ・バンコク。日本から遠く離れたアジアの大都市だが、ここではコンドミニアム、アパートメント、サービスアパートメントなど多様な住まいのかたちが広がる。

バンコク市街

▲バンコク市街。目に入る高層建築はほぼコンドミニアムとのこと

日本人駐在員や現地採用で移住する日本人も増え、日本語が通じるエリアや日本食レストランも多い。都心部の高級エリアから、ローカル色の濃い下町エリアまで、それぞれが異なる表情を持ち、住まい選びの選択肢も豊富だ。

 

今回取材した井澤翔太さん(43歳)は、北海道釧路出身。

井澤翔太さん

▲井澤さんの居住地遍歴は、釧路→札幌→バンコク

日本の会社を辞め、知人の紹介で全く訪れたことのなかったバンコクへ。「海外で働くなら今しかない」と、30代半ばで思い切って移住を決意した。現地の日系企業に就職し、愛猫とともにバンコク生活が始まった。

井澤さんの愛猫

▲井澤さんの愛猫。名前はモナ

「正直、タイじゃなくても良かった」という彼の言葉通り、海外移住のきっかけは“勢い”が決め手だった。しかし今やバンコク生活は10年目を迎えている。

 

バンコク生活10年で、引っ越しは5回。最初は郊外のローカルエリア・オンヌットで、広くてペット可の部屋を探した。「バンコクではFacebookグループや個人のエージェント経由で物件探しをするのが一般的です。日本のような資格は不要で、個人仲介も多いですね」

ペット用の自動トイレ

▲コンパクトながらも使い勝手の良いキッチンや収納棚、ペット用の自動トイレ

ベッドルーム

▲さっぱりとしたベッドルーム。ベッドの向かいにはパソコンデスクが置かれていた。

窓から見える庭園

▲窓から見える緑豊かな庭園は公共施設かと思いきや、個人宅とのこと

今の住まいは1LDKのサービスアパートメント。家賃は日本円で9~10万円で、ジムやプールなどの共用施設に加えて、週2回のメイドサービスも含まれている。この価格帯でメイドによるハウスキーピング込みというのは、日本では決して考えられないが、バンコクでは珍しいことではないという。中心地にも近く、窓からは緑と開放感が広がる。「周囲に高いビルが少ないので、静かでとても気に入っています」と話す。

フィットネスジム

▲コンドミニアム内のフィットネスジム

共用プール

▲共用施設のプール。都市の喧騒を忘れさせてくれる、住民の憩いの場

コンドミニアムのエントランス

▲コンドミニアムのエントランス。オーナーの趣味が炸裂したファンシー空間となっている

敷地内に祀られたガネーシャ像

▲敷地内に祀られたガネーシャ像。タイならではの信仰と日常が溶け合う風景

「バンコクは渋滞がひどいので、移動はビッグスクーター。休日には気軽に郊外へツーリングしたり、ナイトマーケットでスパイスを買ってカレーを作ったりしています」

キッチンに並ぶスパイスの瓶

▲キッチンに並ぶスパイスの瓶たち。井澤さん厳選セレクトが並ぶ

最近は日本でも流行のサウナ巡りが密かな楽しみ。バンコクでも日本人観光客がサウナに集まるのがちょっとしたブームになっているという。

 

高級住宅地での静かな暮らしと、ローカル屋台やナイトマーケットでの賑わい。都会とローカル、両方を行き来するのがバンコク流の日常だ。

 

「良い意味でも悪い意味でも、タイは“適当”でゆるい。僕にはそのゆるさが合いました」

 

日本語だけでも生活できる環境や、日系スーパー・本屋の充実も暮らしやすさの理由。元バンドマンである井澤さんは、タイのローカル音楽シーンにも注目している。インディーズバンドを観るためライブハウスに通うのも楽しみのひとつ。

棚に並ぶレコードコレクション

▲棚に並ぶレコードコレクション。最近のお気に入りのピクシーズ

家賃を含む生活費は月20万~25万円程度。プログラマーの給料も現地採用で20万~30万円台が一般的。「物価は上昇しているし、円安の影響も感じますが、東京と比べて極端に高いわけではないです」

 

 

バンコクでの暮らしにすっかりなじんだ井澤さんだが、じつは「そろそろ次の引っ越しも考え中」。よりローカルなエリアで、外国人が少ない環境も体験してみたいという。

 

日本で働きながら、海外移住、海外での就業を考えている人は多い。そんな人へのアドバイスを聞いた。「海外移住に興味があるなら、深く悩みすぎず、まずは気軽に来てみてほしい。Airbnbなどを活用して短期で住んでみるのもおすすめです」

デスクスペース

▲仕事や趣味の時間を過ごすデスクスペース

大きな窓からバンコクの高層ビル群

▲大きな窓からはバンコクの高層ビル群が広がる

一度この“ゆるさ”に慣れてしまうと、日本に帰るのはなかなか難しい――そう笑う井澤さんは、異国バンコクの空気感に包まれていた。

 

「今回の連載では珍しい、普通の住居でした。日本のマンションとも大きな違いはありませんが、日本や中国とも違う、バンコクらしい独特の南国ビンテージ感が漂っていて、自然光もたくさん入る部屋で、個人的にはすごくいい空間だなあと思いました。この値段でプールやメイドサービス、ジムがあるのもすごい。あとは井澤さんと暮らす猫がとにかく可愛かったですね」(佐藤)

 

平日の夕暮れ時、足早に家路を急ぐ人の流れをせき止めるように、バンコクの繁華街サイアムスクエア近辺のMBKの入口広場は人の熱気に包まれていた。ローカルムエタイ大会が開催されていた。お腹ぽっちゃりの中年男性から、女性ファイター、キッズまで、当然ながらさまざまな人たちが参加している。中でも熱くなったのは、若手クラスのタイトルマッチとおぼしき試合だ。選手当人たち以上に、応援陣の熱気があつい。両コーナーともに家族親戚ご近所全員集合しているのではないか、というような大人数であり、試合内容よりもむしろ応援合戦から目が離せなかった。

ムエタイの試合

▲バンコク・MBKで行われていたムエタイの試合

「バンコクにはもう何度も来ていますが、MBKはなんでも揃う便利な場所なので旅の間も一度は立ち寄りたくなります。普通のお店もマニアックなお店も揃っていて、バンコク的なカオスを一番感じられるデパートだと思います。ムエタイの試合は何度か観たことがありますが、試合前の祈りの踊りが好きですね。ワイクルーというそうなんですが、これから殴り合う二人が優雅に舞うことで、殺伐感がやわらぐといいますか。のんびりしているんだけど、激しいときは激しい、というタイらしいわけの分からなさがムエタイにも表れていると思います」(佐藤)

 

 

街角の熱気:★★★★★(5/5) 

 

 

佐藤さんが旅先で選んだお土産をマンションプラス読者の皆様へプレゼントします。

 

今回はバンコクのお土産「ムエタイ人形カレンダー」。

ムエタイ人形カレンダー

 

「ムエタイの試合に感化されて、MBKの中のムエタイ・ショップで買いました。ゾウ+ムエタイ=タイ。万年カレンダーとして死ぬまで使えるのでぜひ」(佐藤)

 

ムエタイ人形カレンダー、佐藤さんのサイン入りポストカードをセットで1名様にプレゼントします。 

佐藤さんのサイン入りポストカード

【応募方法】
1.マンションプラスXアカウントを「フォロー」@mansion_plus
2. キャンペーン投稿に「リプライ」または「引用ポスト 」
※キャンペーン投稿はアカウントプロフィールページに固定します。
3. 応募完了
※既にフォローされている方は「リプライ」または「引用ポスト 」で応募完了です。

ぜひご友人やご家族と一緒にキャンペーンへご参加ください!

【応募期間】
2025年6月24日(火) 23:59まで。

【プレゼント内容】
ムエタイ人形カレンダー1個
佐藤さんのサイン入りポストカード1枚

【ご当選者】
1名様

【ご当選について】
当選者の方には Xアカウント @mansion_plus から、7月上旬頃までにDMにてご連絡いたします。

【注意事項】
※ご応募前に、必ず応募規約.pdf を確認し、同意の上で応募してください。
応募規約.pdf
※日本国内にお住まいの成人の方のみご応募いただけます。
※非公開アカウントの方は対象外となります。
※当選のご連絡は当アカウントからのみ行いますので、偽アカウントにご注意ください。
※当選の際に、カード情報の入力を求めたり、外部サイトのリンクをお送りすることは一切ございません。
※当選者の発表は、当選された方へのご連絡をもって代えさせていただきます。落選された方へのご連絡は行いませんので、ご了承ください。また、当選状況に関するお問い合わせには対応できかねます。
※当選後、DMにてご連絡いたしますが、指定の期限内にご返信がない場合は無効となります。
※本キャンペーンはお土産プレゼント企画のため、当選者の方には、お土産を受け取った後にご自身のアカウントで感想を投稿していただくことが条件となります。
※天災や不可抗力の事由により、キャンペーン内容が変更となる可能性がございます。あらかじめご了承ください。

 

 

撮影・取材:佐藤健寿 文:山忠

PHOTOGRAPHER

佐藤健寿
写真家。『奇界遺産』シリーズ(エクスナレッジ)は写真集として異例のベストセラーに。ほか著書に『世界』『PYRAMIDEN』『CARGO CULT』など。TBS系「クレイジージャーニー」ほか出演多数。写真展は過去、ライカギャラリー東京/京都、高知県立美術館、山口県立美術館、群馬県立館林美術館などで開催。「佐藤健寿展 奇界/世界」は全国6ヵ所を巡回し約13万人を動員。

https://kikai.org Instagram @x51  X @x51

 

WRITER

山忠
マンションについて勉強中の旅好きライター。ランニング、和菓子が好き。