夜間の漏水や突然の警報、どう対応してる? 全国約45万戸のマンションを見守るアウル24センターに迫る

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長谷工コミュニティの総合監視センター「アウル24センター」は、24時間365日体制で管理を請け負い、全国のマンションを見守っています。居住者の安全・安心な日常を支える業務内容や役割とは。足立昌彦さんに聞きました。

――アウル24センターはどのような役割を担う施設ですか?

 

足立昌彦さん(以下、足立):アウル24センターは、長谷工コミュニティによる、マンションの安全・安心な暮らしを24時間365日体制で支える総合監視センターです。設備の異常を監視し、居住者さまからの緊急のご連絡を受け付けることで、マンションと管理現場をつなぐ司令塔の役割を担っています。

 

 

――対象となるマンションの数は?

 

足立:長谷工コミュニティ・長谷エコミュニティ九州・長谷エコミュニティ 沖縄の3 社(※)が管理する、すべてのマンションが対象です。北海道から沖縄まで全国約5,700棟又は4,700組合、約45万戸ほどに及びます。お問い合わせの件数は自然災害の有無などによって変動はありますが、ひと月に5000〜7000件ほどです。
※管理会社グループ合計2026年9月末現在

 

 

――監視はどのような仕組みで行われているのでしょうか?

 

足立:マンションによって異なります。警報設備があるマンションについては、警報が作動すると監視ルームの大型モニターに警報の内容が表示される仕組みです。一方で、警報設備を設置せず、緊急時に居住者さまから直接ご連絡いただく運用のマンションもあります。

 

 

――居住者の方からは、どのような連絡が寄せられるのですか?

 

足立:多くは共用設備の異常や漏水、火災警報など緊急性の高いものですが、生活のお困り事など、幅広い相談が寄せられます。内容によって、管理員や警備会社、協力業者、フロント担当者など必要な関係者と連携しながら対応を進めていきます。

 

限られた情報の中で状況を整理し、必要な対応につなげていくことが求められます。たとえば断水のご連絡をいただいた際には、一住戸のみなのか、一系統なのか、マンション全体なのかによって初動対応が大きく変わります。

 

冒頭で申し上げたとおり、アウル24センターの役割は、マンションと管理現場を「つなぐ」ことにあります。

マンションから警報が発せられると、前方のモニターに警報の内容などが示される

▲マンションから警報が発せられると、前方のモニターに警報の内容などが示される

――センサーが異常をキャッチしてから、あるいは居住者の方から連絡を受けてから対応するまでの流れを教えてください。

 

足立:給水ポンプや排水ポンプ、受水槽、機械式駐車場などのセンサーが異常を感知したら、まずマンションの管理室に警報が通知されます。管理室からアウル24センターに直接、警報が送信されるマンションもあれば、警備会社を経由して通知されるマンションもあります。

 

管理員が勤務しているマンションですと、日中は管理員に警報の内容を確認してもらったり、発信機の復旧操作をお願いしたりすることができます。設備業者などの手配も、管理員と連携しながら進めていきます。

 

夜間は管理員が不在となりますので、警備会社の警備員に出動を依頼し、現地の状況を確認してもらいます。その結果を踏まえながら状況を見極め、適切な初動対応につなげていきます。

 

一方、警報設備がないマンションでは、居住者さまからのお電話が唯一の情報源となります。限られた情報の中で状況を把握し、緊急性を判断しなければならない場面も少なくありません。

 

 

――警備会社やその他の協力業者とは、どのように連携されているのでしょうか?

 

足立:管理員による軽作業や機器操作によって解決されるケースもありますが、専門的な対応を要する場合には協力業者の手配を行います。その際に活用しているのが、センターで長年蓄積してきた「マンションファイル」です。

 

このファイルには、マンションごとの設備情報や対応履歴が整理されており、監視ルームで警報の監視を担う監視員や、居住者さまからのお電話を受けるオペレーターはその情報を参考にしながら、それぞれのマンションに適した協力業者を選定し、出動を依頼します。

 

 

――フロント担当者との連携方法についても教えてください。

 

足立:センターでは、事象の発生から対応完了までの経過を時系列で記録しています。出動依頼の内容や現地到着の確認、対応状況の推移などを報告書としてまとめ、社内ポータルに登録することで、フロント担当者へ確実に引き継いでいます。

迅速に状況を確認し、警備員の出動要請などの初期対応をした後、各支店にも正確に情報が共有され、2次対応にあたる

▲迅速に状況を確認し、警備員の出動要請などの初期対応をした後、各支店にも正確に情報が共有され、2次対応にあたる
画像出典:長谷工コミュニティ

――監視員やオペレーターに求められるスキルとは何でしょうか。

 

足立:アウル24センターに電話をかけてこられる居住者さまは、基本的に困っている方です。ただし、たとえば同じ漏水のご連絡でも、少量のものと大量のものとでは緊急性が異なります。居住者さまが動揺されていることも多い中、限られた情報から状況を正確に把握しなければなりません。

 

もちろんマニュアルに沿った対応も大切ですが、それだけでは判断できないケースもあります。居住者さまのお話を丁寧に伺いながら状況を整理し、必要な対応につなげていくコミュニケーション力と判断力が、我々にとっての重要なスキルです。

 

 

――まず「安心してもらう」ということも大切になってきそうですね。

 

足立:おっしゃるとおりです。私はオペレーターに対して「受話器の向こうにいる居住者さまの、笑顔を取り戻すところまで思いをはせて対話してほしい」と伝えています。不安な気持ちに寄り添い、安心していただくためには、機械的な応対ではなく、人としての温かさや気配りが欠かせません。センターにはさまざまな監視設備やシステムがありますが、最終的に居住者さまに安心を届けるのはここで働く「人」です。

 

 

――さまざまな相談が寄せられる中で、マニュアルだけでは対応できないケースもあるかと思います。判断に迷う相談や状況にはどのように対応しているのでしょうか?

 

足立:オペレーター個人の判断に頼るのではなく、責任者と情報を共有しながら対応方針を検討していきます。過去の対応事例や運用ルールも参考にしながら、居住者さまの安全確保を最優先に判断しています。

 

特に緊急時は「判断を遅らせることによるリスク」と「過剰な対応による影響」の両方を考慮する必要があるため、1人で抱え込まず、チームで対応することを大切にしています。

足立昌彦さんプロフィール

▲足立昌彦さん。長谷工コミュニティ アウル24センター部長。東京支店、北関東支店、長谷工コミュニティ九州、東京南支店、東京西支店でフロント業務を担当し、東京西支店マンション管理部長を経て現職。※所属先・肩書きは取材当時のもの

――マンションの高経年化や居住者の高齢化が進んでいますが、これに伴って増えている相談などはありますか?

 

足立:ご高齢の居住者さまからのご相談やお困りごとに関するお問い合わせは増えつつあります。一方、建物の老朽化に伴うご相談は、今のところ増加傾向にはありません。ただ、配管など設備の老朽化に伴うご相談については、今後増えていく可能性があると思います。

 

当センターとしても、設備の監視や異常時の対応にとどまらず、居住者さまのさまざまなお困り事を受け止めて安心につなげる窓口へと役割を広げていかなければならないと考えています。

 

それに伴い、緊急時対応を担うアウル24センターと異なり、弊社のもうひとつの顧客相談窓口として管理全般に関する窓口業務を担う「長谷工コンタクトセンター」とより緊密に連携し、24時間365日、居住者さまの声を確実に受け止める体制づくりを進めています。

「居住者さまのさまざまなお困り事を受け止め、安心につなげていきたい」と足立さんは話す

▲「居住者さまのさまざまなお困り事を受け止め、安心につなげていきたい」と足立さんは話す

――近年、マンション管理にもAIやDXの導入が進んでいます。アウル24センターにはどのような形で導入していきたいと考えていますか?

 

足立:AIやDXを活用すれば、入電予測の精度向上やナレッジの共有、監視員とオペレーターの後処理業務の効率化などにより負担が軽減され、より迅速で正確な対応につなげられると期待しています。

 

しかし、私たちが目指しているのは、AIに人の役割を置き換えることではありません。不安を抱えた居住者さまに寄り添い、状況を汲み取りながら、安心していただけるよう対応することは、やはり人だからこそできることです。AIやDXは、人による対応をより充実させるための手段として活用していきたいですね。

 

 

取材・文:亀梨奈美 撮影:石原麻里絵(fort)

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WRITER

亀梨 奈美
不動産ジャーナリスト。不動産専門誌の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

X:@namikamenashi

おまけのQ&A

Q.居住者の方に日頃から知っておいてほしいことは?
A.足立:お困りのことがあれば何でもお気軽にご相談くださいと言いたいところなのですが、我々の役割は「つなぐ」ことだと考えていますので、この言い方ですと少しおこがましいかもしれません。ですので、何かあったらアウル24センターの存在を思い出していただければと思います。私たちが目指しているのは、単に設備を監視するセンターでも、電話を受けるコールセンターでもありません。24時間365日、住まいと暮らしの安心を支える存在として、居住者さまのお困り事に寄り添い続けていきます。