マンション購入の初期費用の内訳|費用を支払うタイミング・安くする方法を紹介

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マンションの購入を検討している方の中には、「初期費用の内訳は?」「どれくらいの資金が必要?」といった疑問を持つ方もいるでしょう。

マンション購入時には、頭金や手付金、諸費用など、さまざまな初期費用がかかります。そうした初期費用の支払いが難しいときには、マンションの価格帯を見直す、諸費用を住宅ローンに組み込むといった方法が有効です。

本記事では、マンション購入時の初期費用の内訳や支払うタイミング、支払いが難しい場合の対処法を解説します。初期費用を抑える方法についても紹介するので、マンションの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

初期費用参考

 

マンションを購入する際は、頭金、手付金、諸費用がかかります。ここでは、それぞれの費用について詳しく解説します。

 

 

 

頭金とは、不動産の購入価格のうち自己資金で支払う部分を指します。マンション購入時には、物件価格の一部を頭金として支払い、残りは住宅ローンを利用する形で支払うのが一般的です。

 

住宅金融支援機構の調査によると、2023年度に「フラット35」を利用して新築マンションを購入した方の平均頭金は、購入価格の22.7%でした。

 

たとえば、4,000万円の新築マンションなら、約900万円を頭金として用意し、残りの約3,100万円を住宅ローンで借りることになります。

 

頭金を多く用意すると、ローンの借入額が減り、毎月の返済負担や利息の総額を抑えられるだけでなく、審査が有利に進むことも期待できます。

 

▶引用:住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」

 

 

 

手付金は、マンション購入時に売買契約を結ぶ際、買い主が売り主に支払うお金です。売買契約の成立を示す「証約手付」としての役割を持ち、住宅ローンには含めません。相場は購入価格の5%~10%程度です。

 

手付金には「解約手付」としての意味もあり、買い主が契約を解除する場合は手付金を放棄し、売り主が解除する場合は手付金の倍額を返還する必要があります。

 

さらに、手付金には「違約手付」としての性質もあり、契約当事者が債務不履行を起こした場合、相手方は手付金を違約金として没収できます。

 

契約が滞りなく進んだ場合、実務上、手付金は購入代金または諸費用の一部に充てられるため、最終的な支払総額は変わりません。

 

 

 

マンション購入時には、さまざまな諸費用がかかります。諸費用の一般的な目安は、新築マンションで購入価格の3%~6%、中古マンションでは6%~9%程度とされています。諸費用の主な内訳は次の通りです。

  費用項目 概要
住宅ローン関連費用 事務手数料 ・住宅ローン契約時に金融機関に支払う手続き費用
ローン保証料 ・契約者が返済不能になった際に、保証会社が金融機関へ残債を肩代わりする仕組みを利用するための費用
火災保険料・地震保険料 ・火災や地震による損害を補償するための費用
登記関連費用 司法書士報酬 ・登記手続きを行なう司法書士へ支払う報酬
登録免許税 ・不動産の所有権や所有権移転、抵当権設定の際に課される税金
税金・契約関連費用 印紙税 ・売買契約書に貼付する収入印紙の費用
固定資産税・都市計画税清算金 ・固定資産税は、土地や家屋などの固定資産を所有する方に毎年課される税金
・都市計画税は、原則として市街化区域内の土地や家屋を所有する方に課される税金
・起算日をもとに日割り計算で支払う
不動産取得税 ・不動産購入時に課される税金
マンション管理費用
(新築マンションのみ)
修繕積立基金 ・新築マンション購入時、将来の大規模修繕に備えて一括で支払う費用
管理準備金 ・管理組合の運営開始時に必要な資金として一時的に徴収される費用
不動産会社関連費用
(中古マンションのみ)
仲介手数料 ・不動産会社に支払う報酬で、マンションの価格に応じて上限は異なる
その他の費用 引越し費用 ・新居への引越しにかかる費用
家具・家電の新調費用 ・新しい生活に向けての家具や家電の購入費用

次に、マンション購入時の初期費用を支払うタイミングについて確認していきましょう。

 

 

 

新築マンションの場合、契約締結時に売買契約の証として手付金を支払います。一方、中古マンションでは手付金に加え、仲介手数料の半額を支払います。

 

仲介手数料の支払いのタイミングは不動産会社ごとで異なりますが、原則として契約時に半額を支払い、引渡し時に残額を支払います。

 

 

 

引渡し時に支払う初期費用は次の通りです。

新築マンションの場合 ・司法書士報酬
・登録免許税
・印紙税
・ローン手数料
・ローン保証料
・火災保険料、地震保険料
・修繕積立基金
・管理準備金
・固定資産税清算金、都市計画税清算金
・引越し費用
など
中古マンションの場合 ・司法書士報酬
・登録免許税
・仲介手数料(半分)
・印紙税
・ローン手数料
・ローン保証料
・火災保険料、地震保険料
・固定資産税清算金、都市計画税清算金
・引越し費用
など

新築マンションでは、修繕積立基金や管理準備金など、管理組合の運営開始にともなう一時的な費用がかかる点が特徴です。一方で、中古マンションでは仲介手数料が発生するため、資金を確保しておく必要があります。

 

 

 

引渡し後に発生する初期費用には、新築マンション・中古マンションを問わず、以下のような費用が挙げられます。

 

・固定資産税、都市計画税
・不動産取得税
・修繕積立基金
・管理費
・メンテナンス代、リフォーム代
・駐車場代

 

マンション購入では、メンテナンスやリフォームが必要になるケースもあるため、事前に費用を見積もっておくと安心です。

 

 

初期費用参考

 

マンション購入時には、初期費用の負担が大きな壁となることがあります。ただ、たとえ資金が不足しているとしても、見つけた理想の物件を諦めなければならないとは限りません。次に、初期費用の支払いが難しい場合の対処法を解説します。

 

 

 

マンションの価格が上がれば、頭金をはじめとする初期費用も増えます。初期費用の支払いが厳しい場合、その後30年、40年と続く住宅ローンの返済も負担が大きく感じられるかもしれません。

 

無理のない返済計画を立てるためにも、検討しているマンションの価格帯を見直してみましょう。

 

 

 

金融機関によっては、諸費用を住宅ローンに含めることが可能です。どうしても購入したいマンションがあるものの、初期費用の準備が難しいという場合、この方法を活用すれば負担を軽減できます。

 

住宅ローンに組み込める諸費用には、仲介手数料、登記費用、住宅ローンの保証料、火災保険料などがあります。一方で、不動産取得税や引越し費用などは、原則住宅ローンの対象外となるため、自己資金での支払いが必要です。ただし、引越し費用を住宅ローンに組み込める金融機関もあるため、念のため利用する予定の金融機関に確認しておきましょう。

 

 

 

父母や祖父母などから資金援助を受ける場合、直系尊属からの住宅取得等資金の贈与に関する特例を活用できます。この特例では、省エネ等住宅なら最大1,000万円、その他の住宅でも最大500万円まで贈与税が免除されます。

 

また、自治体によっては住宅購入を支援する補助金制度を設けています。補助金制度の活用により初期費用の負担を軽減できる可能性があるため、事前に調べておくと良いでしょう。

 

▶引用:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

 

 

初期費用参考

 

マンション購入時の初期費用は、購入前の工夫や条件の見直しによって負担を軽減することが可能です。最後に、初期費用を抑えるための方法について解説します。

 

 

 

住宅ローンを選ぶ際には、金利だけでなく手数料についても確認しましょう。事務手数料やローン保証料など、さまざまな費用が発生するため、総額がどの程度になるかを事前に金融機関に確認しておくと安心です。

 

金融機関によって手数料体系は異なるため、十分に比較検討した上で最適な借入先を選びましょう。

 

 

 

火災保険料を抑えるためには、必要な補償のみを選択し、不要な補償を省くことが有効です。また、1年契約よりも最長5年までの長期契約を選ぶと、割引が適用され、保険料の低減が期待できます。

 

地震保険も同様に、補償範囲や金額を確認し、自分に合ったプランを選ぶことが大切です。地震保険も火災保険の契約によっては最長5年までの長期契約が可能で、保険期間に応じた割引が適用されます。

 

地震保険は、建物の耐震性能や建築年によって割引を受けられる場合もあります。契約前に保険内容を見直し、補償とコストのバランスを考えながら選びましょう。

 

 

 

引越し費用は、新年度を迎える春先、休日や祝日に高くなる傾向があります。そのため、繁忙期や休日を避け、料金が安い平日に引越しをすると費用を抑えやすくなります。

 

また、引越し業者によって料金やサービス内容が異なるため、複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討することも重要です。一括見積もりサービスを活用すれば、効率良く最適な業者を選べます。

 

 

マンション購入時には、頭金・手付金・諸費用といった初期費用がかかります。支払いのタイミングは、契約時、引渡し時、引渡し後の3つに分かれます。

 

初期費用の支払いが難しい場合は、マンションの価格帯を見直す、諸費用を住宅ローンに組み込むといった方法が有効です。また、父母や祖父母などの直系尊属からの資金援助や、自治体の補助金制度を利用するのも効果的です。

 

さらに、仲介手数料の交渉や住宅ローン手数料の比較、火災保険や地震保険の契約内容の精査といった方法で初期費用を抑えることも期待できます。マンションを購入する際は、初期費用の内容について十分に理解し、無理のない資金計画を立てましょう。

 

監修者

高槻 翔太

<保有資格>

  • 宅地建物取引士
  • FP技能士2級
  • 日商簿記2級

<プロフィール>

不動産・建設会社で土地有効活用のコンサルティング営業経験(6年)。売買や駐車場の活用、リフォームの提案などに従事。不動産・金融特化のライターとして不動産系メディアでの執筆実績多数。