【物件ファンコラボ企画 彼女がマンションを買った理由 vol.2】 不思議な縁に引き寄せられたテラス付き1LDK。自由にのびのび、猫との暮らし

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読めて探せる不動産エンターテインメントサイト「物件ファン」と、マンションプラスによるコラボ企画の第2弾。自分でマンションを購入した女性たち六者六様のお部屋とリアルな暮らしを紹介する本企画。今回は、東京で暮らすMさんのケースをお届けします。コラボ連載第1回はこちらから。

Mさん(会社員)

▲Mさん(会社員)/ 東京都出身。大学卒業後、出版社に入社し、文芸編集者として13年間勤務。その後はIT企業へ転職し、現在はクリエイティブチームのブランディングマネージャーを務めている。30代でマンションを購入

東京都心。地下鉄の構内から地上へ出て洗練されたオフィス街の空気を感じながら歩いていくと、いつの間にか景色が変わり、静かな住宅街にたどり着きます。そこにあるのは、落ち着いた佇まいのマンション。丁寧に整えられた植物が上質さを添える建物の一室が、Mさんの暮らす場所です。

 

オートロックの共有部を通り抜け、玄関前でインターホンを押すと、1階の角部屋からMさんがにこやかに姿を見せてくれました。お部屋の間取りは1LDK。リビングに進むと、真っ先に目に飛び込んでくるのは壁一面の大きな窓。その奥に、穏やかな空気をまとったテラスが広がっています。

ビングの窓の向こうに、光に満ちたテラスが広がる

▲独特のやわらかな空気が隅々にまで行き渡ったMさんのお部屋。リビングの窓の向こうに、光に満ちたテラスが広がる

お部屋を購入したのは、2021年、Mさんが30代後半のとき。それまでは、六本木や代々木上原などの賃貸マンションで暮らしていました。心のどこかに「次に引っ越すなら、家を買うのもいいな」という思いはありつつも、なかなか踏み切るタイミングがなかったそうです。

 

そんなMさんにとっての転機は、コロナ禍でした。当時、代々木上原のメゾネットでパートナーと同棲していたMさん。コロナ禍により在宅勤務となり、自宅で過ごす時間が増えたことで、「家の居心地のよさ」を意識するようになったといいます。同棲生活の中で、パートナーと「もしも家を買うなら、どんな家がいい?」と話し合ったこともあったそうですが……。

ソファの横にうず高く積まれた本の大半は文芸書。フロアランプは「FLOS(フロス)」のもの

▲元文芸編集者らしく、ソファの横にうず高く積まれた本の大半は文芸書。フロアランプは「FLOS(フロス)」のもの

「ところが、住みたい場所も、求める部屋の広さも、相手となかなか意見が合わなくて。『それなら、無理に一緒に住まなくてもいいのかも……』と思うようになったんです」

 

家に対するイメージに違いがあったことから、自然とそれぞれが理想とする暮らしを追い求めることに。そうしてMさんは、自分ひとりの「居心地のいい家」を探し始めたのです。

 

 

Mさんが家を探すにあたって重視したのは、間取りや費用に加えて、立地でした。実家が東京の都心だったMさんは、現在住むマンションが建つエリアに幼少期から親しみを感じていたそうです。また、コロナ禍を経験したこと、自分の親が歳を重ねたことで「親の近くに戻りたい」という気持ちも強くなっていたとのこと。

リビングのソファはお気に入りの場所のひとつ

▲リビングのソファはお気に入りの場所のひとつ。窓から光が注ぎ、日中は読書をするにも照明いらず

結果的にMさんとお部屋の縁をつないだのは、なんとMさんが勤める会社の同僚だったそうです。

 

「じつは、この部屋、以前は会社の同僚が住んでいたんです。この辺りはファミリータイプの部屋が多くて、一人暮らし用の間取りは少ないんですよね。『このエリアにそんな部屋があるんだ』と思っていたら、私が家探しをしていることを知っていた同僚が別の場所に引っ越すことになり、『この部屋、もし買いたいなら不動産屋とつなぐよ』と言ってくれて。エリアや間取りも理想的だし、テラスも素敵だし、すぐに『買いたい!』と伝えました(笑)」

 

さらに、Mさんとこのお部屋は、別の不思議な縁でもつながっていました。

 

「その同僚のマンションと、私の母が暮らしていたマンションが、なんと隣同士だったんです。当時、父は仕事でニューヨークにいて、母だけが日本に残っていて……。母自身、自分の暮らすマンションのすぐ隣に、一人暮らし向けの部屋があるなんて知らなかったみたい。私も驚きました」

ティルマンスの写真など、友人や家族から贈られたというアート作品が並ぶ

▲ティルマンスの写真など、友人や家族から贈られたというアート作品が並ぶ

お部屋にぴったりなじむコーヒーテーブル

▲お部屋にぴったりなじむコーヒーテーブルは、お祖父さまから譲り受けたオーダーメイドだそう

マンションの購入は、人生の中でも大きな決断。「この部屋でいいのかな?」「支払いは大丈夫かな?」など、不安や迷いを感じる人も少なくありませんが、Mさんは「この部屋の購入を決めたとき、そこまで強い不安はなかったかも」と振り返ります。

リモートワークはダイニングテーブルで行う

▲週の半分は出社、半分はリモートワークというスタイルで働くMさん。リモートワークはダイニングテーブルで行う

「いまの時代、転職は珍しくないですよね。それと同じように、この部屋に一生住み続けるぞ!という強い意志はないんです。お気に入りの部屋ではあるけれど、もし生活に変化があれば、そのときは売ったり貸したりすればいいと思っていて。そういう意味では、この部屋を選んだとき、土地の価格が下がらないか、売りやすい条件を満たしているか、みたいなことは意識しました」

 

加えて、Mさんの背中を押したのは愛猫たちの存在でした。

スコティッシュフォールドのロクちゃん

▲レコードプレーヤーの上で日向ぼっこをするのが大好きな、スコティッシュフォールドのロクちゃん。取材中はベッドの中にそっと隠れていましたが、もう1匹、ミックスのアカちゃんも同居中

「私、猫を多頭飼いしていて。賃貸だと1匹はOKでも、多頭飼いはなかなか難しいんですよね。将来的に猫との暮らしが脅かされる可能性があるなら、この子たちと安心して暮らせる場所があってもいいなと思ったんです」

ベッド左側のこんもりとした山に、アカちゃんが隠れている

▲ベッド左側のこんもりとした山に、アカちゃんが隠れている

マンション購入前、Mさんの心の中には、もうひとつ大切な気持ちがありました。それは、「好きなものに囲まれて暮らしたい」という夢。

 

「賃貸のときは、次にどんな家に住むかわからないから、大きな家具は避けていたんです。でも、心の中ではずっと『いつかは好きなものに囲まれて暮らしたい』と思っていて。それが、なんとなく賃貸で暮らし続けているうちに、気づいたらあと少しで40歳……。このままだと、好きなものを選ぶときにいつまでも躊躇しそうだと思ったんですよね」

 

自分の理想を形にしたお部屋に出会い、Mさんの生活は一変。

イギリスのインテリアブランド「TOM DIXON.(トムディクソン)」ペンダントライト

▲リビングテーブルの上には、Mさんお気に入りのペンダントライト。イギリスのインテリアブランド「TOM DIXON.(トムディクソン)」のもの

それまでは、アートは人からもらうことが多かったそうですが、入居後、初めて心がときめくアートを自分の意思で手に入れたそうです。お部屋の居心地を左右する家具や小物も、実家で使っていた愛着のあるものと組み合わせながら、新しいお気に入りを少しずつ増やしているのだとか。

外苑前の家具店で見つけたソファ、「BFGF」のクッション

▲外苑前の家具店で見つけたソファに、LAのアーティストが手がけるブランド「BFGF」のクッションが並ぶ

「ここに越してきてひとりで過ごしていたとき、私、自然と『やったあ』と声が出ちゃったんです(笑)。ささやかだけれど、好きなものを集めたこの空間にいられることがうれしくて。自分の心地いい居場所をつくることで、安心感がすごく高まるのを感じています。人生の主導権を、自分の手で握れている感覚。家の購入はもちろん不安もあるけど、そもそも生きていれば、不安は付きものじゃないですか。だったらその中で、自分の幸せを少しでも増やしていきたいなと思うんです」

広いテラスが印象的な1LDKの間取り

▲広いテラスが印象的な1LDK。間取りは、購入した当時の状態から変わらない

マンション購入後、Mさんが大きく手を加えたのは、リビングと寝室を区切る壁。もともとは壁と扉でしっかりと仕切られていましたが、思い切って取り払い、品のあるガラス戸を設けました。扉を開けておけば、ゆったりとしたワンルームのような広がりも楽しめます。

リビングと寝室を区切るガラス戸

▲リビングと寝室を区切る壁をガラス戸にしたことで、開放的な1LDKに

「あとは、クロスを張り替えて、寝室の収納を小さめのウォークインクローゼットに変えたくらい。キッチンやバスルームには手を加えず、フローリングも以前のままです。部屋の購入時、まだ築15年ほどで状態もよかったので、無理に変えようとは思わなかったですね」

ブラウンのフローリング

▲ツヤのあるブラウンのフローリングは、築20年近くとは思えないほどきれいな状態

使えるものはそのまま活かすことで、リノベーション費用を最小限に。「部屋の購入時は、親から支援を受けて頭金を入れ、ローンは35年で組みました」とMさん。当初の予算より少しオーバーしたものの、土地の価格が上がり続けている都心の状況を見ると、「いまが一番安いのかもしれない」と思ったそうです。

 

「70代までローンの支払いが続くので、念のため団信(団体信用生命保険)には入っています。特定の病気になったとき、ローンの一部が免除される制度ですね。ローンの支払い額自体は、賃貸の家賃とそんなに変わらなくて。マンションの管理費を合わせても、トータルでは賃貸のときと同じくらいの出費だと思います」

 

 

さて、それではMさんがこのお部屋でどんなふうに過ごしているのか、覗いてみましょう。まず目を引くのは、寝室の白い壁に映し出されるプロジェクターの映像。

寝室の壁にプロジェクターを投影

▲寝室の壁にプロジェクターを投影し、リビングのソファに腰をかけて映像を楽しむのが、Mさんお決まりのスタイル

「寝室のピクチャーレールにかけたポスターは簡単に動かせるようになっていて、映画やドラマを観たくなったときは、さっとポスターを移動します。ひとりでゆっくり楽しむこともあれば、友だちと集まって、お酒を飲みながら恋愛リアリティショーを見ることも(笑)。この部屋に引っ越してから、以前より友だちと集まる機会が増えました」

 

そしてMさんがもっとも気に入っているのが、日当たりのいい広々としたテラス。ウッドデッキ敷きのテラスには、自ら選んだソファやパラソルが置かれています。夜風が心地よい季節には、友人を招いてテラスで風を感じながら、おいしいお酒や料理を楽しむこともあるそうです。

天気の良い日はテラスで読書

▲天気の良い日はテラスで読書をしながらウトウトすることもあるそう。マンション側が管理しているグリーンのおかげで、外からの視線も気にならない

好きな作家はカポーティ

▲好きな作家はカポーティ。とくに、みずみずしい感性や表現力が凝縮された初期作品を好んで読むのだとか

「ストーブもあるから、ちょっとくらい寒くても平気なんです。友だちとテラスでわいわい過ごすのも好きだけど、ひとりでソファに座って本を読む時間もすごく好きで。たまに猫もテラスに出てきて、一緒にソファでぼーっとしています」

 

自分が心地よくいられる時間を、なにより大切にしているMさん。好きなものに囲まれてイキイキと暮らすその姿こそが、お部屋に満ちた独特のやわらかな空気をつくり出しているのかもしれません。

Mさんに抱っこされたロクちゃん

▲取材の最後に、Mさんに抱っこされたロクちゃんの愛らしい姿をパチリ

物件DATA
所在地:東京都
築年:2007年
面積:50㎡
リノベーション費:200万円

 

WRITER

くまのなな
東京都在住のフリーライター。散歩中におうちの外観をつい見てしまう。 @kmn_nana

おまけのQ&A

Q.初めての一人暮らしは、どんな部屋だった?
A.人生で初めての一人暮らしは、六本木7丁目のマンションの一室でした。たしか1Kだったかな。新築できれいでしたがとにかく狭くて、小さな洋室とキッチンがあるくらいのミニマルな間取り。当時は編集の仕事で帰りも遅く、ほぼ寝に帰るだけの生活でしたね(笑)。猫との暮らしも、その部屋からスタートしました。立地重視で選んだこともあって満足度は高く、一度は契約も更新しています。周囲に飲食店が多く、職場にも近かったので、帰りにひとりで食事をするのはもちろん、同僚や友人と飲みに行きやすかったのも大きなポイントでした。あの頃はあの頃で、けっこうエンジョイしていたと思います。