鉄骨造の建物の設計自由度向上とコスト削減を実現異幅柱接合部工法

概要

「異幅柱接合部工法」は、建物をより低コストで合理的に設計するために、角形鋼管の「異幅柱接合形式」の径差が大きい場合でも適用できることを目的として開発した技術です。
本工法の設計法を用いて、通しダイアフラムが上階柱に先行して破壊しない板厚となるように調整することで、上階柱と接合部パネル及び下階柱の径差を150mm以下まで適用可能にします。また、接合部パネル及び下階柱の大きさは、300mm以上800mm以下まで対応可能です。

  • 通しダイアフラムとは
    鉄骨の柱、梁及び接合部パネルを結合するための鋼板です。
工法の概要

採用メリット

在来工法とのコスト比較

異幅柱接合部工法を適用した場合、在来工法(テーパー管形式)と比較して、柱梁接合部1か所当たり10万円程度のコスト低減効果が期待できます。

開発の目的・背景

鉄骨造の建物において、倉庫のように最上階の屋根が軽い場合や、複合施設のように上下階で用途や階高が異なる場合、上階の柱幅を下階よりも小さくする場合があります。このように、上下階の角形鋼管の柱幅が異なる場合、従来は上方に向かい柱径を絞るテーパー管を接合部パネルに用いていましたが(下図(a))、製作難易度が高く、コストアップや納期に留意する必要がありました。一方で、上部通しダイアフラムを介して上階柱と接合部パネルを単純に接合する異幅接合形式(下図(b))を採用する場合もありますが、上階柱と下階柱の径差は一般社団法人日本建築学会の鋼構造接合部設計指針によって、50mmまでに制限されています。

上下階で柱梁が異なる場合の在来工法(柱梁接合部構成)

詳細情報

構造性能評価

青木あすなろ建設株式会社、株式会社淺沼組、株式会社安藤・間、北野建設株式会社、株式会社鴻池組、五洋建設株式会社、鉄建建設株式会社、株式会社長谷工コーポレーション、矢作建設工業株式会社の総合建設会社9社共同で、日本ERI株式会社より構造性能評価(ERI-K22001)を取得しました。