住まいながらの耐震補強を可能に柱の耐震補強工法
『後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法』

概要

「後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法」は、腰壁やそで壁がつく柱との間に高精度の部分スリットを設置することで柱の変形性能を向上させる耐震補強工法です(技術評価取得済み)。

  • 後施工部分スリットとは
    耐震補強工法の一つである耐震スリットのことで、部分スリットではありますが、残存部を薄く残すことで完全スリットと同等の耐震補強効果が得られます。
完全スリット
部分スリット

採用メリット

本工法の特徴

後施工部分スリットの施工風景
  • 完全スリットと同等の補強効果
  • 片側から工事を行うため住戸内へ立ち入ることなく、住まいながらの耐震補強工事が可能
  • はつり工事が不要で、騒音・振動・粉塵を抑制

採用実績

2011年3月~2020年9月の期間に145件の集合住宅や学校、病院、事務所などで採用されています。

開発の目的・背景

柱の耐震性能を向上させるには、地震時の柱の変形性能を高めるのが効果的です。そこで、当社がこれまで培ってきたマンションの設計・施工技術に、ロンビックジャパンが保有する耐震スリット施工の技術を融合し、開放廊下側から腰壁及びたれ壁付きの柱に高精度の部分スリットを設置することで、住まいながら柱の変形性能を高める耐震補強工法を2011年に開発しました。 従来よりさらに、採用箇所を増やせるように、適用範囲を拡大しました。

詳細情報

(一財)日本建築防災協会の技術評価取得および更新

「後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法」は、完全スリットと同等の耐震補強効果が得られるものとして、2011年2月に(一財)日本建築防災協会の技術評価を取得しました。また、2016年6月の評価更新時には適用範囲をそで壁付き柱などにも拡大し、2021年にはスリットの形状の変更、既存建物のコンクリート強度の範囲を拡大しました。

本工法の適用範囲

本工法の適用範囲は、2011年2月の評価取得時には以下の1に限定されていましたが、2016年6月の評価更新時に2~5を、2021年8月の評価更新時に6~8を適用範囲拡大しました。(対象は既存RC造と既存SRC造)

  1. 1.腰壁及びたれ壁付き柱の垂直スリット
  2. 2.腰壁及びたれ壁が付いたそで壁付き柱の垂直スリット
  3. 3.そで壁付き柱の垂直スリット(柱際、中間)
  4. 4.そで壁付き柱の水平スリット
  5. 5.既存耐震スリットの改修
  6. 6.腰壁・たれ壁付き柱のスリット形状の追加
    従来の開口部まで開けたスリット形状を、開口部とスリットの間にコンクリート片を残すスリット形状を追加
  7. 7.そで壁付き柱の垂直および水平スリットに2方向スリットを追加
  8. 8.既存建物の適用コンクリート強度の上限値を、従来の27N/mm2から36N/mm2に拡大

2011年2月評価取得時

2016年6月評価更新時

2021年8月評価更新時

追加のスリット形状
そで壁付き柱の2方向スリット