東京近郊マンションの資産性をプロが徹底解説。価格高騰下で後悔しないための「負けない買い方」とは

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都心部のマンション価格高騰によって注目される「東京近郊」マンションの魅力をYouTubeで発信する「東京近郊不動産マニア」。インフレや金利上昇が進む今、気になるマンションの資産性や買い時とは?

――都心部と東京近郊エリアでは、マンションの資産性の考え方は変わるのでしょうか?

 

2LDKさん(以下、2LDK):都心部と東京近郊エリアでは、ここまでの価格の上がり方がまったく異なります。もちろん東京近郊エリアもこの十数年、高騰基調にあったわけですが、都心部の上がり方は特に近年、著しいものがあります。

 

とはいえ、都心部にも濃淡があり、湾岸エリアなど大きな再開発があって、これから街が成長していくという期待感があるエリアが大きく上昇した一方で、昔から人気のある高級住宅地のようなエリアは、上昇率で言えばそこまで大きくありません。

 

すまいよみさん(以下、すまいよみ):東京近郊エリアもここ十数年、価格は上昇基調にあり、現在も上がっています。都市部ほどではないにしても、賃金上昇が見込まれる今後5年、10年ほどは堅調に推移するのではないでしょうか。

 

とりさん(以下、とり):最近は都心部のマンション価格が顕著に上昇していることもあって「将来性」や「リセールバリュー」ばかりが議論されがちです。しかし、東京近郊、特に郊外寄りのエリアでは、資産価値の「上昇」ではなく資産価値の「維持」が重視されます。将来売却する際に持ち出しなく売れるかどうか、つまり住宅ローン残債を上回る金額で売却できるかが重要であり、それが東京近郊エリアのマンションにおける将来性の「軸」です。残債を超える価格で売れれば住み替えもしやすく、次の住まいの選択肢も広がります。

プロフィール

▲(左から順に)マンションを5回購入し、23区城東エリアに明るいマンションブロガーのすまいよみさん。X:@sumaiyomi。東京・埼玉・千葉・神奈川エリアを扱う株式会社すんでの仲介営業マン、とりさん。X:@torimanshon2。都心部マンションを主に扱うKIZUNA FACTORYの不動産仲介エージェント、久保田宙さん。X:@kubota_kizuna。マンションブロガーとして幅広いエリアをカバーし、2026年4月に著書「絶対に失敗しないマンション購入の教科書」を上梓したばかりの2LDKさん。X:@2ldk18。※所属会社・役職は取材当時のもの

過去記事「西葛西と志村坂上が今、熱い? 不動産のプロが選ぶ、東京近郊の穴場と相場」では、東京近郊エリアの相場や魅力、穴場エリアを紹介

 

 

――東京近郊エリアのマンションは、今が買い時なのでしょうか?

とり:結論から言えば、今が買い時だと思います。それは「短中期的に価格が下がらない」という見立てが理由で、たとえば今買わずに2年後に買うとして、価格が落ちていなかったとすれば、その2年間は家賃を支払っているわけですから早く購入したほうが得ですよね。

すまいよみ:我々の共通認識として、マンションの買い時に「時代」は関係ないと思っています。相場が高くてもほしいと思うからには、結婚や出産など何らかの理由があるはずです。1年後に買える保証があるのなら待てばいいと思いますが、市況や金利は自身でコントロールできるものではありません。必要性が生じたときに予算内で納得できる物件を買うのが最適解ではないでしょうか。短期的に資産価値が下がる可能性はゼロではありませんが、20〜30年住み続ければ、残債を含めて大きく損することはないはずです。

2LDK:東京近郊エリアならなおのことですよね。長く住むことを前提としているのであれば、基本的には早く買って早く返済し始めるのが合理的だと思います。

 

 

――東京近郊エリアで価値が落ちにくいマンションの特徴は?

 

すまいよみ:分かりやすい指標のひとつとして「Xなどでバズっている」マンションは価値が落ちにくいと思います。バズる理由は、外観の格好良さや充実した共用施設、ブランドなどさまざまですが、共通しているのは、人を惹きつける何らかの魅力があるということです。

 

2LDK:バズるというのは、すなわち「希少性が高い」とも言えますよね。すまいよみさんがおっしゃるとおり、マンションの価値を測る指標はさまざまですが、やはり唯一無二の価値があるマンションは強いと思います。

 

一般的に希少性と聞くと「駅近」が想像されがちですが、たとえば海浜幕張は幕張新都心として計画された都市開発エリアで、オフィスや商業・展示施設を中心に設計されており、駅近のマンションがありません。この街の中で際立った魅力を持つ物件であれば、駅から多少離れていても希少性は高く、価値は落ちにくいと考えられます。多くの人は「街」からマンションを探しますから、街の中で希少性が高い何かがあるマンションは強いですよね。

 

久保田宙さん(以下、久保田):都心部は何より「立地」が重視されますが、東京近郊エリアは立地だけでは差別化が難しいのでしょうね。

 

とり:私の考える価値が落ちにくいマンションの条件は「駅近」「大規模」「築浅」「ブランド」の四つのうち二つ以上を満たしていることです。一つだけでは心もとなく、このうち二つを満たしている東京近郊エリアのマンションであれば、価値が大きく下がることはないと思います。たとえば、築浅だけど駅から遠くて小規模、マンション名も聞いたことがないとなると、価値の維持は難しくなります。

東京近郊エリアでのマンション選びにおける四つの明快な指標に、4人の間には納得感が広がった

▲東京近郊エリアでのマンション選びにおける四つの明快な指標に、4人の間には納得感が広がった

――「築浅」はひとつの大きな価値だと思いますが、築何年までが築浅と言えるのでしょうか?

 

2LDK:築10年以内であれば言わずもがな築浅ですが、それ以降は「体感築年数」が大きいと思います。パッと見て築何年に感じるか、つまり維持・管理の状態が与える印象が大きいということです。築20年なのに築10年にしか見えないマンションがある一方、築30年、40年に見えてしまうマンションもあります。新築マンションはこれからさらに減っていくので、体感築年数を感じづらいマンションは築浅に近い動き方をするようになると思います。

 

 

――新築マンションは資産価値が落ちにくいのでしょうか?

 

すまいよみ:新築マンションの供給数が減っていけば、新築・築浅の希少性はどんどん高まっていきます。建築費や設備費は近年、顕著に高騰しているものの、その希少性の高さから、中古になっても人気は衰えないのではないでしょうか。

 

2LDK:今の価値観やライフスタイルに合ったデザイン・設備・共用施設が、新築・築浅の大きな強みです。たとえば最近はライティングにこだわる物件が増えていますが、光の当て方ひとつで印象はかなり変わります。中古は実物を見て判断される分、見た目の洗練度は大きな差別化要素となります。そこに希少性も加わるとすれば、価値は落ちにくいはずです。

 

 

――「負けない条件」を踏まえたうえで、皆さんがおすすめする長谷工施工の注目マンションを教えてください。

 

とり:私は「ザ・ガーデンズ東京王子」ですね。東十条駅徒歩5分、王子神谷駅徒歩6分、全864戸の大規模マンションです。扁平梁とハイサッシを組み合わせた「HCFB構法」により、室内に梁や下がり天井がなく、窓も大きく取れるので非常に開放的なんですよ。

扁平梁とハイサッシを組み合わせることにより、開放的な居住空間を提供できる架構工法。20階建て程度の高層集合住宅においても実現可能な技術

▲扁平梁とハイサッシを組み合わせることにより、開放的な居住空間を提供できる架構工法。20階建て程度の高層集合住宅においても実現可能な技術

すまいよみ:都心部寄りになってしまいますが、「プラウドシティ東雲キャナルマークス」が好きですね。魅力は、何と言ってもそのデザインです。タワーマンションが建ち並ぶ湾岸エリアで、湾曲したフォルムが目を引く、シンボリックな板状マンション。タワーではないながらも全472戸と大規模で、豊洲駅から徒歩10分というアクセスも評価され、高い人気を誇ります。

 

久保田:私の地元にあるマンションなのですが「セントガーデン海老名」は、総戸数1,000戸を誇り、共用施設も充実しているのに加え、ららぽーと海老名や大型スーパーも至近。海老名駅から徒歩8分と駅近で、非常に魅力的なマンションです。私が子どもの頃、あのあたり一帯は田んぼだったんですよ。大人になって訪れたら、あんなに大きなマンションが立っていて驚きました。

 

2LDK:私のおすすめは「オハナ 柏たなかパークフロント」です。個人的に、30年間の長期修繕計画に基づき毎月の修繕積立金の支払を一定にする「均等積立方式」を採用しているオハナのコンセプトが好きなのですが、駅近のマンションは少ないんですよ。でもこのマンションは、柏たなか駅から徒歩1分。大きな公園も隣接していて、エントランスのデザインも秀逸で、柏たなかを代表するマンションです。「駅距離を妥協しないオハナ」という感じがして好きですね。

マンション愛に溢れる対談となった

▲マンション愛に溢れる対談となった

 

 

取材・文:亀梨奈美 撮影:宗野歩

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WRITER

亀梨 奈美
不動産ジャーナリスト。不動産専門誌の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

X:@namikamenashi

おまけのQ&A

Q.金利上昇時代における、住宅ローンを組むときのポイントは?
A.2LDK:住宅ローンはできるだけ長く借りるというのが王道ですから、返済期間は35年ではなく50年というのが合理的です。また、残債が多い初期に金利を低く抑えるという意味でも、一般的には変動型のほうが有利と言えます。ただ、返済期間や金利タイプ以上に「適正な予算にする」ことが何より大切です。支払いに行き詰まって投げ売りするのが、最も損失の大きいシナリオですからね。
すまいよみ:経済合理的には長く、多く借りるのが正解です。しかし、返済していけるかはまた別軸の話ですから、安全な予算の中で長く、多く借りるのが本当の意味での正解でしょう。