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防災・減災に配慮した、
“レジリエント”なマンションづくり

我が国では大型台風や地震が頻発し、災害に強い住まいを求める声が高まっています。
ここでは、長谷工グループによるこれまでの災害対策を辿るとともに、「災害に強いマンションづくり」を 推進する災害対策技術ワーキンググループの活動をクローズアップします。

長谷工グループのこれまでの取り組み

激甚化・頻発化する自然災害

日本列島は台風の通り道にあり、従来からその被害を受けてきましたが、近年は地球温暖化の進行による気候変動を受け、強風・豪雨が激甚化・頻発化しています。また地震発生周期の観点から、南海トラフ巨大地震、首都直下地震などの発生が切迫している可能性が高いとされ、行政および民間の早急な対応が求められています。

長谷工グループのこれまでの取り組み

長谷工グループでは、国による制定に先駆けて、独自のマンション耐震設計基準を1977年に定めるなど、早期から自然災害への取り組みを進めてきました。長谷工グループのこれまでの取り組みを以下に示します。

さらなる安全・安心の提供を目指す
災害対策技術ワーキンググループの挑戦

深刻化する自然災害を受け、長谷工グループでは災害対策技術ワーキンググループを2018年末に発足。翌年から具体的な対策を立案し、取り組みを継続しています。

2018年は6月に大阪府北部地震、9月に台風21号が発生し、西日本を襲う大規模な災害が相次ぎました。これを受けて長谷工コーポレーション関西技術系メンバーにて、当社施工物件における被害状況の調査を実施するとともに、災害対応レベルを引き上げるべく、体制づくりに着手しました。調査内容がまとまった同年12月には、関西の調査メンバーに東京のメンバーも加え、設計・建設・技術推進の各部門が連携する「災害対策技術ワーキンググループ(以下、WG)」を発足させました。

被害状況の調査結果をもとに、現状の設計・施工ルールにおける課題を洗い出し、改善項目の新築案件への導入に取り組んでいます。私たちは、住民の方々に安心して同じマンションに住み続けていただく上で、例えば、マンションのバルコニーには隣の住戸との間に仕切りパーテーションが設けられていますが、こちらを今までの建築基準法ベースの強度では不十分と考え、建築基準法の50年に一度の風に耐える強度から、100年に一度の風に耐える強度へと、基本仕様の見直しを図りました。また、過去に策定したデベロッパーやマンション管理組合向けの災害対策提案を「災害に強いマンション提案」としてリニューアルし、仕様の採用拡大を図っています。なお提案内容の一つである「災害対応マニュアル」については、新築案件だけでなく、既築物件のうち弊社グループが管理する分譲マンションや、賃貸マンション等へも水平展開ができるように、働きかけていく予定です。
災害対策には、『防災』・『減災』という2つの考え方があります。自然災害の激甚化が進む今、予想のつかない災害に備え、今後は特に、どのように被害を減らすかという『減災』への取り組みが重要になってきます。ただ、やみくもに備えを厚くすれば良いというわけではなく、立地条件等を鑑み、物件ごとに対策内容を吟味した設計をすることが必要だと私たちは考えます。
常に住まいの安全と暮らしの安心を守ることができるマンションづくり。それが長谷工グループにとって、新たなブランドイメージを担うカギであることは間違いありません。私たち災害対策技術WGのメンバーは、引き続き新たな技術の導入と知見の活用に努め、レジリエントな住環境を提供していくことで、長谷工グループの企業価値を高めながら、社会課題の解決に寄与してまいります。

災害対策技術ワーキンググループ(WG)による実績

実績(1)「災害に強いマンション提案」を策定

「災害に強いマンション提案」基本方針

入居者を災害から守り、マンションの価値を高めるためには、住戸内部や共用部におけるハード面と、被災後の住民の生活の安定を保つための管理・運営上にかかわるソフト面の両面からの取り組みが求められます。WGではそうした議論を踏まえ、デベロッパーや管理組合向けの防災・減災提案をブラッシュアップした「災害に強いマンション提案」を策定しました。本提案は、「被災時の身の安全」「被災後の生活環境の維持」「管理・運営の仕組みの整備」の三つを基本方針に定めたものです。
住戸内部では、家具の転倒防止用下地の設置、システム収納への耐震ラッチの採用などを提案しています。共用部では、当社が2006年から大規模マンションの基本仕様としている防災3点セット(非常用飲料水生成システム、マンホールトイレ、かまどスツール)に加え、災害対策拠点の設置などを盛り込みました。
管理・運営では、防災意識の向上を図るべく、「災害対応マニュアル」を整備。事業主に提案の上、導入の際はハザードマップも掲載したマンションごとのマニュアルを作成し、管理組合や入居者への継続的なアドバイスとともに提供しています。

実績(2)長谷工基本仕様としての対策

建物の損傷は、大切な財産としてマンションを購入された入居者の方々にとって大きな損失です。私たちはそれを回避すべく、地震や台風による建物の損傷を最小限に抑えるための設計・施工基準の見直しを行い「長谷工基本仕様」に適用しました。
例えば、マンションの棟と棟をつなぐエキスパンションジョイントは、地震の発生に際してそれぞれの建物が別々の揺れ方をするため、従来はカバー部分の金属部材の損傷が不可避でした。しかしWGでは、その可動性を高めつつ、強度を維持することで、地震や大型台風の強風により損傷や脱落が起こり難いカバーを実現しました。これは、設計部門と建設部門、技術推進部門が幾度となく議論を重ね、仕様化に至ったものです。
その他にも、強風に耐えるエントランス庇の天井材、太陽光パネルの飛散を防止する固定方法、また地震があっても、建物の損傷を最小限に抑える工法など、さまざまな仕様の見直しや項目を追加し、損傷回避に注力しています。

実績(3)施工現場における「台風等異常気象マニュアル」の運用

施工現場における安全確保をより一層強化すべく、2020年に「台風等異常気象マニュアル」を改訂しました。本マニュアルでは、台風の被害状況や予測のレベルごとに第1次~第3次までの体制が整備され、施工現場への対策指示や、協力会社との情報連携を迅速に行うことが可能となっています。体制ごとの各施工現場で必要な点検・確認手順を一目で分かりやすくまとめた「目で見る台風対策」を作成し、各現場での情報共有、効率化を徹底しています。
また、以上の内容も含め、これまでに起きた自然災害に対する長谷工グループの取り組み、今後の自然災害への対策や心構えなどをまとめた「自然災害とその対策」を発刊しました。長谷工グループの取り組みを整理・蓄積することで実際の対策や、さらなる改善に役立てていきます。このような自然災害への対策に加え、常日頃の現場管理を徹底し、不測の事態に備えています。

既築物件の災害対策

マンション管理の取り組み

居住者と建物設備を災害から守るため、管理会社グループではマンション管理の一環として災害対策を実施してきました。
台風等、予測できる災害に対しては、暴風域に入ると予想された時点で災害対策本部を設置、各支部に備災対応を指示し、アウル24センター(長谷工コミュニティが保有する総合監視センター)とともに24時間体制で居住者からの連絡を受けるほか、安否確認や現地情報を集約し、対応指示を行います。加えて、マンション現地に掲示される「注意喚起文書」は、年々甚大化する災害への対応経験と長谷工コーポレーション技術部門からの対策アドバイスを加え内容を更新し、居住者向け・ライフマネージャー(管理員)向けに災害時の注意事項・備災事項を発信しています。
管理会社グループでは「防災・備災」をテーマに、災害を防ぐだけでなく、災害に備えることも課題として対策をしていきます。そのために、長谷工グループならではの技術やノウハウの共有と活用で、建物設備の「安全」対策を積極提案しています。更に、有事の際は居住者間や自治会等との助け合いが必要です。ともに助け合うためのコミュニティ形成(共助)による「安心」対策サポートを継続実施しており、また、新築分譲マンション向けに策定された「災害対応マニュアル」を既築物件にも活用することでマンション内の防災意識を更に高め、管理組合と管理会社との強いパイプで有事に備えていきます。

耐震化に向けた取り組み

1978年に発生した宮城県沖地震により建築基準法の旧耐震基準の建物が多くの被害を受けたことで、1981年に耐震基準が大幅に強化されました(新耐震基準)。1995年の阪神淡路大震災においても、倒壊した建物のほとんどは旧耐震基準の建物であったことから、生命、そして被災後の生活の場を守るため、旧耐震基準の建物の早急な耐震化が必要です。
長谷工リフォームでは、耐震化に向けた取り組みとして耐震診断・耐震改修設計・耐震改修工事を行っており、これまでの実績は305件となりました。
耐震化にあたっては、まず耐震診断により新耐震基準の耐震性能を有しているかを診断・解析します。それにより耐震性能が不十分と判断された場合、耐震改修設計を行い、耐震改修工事を実施します。住まいながらの工事となるため、居住者とのコミュニケーションや騒音対策などもかかさずに行っています。これからも安全で安心な暮らしの実現に向けて、耐震化への取り組みを推進していきます。

アウトフレーム補強 施工事例

廊下側を補強することによりバルコニー側の工事をなくしました。

被災状況の把握

災害発生時、長谷工グループ管理物件・施設の状況を迅速に把握するため、大規模震災を想定した震災対策BCP訓練の中で、施工中・管理・賃貸物件、シルバー施設、モデルルーム、仲介店舗などの被災状況を全役職員が確認し、地図システムに登録する「物件被災状況一次確認」訓練を行っています。2019年度の訓練では、全物件・施設7,103件のうち6,014件(84.7%)を確認することができました。