2003年01月23日
株式会社長谷工総合研究所では、表題のレポートをまとめました。レポートの全文は、1月27日発行の「CRI」2月号に掲載いたします。
(1).2002年首都圏マンション市場の総括
| 新規供給戸数 | 2,957件 | 88,516戸 | 2000年(95,635戸)、2001年(89,256戸)に次ぐ史上3番目 |
| 総販売戸数 | 86,476戸 | 2001年(88,588戸)より、2,112戸の減少 | |
| 新規物件の平均初月販売率 | 75.4% | 2001年(78.1%)より2.7ポイント低下 | |
| 新規物件の年間累計販売率 | 88.0% | 2001年(90.3%)より2.3ポイント低下 | |
| 年末分譲中戸数 | 11,611戸 | 2001年末(9,571戸)より2,040戸の増加 | |
| 年末完成在庫 | 2,825戸 | 2001年末(2,376戸)より449戸の増加にとどまる |
- 新規供給戸数は、2,957件 8万8,516戸。史上3番目の高水準の供給となった。
・市況悪化を懸念して、1回当りの供給戸数を少なくする傾向がみられたが、供給物件数の増加によって、4年連続で8万戸を超える高水準の供給が継続した。 - 平均初月販売率は75.4%と75%を維持。
・年間平均初月販売率は75.4%。前年(78.1%)比2.7ポイント低下したものの、75%を維持した。
・大規模物件の販売は依然として、好調であり、総戸数400戸以上の大規模物件の初月販売率は97.1%と 首都圏平均を20ポイント以上上回っている。
・しかし、高水準の供給が継続したことから、年末分譲中戸数は1万1,611戸と1万戸を超えた。 - 住戸面積の拡大傾向が継続し、78.04m2に拡大。
・住戸面積の拡大傾向が継続し、2002年の平均面積は78.04m2となり、過去最大面積となった。大規模物件では平均面積が80m2以上となる物件もあり、面積拡大傾向が継続している。
・一方、分譲m2単価は低下幅が縮小したが、低下傾向は継続し、513千円/m2と前年(523千円/m2)比2.0%低下した。
・このように、平均面積が拡大する一方で、分譲m2単価が低下したことによって、首都圏全体の平均価格は4,003万円と前年(4,026万円)比0.6%低下した。 - 供給の中心は都内23区、埼玉県さいたま市で大幅増。
・都内23区では、山手エリアで供給戸数が減少したことから、前年比0.8%減少し3万1,574戸となった。
・前年実績を下回ったが、1999年以降、4年連続で3万戸を超える高水準の供給が継続している。
・また、埼玉県は前年比16.0%増の1万339戸となった。特に、「さいたま市」は同比62.9%増の3,081戸と大幅の増加した。

(2).2003年首都圏マンション市場の予測
- 新規供給戸数
- 供給能力からみれば、8万6,000戸以上の供給が行われる可能性がある。
・首都圏(1都3県)で2000~2002年11月までに着工済みで2003年以降に供給可能な戸数を推計すると、約6万戸存在する。首都圏での分譲マンション着工戸数は、2000年以降、11万戸前後の高水準で推移しており、2003年年初時点での供給可能戸数も高水準となっている。
・この6万戸のうち、2003年に供給される戸数は過去の供給実績等の分析から4万6,000戸程度と判断した。
・次に2003年に着工し、2003年内に供給する物件(早期供給物件)は、4万~4万2,000戸と予測した。2002年の早期供給物件の実績は4万2,113戸であったが、2003年は若干減少すると判断した。
・このように分譲マンションの着工戸数等からみれば、8万6,000戸~8万8,000戸の供給能力がある。 - デベロッパーの供給意欲も旺盛。ただし、市況を見極めながら、供給を行う。
・当研究所で把握できた2003年の供給予定物件等をみても、大手・中堅事業主を中心に供給意欲は旺盛である。しかし、実際の供給に際しては、経済環境の悪化等、不透明要因もあることから、購入マインドや市況を見極めながら、より慎重に供給を行うと思われる。
・こうしたことを考慮し、供給能力の下限値である8万6,000戸と予測した。ただし、販売が好調に推移すれば、8万6,000戸を上回る供給が行われる可能性はある。 - 地域別の供給戸数
・2003年も都内23区では3万2,000戸と3万戸を上回る。港区・世田谷区等で大規模物件の供給が予定されている。 - 販売状況
経済環境の悪化等の懸念材料はある。しかし、購入条件をみれば、低金利水準、住宅ローン減税、2003年度の税制改正により、住宅取得資金としての生前贈与の非課税額が3,500万円に拡充される等、好環境は継続する。
こうしたことから、2003年の販売状況は、物件ごとの好不調がさらに明確になる等、厳しさは増すものの、市場全体の悪化は生じないと判断した。
新規供給戸数は86,000戸。5年連続で85,000戸以上の供給が継続。
新規供給戸数は、分譲マンションの着工戸数等からみた供給能力と事業主の供給意欲をもとに予測を行った。

| 新規供給物件 | 年間平均初月販売率 | 75% | 2002年実績(75.4%)並みを維持 |
| 年間累計販売率 | 87% | 2002年実績(88.0%)より1ポイント低下 | |
| 総販売戸数 | 84,100戸 | 2002年実績(86,476戸)より約2,400戸の減少 |

| 新規供給戸数 | 972件 | 39,087戸 | 1996年(44,430戸)、2000年(39,737戸)に次ぐ史上3番目 |
| 総販売戸数 | 38,074戸 | 2001年実績(36,515戸)より1,559戸の増加 | |
| 新規物件の平均初月販売率 | 70.8% | 2001年(74.3%)より3.5ポイント低下 | |
| 新規物件の年間累計販売率 | 85.0% | 2001年(86.8%)より1.8ポイント低下 | |
| 年末分譲中戸数 | 7,168戸 | 2001年末(6,155戸)より1,013戸の増加 | |
| 年末完成在庫 | 1,770戸 | 2001年末(1,857戸)より87戸の減少 |
- 新規供給戸数は972件 3万9,087戸。史上3番目の高水準の供給となった。
・新規供給戸数は972件 3万9,087戸。前年(3万6,552戸)比6.9%増の大量供給となった。近畿圏でも首都圏と同様、大規模物件、超高層物件の供給が本格化したことが、大量供給の要因である。 - 平均初月販売率は70.8%と70%を維持。
・2002年の平均初月販売率は70.8%と、前年(74.3%)を3.5ポイント下回ったものの70%台を維持した。
・近畿圏でも大規模物件・超高層物件の販売は好調であり、総戸数400戸以上の大規模物件の初月販売率は92.6%と近畿圏平均を20ポイント以上上回っている。
・加えて、前年からの繰越物件の販売が順調であったため、総販売戸数は3万8,074戸を前年(36,515戸)を1,559戸上回った。その結果、大量供給にもかかわらず、年末分譲中戸数は7,168戸と2001年末(6,155戸)から1,013戸の増加にとどまった。 - 大阪市は、2年連続で9,000戸を上回る高水準の供給。
・大阪市は9,008戸となり、前年比で2.0%減となったが、2年連続で9,000戸を上回った。
・大幅増となったのは、北摂で前年比78.0%増の6,890戸、京都市で同比55.5%増の3,159戸、南大阪で同比29.5%増の3,382戸となった。特に、北摂の吹田市で2,492戸(前年1,316戸)、茨木市で1,533戸(同442戸)と大規模物件の供給が行われたことから1,000戸以上の大幅増となった。
- 平均面積は78.18m2に拡大。住戸面積の拡大により、 平均価格も上昇。
・2002年の近畿圏全体の平均面積は前年(76.44m2)比2.3%拡大し、78.18m2となった。
・一方、分譲㎡単価は414千円/m2と前年(417千円/m2)比0.7%低下した。神戸市では高級・高額物件の供給が行われたため、前年(409千円/m2)比9.7%上昇し448千円/m2となったが、その他の地域では低下幅に違いはあるが、前年実績を下回っている。
・分譲m2単価は低下したが、平均面積の拡大によって、近畿圏全体の平均価格は3,237万円と前年(3,188万円)比1.5%上昇した。


(4).2003年近畿圏マンション市場の予測
- 新規供給戸数
- 供給能力からみれば3万5,000戸以上の供給が行われる可能性がある。
・近畿圏(2府4県)で2000~2002年11月までに着工済みで2003年以降に供給可能な戸数を推計すると、約2万戸存在する。2002年年初の2万3,000戸は下回るものの、依然として高水準である。この2万戸のうち、過去の供給実績等の分析から1万7,000戸~1万8,000戸が2003年に供給されると判断した。
・次に、2003年に着工し、2003年内に供給する物件(早期供給物件)は、1万8,000戸~2万戸と予測した。2002年の早期供給物件の実績は2万686戸であったが、2003年は若干減少すると判断した。
・このように、分譲マンション着工戸数等からみれば、3万5,000戸~3万8,000戸の供給能力がある。 - 事業主の供給意欲は依然、旺盛であるものの、市況を見極めながら供給を行う。
・当研究所で把握できた2003年の供給予定物件等をみても、各事業主の供給意欲は依然旺盛である。しかし、実際の供給に際しては、経済環境・購入マインドを含めて、市況の先行きを見極めながら供給する傾向が継続すると判断した。こうしたことから、2003年の新規供給戸数は供給能力の下限値である3万5,000戸と予測した。ただし、販売が好調に推移した場合には、3万5,000戸を上回る供給が行われる可能性もある。 - 地域別供給戸数の予測
・大阪市では超高層物件等の供給が予定されており、2003年も8,500戸と高水準の供給が継続する。
・また、北摂は大規模物件の供給が一段落したこともあって、約1,900戸減の5,000戸に減少する。 - 販売状況
新規供給戸数は35,000戸。高水準の供給が継続する。
新規供給戸数は、分譲マンションの着工戸数等からみた供給能力と事業主の供給意欲をもとに予測を行った。
経済環境の悪化等の懸念材料がある。しかし、購入条件をみれば、低金利水準、住宅ローン減税、2003年度の税制改正により住宅取得資金としての生前贈与の非課税額が3,500万円に拡充される等、購入しやすい環境は継続する。こうしたことから、販売状況は、物件ごとの好不調がさらに明確になる等、厳しさは増すが、市場全体の悪化は生じないと判断した。
| 新規供給物件 | 年間平均初月販売率 | 70% | 2002年実績(70.8%)並み。好不調の目安の70%は維持 |
| 年間累計販売率 | 81% | 2002年実績(85.0%)を4ポイント低下 | |
| 総販売戸数 | 33,700戸 | 2002年実績(38,074戸)を約4,500戸の減少 |
・近畿圏でも好調な売行きを示す大規模物件・超高層物件の供給が継続することに加え、供給商品も価格安定・高品質な商品の供給が継続する。こうしたことから、物件ごとに販売の好不調がより明確になる等、厳しさは増すが、市場全体の大幅な悪化は生じないと思われる。


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