2003年03月19日
株式会社長谷工総合研究所(東京都港区)では、表題のレポートをまとめました。 レポートの全文は、3月25日発行の「CRI」4月号に掲載いたします。
上場開始から約2年半が経過したJ-REITは、現在6銘柄が上場されている。その運用資産はオフィスビルが中心だが、商業施設や住宅を組み込む銘柄も上場され、住宅については2銘柄が賃貸マンションを運用資産としている。また、プライベートファンドでも賃貸マンションを運用資産としたものがみられる。
今回のレポートでは住宅系不動産ファンドの現状と、周辺環境の変化、住宅市場への波及についてまとめた。
- 順調に推移するJ-REIT市場 住宅を運用資産とするファンドも上場
- 2001年9月の2銘柄の上場から約2年半を経過したJ-REITは、株式市場では昨年5~6月以降、TOPIX(東証株価指数)が低下傾向にあるのに対し、各銘柄の投資口価格は上昇もしくは横ばい傾向で推移している。また、配当利回りは予定も含めて5~6%程度と高い数字を示しており、J-REIT市場は順調に推移しているといえる。また、今年は税制改正による配当課税の見直しや、東証リート指数の創設も予定され、投資環境の整備がさらに進むことになる。
- 現状、J-REITの運用資産はオフィスビルが中心となっているが、商業施設や住宅を組み入れた銘柄も上場されている。住宅については2銘柄が賃貸マンションを運用資産に組み入れており、プライベートファンドでも賃貸マンションを運用資産としたものがある。
- 今後J-REITに対する認知度を高めていくためには、安定した配当を続けることに加え、運用資産の用途や地域など特色ある銘柄が増え、それぞれの特色を明確にしていくことも必要であろう。
- 運用資産としての賃貸マンションのメリット・デメリット
- 賃貸マンションを運用資産として考えた場合、オフィスビルとは異なる種類の不動産に投資するというリスク分散の効果や、テナント数が多く1件のテナント退去が全体に及ぼす影響が小さいため安定性が高い、というメリットがある。
- 一方では、入居者の入れ替わりが短期間であるなど管理面でのコストがかかることや、投資対象となるような物件が少なく取得が難しいことなどがデメリットとなっている。また物件を供給するデベロッパーは少ない。ッパーとしても、分譲市場が好調であれば賃貸マンションを建設してファンドへ売却するメリットは少ない。
- 環境の変化により注目される賃貸マンション
- しかし、2003年問題でオフィスビルの賃料低下や空室率上昇に対する懸念が高まったことや、住宅が安定した投資先であるという認識を持つ海外の投資家が参入してきたことなど、市場環境・事業環境の変化により、賃貸マンションが不動産ファンドの運用資産として注目され始めたと考えられる。またデベロッパーでは、新たな事業の一つとしてファンド向けの賃貸マンション開発を行っているところもある。
- 住宅系不動産ファンドの増加で賃貸マンションの質の向上や周辺業務の広がりが見込まれる
- 実際に不動産ファンドによって発生する賃貸マンションの量は少ないが、今後、住宅系の不動産ファンドが増加することで、中長期の運用に耐え得る品質の賃貸マンションの供給が徐々に進むと考えられる。また、ファンドからのプロパティマネジメント等の周辺業務へのニーズも増加することが予想されるなど、住宅系不動産ファンドの今後の発展が期待される。

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