2005年02月25日

 長谷工コーポレーションは、平成14年3月から建替え事業の事業協力者として事業計画の策定・区分所有者の合意形成に関わってきた旭ヶ丘第二住宅建替計画(建替実行組合理事長:前川恒子)で、昨年の6月に建替え決議に続き、一部非賛成者との和解が1月に成立、今般2月9日、事業者JV4社(総合地所、東急不動産、三交不動産、長谷工コーポレーション)と区分所有者全員(107名)との不動産売買契約が完了しました。平成17年5月に着工、18年7月に最新の設備機器を備えた永住型分譲マンション208戸が完成し、地権者の方々が85戸を取得し、入居する予定です。


【1.建替えに至った背景】

 本計画地は、大阪市のベッドタウンとして昭和33年に都市機構(旧「都市基盤整備公団」、以下「機構」という。)により開発された1500戸の機構賃貸住宅やテラスハウスを含む旭ヶ丘団地の一部に、昭和43年に都市機構(旧「都市基盤整備公団」、以下「機構」という。)により建設分譲された鉄筋コンクリート造4階建て6棟112戸の分譲団地です。築20年を経過した昭和60年代後半になると本建物の老朽化、設備の陳腐化が目立つようになり、大規模修繕工事・設備改修工事では解決できない問題となってきたため、1990年建替調査委員会を発足し、問題解決に向けて検討を開始しました。
1)住戸規模が狭く(平均54~64m2)、家族の成長に対応できなかった。
2)エレベーターの不設置など入居者の高齢化に対し、バリアフリーへの対応の必要性が増してきた。
3)防火設備が、現在の防火基準に適さない(既存不適格)や防犯の不備による不安。
4)エアコン・洗濯機の設置場所がない、家庭電器製品や昨今のインターネットの普及による電気容量のオーバー等、現在の生活に対応できなくなっていた。


【2.本事業の特徴】

(1)隣接地を活用した建替え事業 ~事業手法の開発

 今回の事業は、機構により整備された隣接敷地を事業者JV4社が代替地として取得し、第一期マンション新築工事を行い、完成後、区分所有者107名のうち85名の新マンション取得者の移転完了を以って、旭ヶ丘第二住宅を解体、第二期工事を行うものです。
 この隣接地を活用した建替え事業は、国内で初のスキームであり、隣接地を活用したことで、工事期間中の仮住まい先の費用負担、確保・移転に伴う煩わしさを抑えることができました。
 その結果、本事業は旭ヶ丘第二住宅の住戸面積1に対して、新マンション0.61を交換する(還元率61%)等価交換事業としては、必ずしも恵まれた還元率ではなく(弊社での建替え事例の多くは還元率約100%)、又区分所有者の多くが高齢者(平均年齢68歳)であるにもかかわらず、80%の区分所有者が新マンションを取得しました。

<今回の事業スキーム>

(2)一体的開発による地域課題の解消 ~周辺道路の整備

 旭ヶ丘第二住宅及びその周囲の住宅、宅地のアクセス道路は、公道ではなく、機構所有の団地内通路です。またその通路は旭ヶ丘第二住宅を分断し、線形や構造上にも問題がありましたが、本事業は、機構と連携し、本敷地と隣接地及び団地内通路を、一体的に開発するなど、当該団地の再生だけでなく、まちづくりとして地域に貢献する事業となりました。団地の建替事業は、周辺地域への影響も大きく、一方で地域課題を解消するチャンスとなる可能性があります。本建替え事業はこれを実証するもので、今後のマンション建替事業のよき前例になると考えます

 これまでに全国で供給されたマンションは、全国で400万戸、このうち老朽化により建替えられたマンション(阪神大震災による復興マンションを除く)は90例ほどありますが、この建替えられたマンションの平均築年数は36年です。
 昭和40年代後半からマンションは、都市生活者の住居として、本格的に供給されるようになり、当時新築されたマンションが、今後大量に建替え適齢期を迎えるようになりますが、弊社は、これまで全国で最多の建替え事業の実績(本計画を含め18棟)を通して蓄積したノウハウを活かし、老朽化したマンションを建替え、都市再生・居住環境の向上に貢献していきたいと考えています。

<旭ヶ丘第二住宅建替え事業の経緯>

概要
1990年   建替調査委員会 発足
1991年   団地を考える会(改名)
1992年   建替検討委員会(改名)
1994年   建替実行委員会(改名)
住都公団に協力依頼
1996年   住都公団から代替地(隣接公団所有地)での建替提案
1997年   代替地(隣接公団所有地)での建替計画案を総会承認
1998年   住都公団を事業協力予定者として決定
豊中市「大規模団地建替助成要綱」の助成をうけ、コンサルタントを導入
1999年   都市基盤整備公団設立に伴い、公団が事業から撤退
大阪府住宅供給公社を共同事業者として決定
2000年   隣接公団所有地との土地交換を前提とした建替計画を検討するが、土地交換協議が不成立
2001年   隣接公団所有地を取得し、公社と民間による公民共同事業を検討
公民共同事業コンペを実施
2002年 3月 民間事業者として、長谷工コーポレーション、三交不動産を選定
12月 管理組合と公社、民間事業者の間で「公民共同建替事業に関する基本協定書(案)」承認
2003年 6月 (区分所有法改正) 団地の一括建替え決議、隣接地を活用した建替え決議が可能となる
10月 全員合意が得られず、公社が事業から撤退
11月 全員合意方式から「建替え決議」方式へ、公民共同事業から民間事業への変更を決定
2004年 5月 事業協力者として、総合地所、東急不動産が参画。民間4社による共同事業とすることを決定
6月 一括建替え決議可決 (賛成107、反対他5)
7月 建替実行組合設立
2005年 2月 従前資産の売買契約、代替地(隣接公団所有地)の売買契約
管理組合解散、居住者組合への移行
5月 工事着手(予定)
5月 新マンションの売買契約(予定)
2006年 7月 新マンションへの入居(予定)

【3.計画概要 】

新マンション(1期事業)の計画諸元

敷地面積 8,805m2
構造規模 RC造11階建 住宅棟 2棟
RC造2階建 駐車場棟1棟
住戸数 208戸
住戸規模 37~102m2
建築面積 4,390.81m2
建蔽率 49.87%
延べ床面積 22,185.38m2
容積対象面積 17,262.34m2
容積率 196.05%
備考 等価交換率は従前住戸面積の61%
(従前住戸面積) 3DKタイプ 専有面積53.99m2
3LDKタイプ 専有面積64.62m2

新マンション(1期事業)イメージパース


現地写真(北側から現地を眺む)

 

Get ADOBE® READER®
PDFファイルをご覧いただくためには、
Adobe Readerが必要です。