2006年03月15日
萩中住宅(東京都大田区、8棟、総戸数368戸)の建替組合(理事長:北畠宏)が進めてきました「萩中住宅マンション建替事業」が、この度、永住向け都市型マンション「オーベルグランディオ萩中」(2棟、総戸数534戸)として完成する運びとなりました。萩中住宅は、東京都住宅供給公社が1968年(昭和43年)に分譲した集合住宅で、建替事業としては首都圏で最大規模となります。(竣工日:3月16日)
「萩中住宅マンション建替事業」は、コンサルタントのシティコンサルタンツ並びに事業協力者の有楽土地・長谷工コーポレーションの協力体制の下、2003年6月に改正された区分所有法第70条「団地内建物の一括建替決議」※1を適用した全国で初の建替事例で、決議後は「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」※2に基づく建替組合設立、権利変換計画の認可などの諸手続きを進め、2004年2月より解体工事・本工事に着手してまいりました。 また、保留床の一般分譲も2004年10月より開始し、好評のうちに2005年8月に完売いたしました。
- ※1)「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」第70条(新設)の要旨
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敷地全体を2棟以上の建物の区分所有者が共同で所有しており、団地管理規約で各建物を管理の対象にしている団地において、団地管理組合の集会で全体の5分の4以上の賛成、各棟ごとの3分の2以上の賛成が得られれば、団地内の建物全部を取り崩し、一括して建替えを実施することができる。(これまでは各棟ごとの建替え決議が必要であった)
- ※2)「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」による本建替え事業へのメリット
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(1)建替えに合意した区分所有者が法人格を有するマンション建替組合を設立できる。
(2)建替組合が定めた権利変換計画に従い、区分所有権、抵当権等の関係権利が再建されたマンションに円滑に移行できる。
(3)建替えに参加しない者等からマンション建替組合が区分所有権等の買取りを行うことができる。
(3)建替えに伴い必要となる登記を一括して申請できる不動産登記法の特別措置を講じることができる。(費用の軽減)
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【これまでの経緯】
萩中住宅では建物の老朽化にともない、1991年より区分所有者による建替勉強会を実施するなど、建替えについて協議を継続してきました。94年には建替準備委員会を設立、正式に建替えの検討を開始し、97年にシティコンサルタンツをコンサルタントに選定し、第一次事業計画案を発表しました。その後、2000年に第二次事業計画案を発表し、01年にはマンション分譲で多くの実績を持つ有楽土地と、最多の建替実績を有する長谷工コーポレーションを事業協力者に選定しました。事業計画案の説明会や意向調査などを経て、02年に旧区分所有法による建替決議を実施しましたが、全体では5分の4以上の賛成を得られたものの1棟で5分の4以上の賛成を得られず不成立となりました。その結果、03年1月に事業継続と改正・区分所有法での推進を決議しました。同年8月に同法第70条「団地内建物の一括建替決議」を実施し、全体の92%の賛成で成立しました。
| 1993年(H. 5) | 5月 | 再開発検討委員会を設立し、建替え検討開始 |
|---|---|---|
| 1994年(H. 6) | 5月 | 建替準備委員会設立 |
| 1997年(H. 9) | 5月 | シティコンサルタンツを事業推進コンサルタントに選定 |
| 1998年(H.10) | 9月 | 第一次建替計画案を発表 |
| 1999年(H.11) | 5月 | 長谷工コーポレーションを第二次建替計画案作成の協力者に選定 |
| 2000年(H.12) | 5月 | 第二次建替計画案の発表 |
| 12月 | 建替推進決議採択(3/4特別決議) | |
| 2001年(H.13) | 9月 | 有楽土地・長谷工コーポレーションを事業協力者に選定 |
| 2002年(H.14) | 5月 | 近隣説明開始、総合設計申請 |
| 9月 | 実施計画案の発表(棟別)・個別相談会 | |
| 12月 | 建替決議不成立(旧区分所有法62条による各棟ごとの建替決議) ~8棟の内1棟のみ4/5の賛成が得られず不成立(全体の84%賛成) | |
| 2003年(H.15) | 1月 | 臨時総会で建替え事業の続行と改正法での建替え推進を決議(3/4特別決議) |
| 6月 | 改正区分所有法施行 | |
| 8月 | 建替決議成立(368戸・全体の92%賛成、改正区分所有法70条による団地一括建替え決議) | |
| 9月 | マンション建替え円滑化法に基づき建替組合設立を東京都知事に申請 | |
| 11月 | 建替組合設立認可・告示 | |
| 2004年(H.16) | 2月 | 権利変換計画認可、解体工事着工 |
| 6月 | 本体工事着工 | |
| 10月 | 保留床住戸の一般分譲開始 | |
| 2004年(H.17) | 8月 | 保留床住戸完売 |
| 2006年(H.18) | 3月 | 建物完成・引渡し・入居 |
【建替成功の主な要因】
現在、全国のマンションストックは約500万戸あり、そのうち建築後30年を経過した建物は2005年末で約51万戸、5年後の2010年には94万戸に急増すると見込まれています。※3
集合住宅の老朽化にともなう建替ニーズは、今後ますます高まっていくと予測されます。
※3)建築着工統計などを基に推計
今回の建替え決議が成立した大きな要因としては、
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(1)建物安全性への不安・居住空間の狭さと陳腐化・給排水管の劣化と補強困難・エレベーターがなく高齢化への対応が急務など、「問題を先送りできない」という区分所有者の認識が大きな原動力となった。それによって、平均的住戸(約60m2)を取得する場合、増床費用として1千万円程度の負担が必要となるが、建替委員会を核に数々の障害を乗り越えることができた。
(2)事業の特色として、地元町会および近隣住民のご理解を頂き「市街地住宅総合設計制度」の適用許可が得られ、容積率の割増が可能となった(現行200%→総合設計240.11%)。これによって、一般分譲する床面積が増加し、既入居者の建替え費用を軽減できた。
(3)改正・区分所有法が施行され、「団地内の建物の一括建替え決議」による建替えが可能になったこと。
(4)事業パートナーとしてのシティコンサルタンツ・有楽土地・長谷工コーポレーション各社が持つノウハウ(プランの企画・設計、諸官庁との協議、近隣説明、仮住居探し 等々業務全般)を発揮したこと。
が挙げられます。
【『萩中住宅マンション建替事業』概要】
| 事業名称 | 萩中住宅マンション建替事業 |
|---|---|
| 施行者 | 萩中住宅マンション建替組合 |
| 所在地 | 東京都大田区萩中1丁目7番20号 |
| 最寄駅 | 京浜急行空港線「糀谷(コウジヤ)」駅下車 徒歩5分 |
| 建替え決議時の区分所有者数 | 350人 |
| 建替後新マンション取得戸数 | 298戸 |
| 事業コーディネーター | 株式会社シティコンサルタンツ |
| 事業協力者 | 有楽土地株式会社、株式会社長谷工コーポレーション |
| 参加組合員 | 有楽土地株式会社 |
| 平均還元率 | 約83%(建替後権利床面積40m 2 /建替前床面積48m2) |
【『萩中住宅マンション建替事業』建物概要】
| 【建替前】 萩中住宅 | 【建替後】オーベルグランディオ萩中 | |
|---|---|---|
| 完 成 日 | 1968年10月 | 2006年3月16日(予定) |
| 分 譲 主 | 東京都住宅供給公社 ※35年間の長期分譲であったが、昭和63年にほとんどの住戸が所有権移転し、自主管理となった。 |
萩中住宅マンション建替組合(権利床)、有楽土地株式会社(保留床) |
| 敷 地 面 積 | 15,952.91m2 (4,825.75坪) |
同左 同左 |
| 延 床 面 積 | 18,510.87m2 | 48,801.38m2 |
| 構 造・規 模 | 8棟 鉄筋コンクリート(RC)造5階建 |
2棟 鉄骨鉄筋コンクリート造・一部RC造地上18階/地下1階建 |
| 総 戸 数 | 368戸 | 534戸 |
| 専 有 面 積 | 44.40m2(148戸) 47.95m2(220戸) |
44.82m2(費用負担なしモデル) ~88.38m2 |
| 間 取 り | 3DK、3K | 1LDK~4LDK |
| 共 用 施 設 | 集会室、管理人室、倉庫、ゴミ置など(エレベーターなし) | 管理事務室、防災センター、ゲストルーム、パーティルーム、託児ルーム、多目的ルーム、シアタールームなど(エレベーター7基) |
| 利用容積率 | 116.2% | 239.84% |
| 指定容積率 | 200% | 240.11% |
| 設計・監理監修 | 株式会社シティコンサルタンツ | |
| 設計・施工 | 株式会社長谷工コーポレーション | |

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