2015年08月07日

 長谷工コーポレーションが参画する近接開孔梁研究会は、鉄筋コンクリート造の基礎梁に設ける開孔について、従来よりもこれを近接して設けることを可能とした「近接開孔基礎梁工法 -大開孔と中開孔が近接するRC基礎梁の補強工法-」を開発し、建築技術性能証明(GBRC性能証明第15-04号)を一般財団法人日本建築総合試験所より取得しました。

 ※近接開孔梁研究会:錢高組(幹事)、青木あすなろ建設、淺沼組、奥村組、熊谷組、鴻池組、東亜建設工業、飛島建設、長谷工コーポレーション、ピーエス三菱、三井住友建設、コーリョー建販

●近接開孔基礎梁工法の概要
 鉄筋コンクリート造梁に複数の開孔を設ける場合、従来は、隣り合う開孔の中心間隔は、双方の開孔径平均の3倍以上を確保する必要がありました。近接開孔基礎梁工法(以下、本工法)は、これを2倍の位置まで近づけることを可能とした工法です。また、本工法は建物用途に関係なく鉄筋コンクリート造基礎梁に適用できます。これにより、同じ範囲でも設けられる開孔数が増え、設備配管、電気配線などを迂回させずにほぼ最短距離で配置することが可能になるなど、開孔配置の自由度の向上が期待できます。図-1にその一例を示します。

●設計法の特徴
 本工法では従来よりも開孔を近接させるために、設計上は以下の点に配慮しました。
a)近接する開孔すべてに開孔補強金物製品「ダイヤレン」、もしくは「ダイヤレンNS」(何れもコーリョー建販製)を、開孔1か所あたり2枚以上(両側面)配筋する。
b)近接した開孔間に集中してあばら筋を配筋し、開孔の上下には水平補強筋、開孔部上下補強筋を設け、梁型の配筋を組む。
 これにより使用、損傷、安全限界時に、それぞれ必要な性能を確保することができます。各々の開孔が一つの場合と同等以上の耐力を発揮できます。図-2に配筋の一例を示します。
 また、これらの性能を確認するために行った実験状況を写-1に示します。試験体は、梁両端部にスタブを有する形状とし、約1/3縮尺の基礎梁には、人通孔を模擬した大開孔1つと設備用開孔を模擬した中開孔2つの合計3つの開孔を配置しました。加力は、建研方式の加力装置を用い、梁部分に逆対称曲げモーメントが作用するようにジャッキを制御しながら行いました。
●今後の展開
 本工法は、建物の用途、上部構造の構造形式に関係なく、人通孔をはじめ電気配線、設備配管などの貫通孔を多数基礎梁に設けたい場合に採用できます。汎用性の高い技術であることから、今後は多くの物件に積極的に採用していく予定です。
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