2020年06月05日

 長谷工コーポレーションは、このたび、RFID(※1)を利用した排水管通球試験システム「Drain Trace(ドレイントレース)」(特許出願中、商標登録済)を開発しました。
 国内外の産業においてAI、センサー、通信、ロボットなどICT関連技術が進歩・進化しており、長谷工グループにおいても労働者不足や労務費と材料費の上昇、お客様ニーズの多様化(少人数世帯化、高齢化)、環境問題の深刻化等の環境認識のもと、集合住宅の設計・施工における生産性向上や入居者の生活の質向上に向けたICT活用を推進しています。
 今回のシステム開発は、新築分譲マンションの竣工前に実施する設備検査において、これまで手作業で行われていた排水管通球試験(※2)の業務効率化を図ることを目的に2018年5月より実証を開始しました。
 実証の結果、検査時間の削減や検査記録の書類作成時間の削減などが図れたほか、検査結果のエビデンスを取得することにも繋がるため、首都圏新築分譲マンションの設備検査にて本格運用を開始いたします。
 今後は、近畿圏や中部圏にも導入を推進して全社的に展開することで、設備検査の業務効率化を図り、建設作業所における生産性向上への寄与も目指してまいります。
(※1)Radio Frequency Identification;無線を利用して非接触で電子タグのデータを読み書きする自動認識技術
(※2)各住戸を貫通する排水管の通球試験。屋上の通気口から試験ボールを投入後に通水し、屋外の排水桝で回収

【RFIDを用いた排水管通球試験システム「Drain Trace」の効果】
・設備工事会社による検査時間の削減(3割程度)
・設備工事会社による検査記録等の書類作成時間の削減(3割程度)
・計測結果の自動入力によるエビデンスの取得(計測データの信頼性向上)
・タイムスタンプによる入力データの正確性・作業性の向上
・排水管内に滞留した試験ボールの簡易検知
  

[排水管通球試験(投入前)の様子]

【使用機材・タグ】
■RFID+試験ボール
ICチップとアンテナを内蔵するRFIDに固有のIDを記録。シール型のRFIDを試験ボールに貼り付ける。
■RFIDリーダーライター
RFIDに電波を当て、返ってきた情報を読み取る機器。5~10m先のデータを読み込むことが可能(無電力)。上部にはスマートフォンが搭載され、無線通信回線を用いてクラウド上のデータベースに情報を書き込む。

【長谷工のRFID活用事例】
■「RFID(電子タグ)を用いた建設部材の一元管理」(不二サッシとの共同実証)
~2018年9月21日 プレスリリース~
■「RFID(電子タグ)を用いた通帳管理」 (分譲マンション管理事業における基幹事務の高度化)
長谷工グループの分譲マンション管理会社では管理組合様より通帳を預かっており、RFタグを利用して金融機関への手続きの際の持出しや返却時の通帳確認の高度化を実施しております。(特許出願中)
~2019年 9月20日 実証開始~
~ 〃 11月28日 運用開始(順次グループの管理会社へ展開)~

【長谷工のICT活用】
これまで、長谷工版BIM(※3)の普及への取り組みや、建設作業所の測量・管理・検査におけるドローン活用やAR・MR技術を用いた検査などについての実証を進めてきました。今後は、センサーネットワークの構築、AIやロボットの活用、クラウドサービスアプリケーションの開発などICT活用を本格化すると共に、「住まい情報と暮らし情報のプラットフォーム」の構築に向け、各種メーカーやベンチャー企業、大学や研究機関と幅広く連携をとり、オープンイノベーションを推進してまいります。
(※3)BIMの特徴である連動性・可視性・一元性に加え、長谷工グループの設計・施工のノウハウを組み込むことで設計品質と生産効率を向上

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